春といえば、就職や進級など環境ががらりと変わりますよね。そんな春からの新生活に向けて、準備をしている方も多いのではないでしょうか。進学や就職を機に新しい土地に移動するべく、引っ越し先を探している方もいるかもしれません。しかし、引っ越し先を探すにあたって、どのような点を意識すればよいのかと悩んでいる人もいるのでは?
今回、大学1年生から社会人3年目までの204名にアンケートを実施! 賃貸住宅を探すときにこだわったポイントなどを聞いてみたので紹介します。
さらに記事の後半では、賃貸住宅探しで近年注目度が高まってきているポイントの情報も紹介します。物件探しに役立ててみてください!
実際に賃貸を探すときに重視すべき点とは?
まずは、物件探し経験者が重視していた賃貸のポイントについて調査しました。アンケートの結果を見てみましょう。
賃貸でこだわったところは?
「賃貸物件を探すときにこだわりはありましたか?」という質問をしたところ、75%の人が「はい」と答えました。
さらに、こだわったポイントをいくつか尋ねてみたところ、もっとも多かったのは「初期費用・家賃」。次いで「アクセス」、「設備」、「日当たり」、「間取り」といった回答が多く集まりました。
住んでみて後悔した点も……
また、「住んでみて重視すればよかったと後悔しているポイントについて教えてください(複数選択可)」との質問には、「初期費用・家賃」、「日当たり」、「設備」などの回答が多く寄せられています。
実際に、
- 「家賃とアクセスを意識して住宅を選んだことで、部屋が狭くなってしまい、ゆっくりできるスペースがないので居心地が悪い」
- 「日当たりが悪すぎて、部屋が寒すぎる」
- 「エレベーターがないため重たい買い物ができない」
などの声が見られました。
物件探しでは部屋の条件はもちろん、実際の生活をイメージすることも大切なようです。
ほかにもこんな意見が!
なかには、物件選びの際に「断熱」や「省エネ性能の高さ」にこだわった方もいました。断熱に対しては、「寒いのは嫌だから」、「エアコンの効きに影響するから」、「電気代を節約したいから」などの理由が挙げられています。
意外と見落としがち?「断熱」も要チェック!
家賃や設備などにこだわった人はアンケートでも多く見られましたが、押さえておいて欲しいのが「断熱」。
アンケート結果では、「賃貸物件を探したときに重視したポイント」に比べて、「住んでみて重視すればよかったと後悔しているポイント」で「断熱」が順位を上げています。
賃貸物件探しの時点では気にしていなかったものの、実際に住んでみると後悔する見落としがちなポイントのひとつになっていそうです。
「断熱」は、行政も支援に力を入れており、たとえば東京都では断熱性能向上のための取り組みに補助金を出しているので、断熱効果の高い賃貸住宅は今後増えていくことが期待されます。断熱対策がされている賃貸物件に住むと、どのようなメリットが得られるのでしょうか? 4つにポイントを絞って紹介していきます。
メリット①
家がもっと快適に!
まずメリットのひとつめが、「快適性の向上」。断熱性能が整っていると、夏は熱が入り込みにくく、冬は暖かい空気が外に出ていきにくいです。
なかでもポイントになるのが、窓。熱の大半は窓から出入りしているため、断熱性を大きく左右する箇所なのです。とくに窓を断熱すると、快適性がますますアップ!
一方で、「断熱性能が整っていると室内に熱気がこもってしまい、夏が暑いのでは?」と心配している方もいるかもしれません。そこはご安心を。夏は、外の熱を通しにくく、家の中の快適な空気を保つことができます。
メリット②
健康リスクの低減に!
