いま、日本の観光業に追い風が吹いています。コロナ後の需要回復などにより、国内だけでなく海外からも観光客数が増加。特に指折りの観光地である沖縄県では、観光客数や観光収入において右肩上がりの成長を見せており、賃上げや人材育成など魅力的な働く環境作りに積極的に取り組む企業が増えてきています。
そんな観光客を迎えいれる沖縄の観光業は、いま最も盛り上がっている職業の一つであり、将来性の観点からもますます発展する仕事といっても過言ではありません。
今回はそんな沖縄の観光業界にスポットを当て、地元の観光業を支える3社に潜入!県外からも就職者が増える沖縄の観光業界の魅力を調査し、その人気の秘密を探ってみます!
心からの笑顔で最高のおもてなしを。-オリオンホテル 那覇
最初に潜入したのは、沖縄観光の中心地「国際通り」に面するホテル、「オリオンホテル 那覇」。名前の通りオリオンビールが手掛けるホテルになり、1975年創業の歴史を継承しながら、昨年リニューアルオープンしたことで、さらに五感で沖縄を満喫できるワンランク上の沖縄ステイを届けています。
旅行において欠かすことのできないホテルでの働き方は、どのようなものでしょうか。お話を伺ったのは、フロントスタッフを主に務める、宿泊部フロント課の稲嶺 幸弥さん。
――ホテルマンとは、どんなお仕事でしょうか?
ホテルマンの仕事は「宿泊」「料飲」「管理・営業」など、さまざまな職種がありますが、私が担当するフロント業務は、まさに“ホテルの顔“としてお客様に直接接する仕事です。 チェックイン・チェックアウトの手続きはもちろん、予約管理や各種ご案内まで多岐に渡りますが、単にフロントに立つだけでなく、滞在中はいかにお客様が快適に過ごせるかを考えながら仕事をしています