学業や仕事に打ち込むためにも、健康維持は大切なポイントですよね。とくに、ひとり暮らしの方は、なおさら自分で管理しなければなりません。そのため、断熱性能の高い家を選ぶことも、健康維持の手段のひとつ。
断熱性能が整っている住宅は、部屋ごとの寒暖差を少なくできること等から、健康リスクの低減につながることがわかっています。
なかでも、「冷えは万病のもと」といわれているように、冬の冷えは、体に悪影響を及ぼします。実際に体が冷えることで、せきやのどの痛み、肌のかゆみ、目のかゆみ、睡眠の質、免疫力の低下などの症状が現れるそう。冬にインフルエンザなどが蔓延するのも冷えが原因のひとつだとか……。逆に、体を温めると免疫力が高くなり、感染症の予防になるほか、全身の血流が良くなることで、肩こりや頭痛、臓器の不調の改善などの効果が期待できるといわれています。冬は暖かく過ごせる断熱は体調管理対策にも効果的というわけです。
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出典:クール・ネット東京「令和6年度太陽エネルギーセミナー(動画)第1弾 <10分でわかる! 断熱住宅のススメ>」ウェブサイト(https://www.tokyo-co2down.jp/seminar/taiyouene/2024_1」)
ほかにも、断熱性能の高い家は、外の気温の影響を受けにくいため、結露が起きにくいのが特徴です。結露は、カビやダニが繁殖する原因になるので、健康にも害を及ばす可能性があります。だから、室内空気質改善にもつながるんです。
メリット③
光熱費のコストを下げられる!
「断熱」は、光熱費の削減にも役立つんです。住宅は、熱の出入りが少なくなるほど、部屋の快適な温度を維持しやすくなり、暖房や冷房にかかるコストダウンにつながります。
たとえば、夏の必需品となったクーラー。断熱性能の高い家であれば、同じ設定温度でも冷気が部屋の外に逃げない分、効率的に冷房できるはずです。場合によっては、断熱前よりクーラーの温度を数度高めに設定しても快適に過ごせるでしょう。
冬も同様に、暖房の効きがよくなり電気代の節約に。省エネをしつつ、居心地のよい空間が手に入るのです。
メリット④
遮音性・防犯性向上にも役立つ!
断熱性能が整っていると、断熱材が厚くなったり、内窓で窓が2重になっていたりします。そのため、断熱効果の低い家に比べると遮音性が高まることが期待できるんです。
また、断熱性が高い家は防犯性向上にも効果的。空き巣等は、侵入に5分かかると約7割があきらめるというデータがあります。そんな空き巣の侵入経路としては、窓が多いです。断熱性能の高い二重窓や内窓が設置されていることで、侵入に時間がかかるという印象を与えることができるため、侵入者に犯行を断念させる効果が期待できます。
断熱をチェックして、快適な新生活を送ろう!
快適さや健康のほか、遮音性・防犯性にも効果的で、地球環境にも優しいなど、多くのメリットがある断熱。東京都のように断熱を後押ししている自治体もあり、断熱に力を入れた賃貸物件がどんどん増えていっています。
しかし、断熱材の有無などはわかりづらく、いざ断熱性能の整っている賃貸物件を探そうとしても、どのようなポイントを見ればいいかわからないという人もいるのではないでしょうか? そんな人に、ぜひ押さえてほしい『自分でも分かる断熱のポイント』はふたつ。
- 目で見てわかるポイント⇒窓ガラスが二重になっているか(ペアガラス)
- 体感で分かるポイント⇒窓付近が寒くないか
また、2024年4月以降は賃貸物件の広告等にも断熱性能が見える化された住宅の省エネ性能ラベルの掲載が求められる「建築物の省エネ性能表示制度」が始まりました。建築物の販売・賃貸を行う事業者は新築建築物の販売・賃貸の際に、省エネ性能の表示ラベルを表示することが必要となります*¹。これを見れば一目で住宅の性能が分かるので、住みたい物件を見つけたらチェックしてみてはいかがでしょうか。
*1:既存物件は、表示推奨にされている。
「賃貸探しに関するアンケート」
調査時期:2025年1月21日~1月24日
調査対象: 大学生1年生~社会人3年目
調査数: 204人
調査方法:インターネットログイン式アンケート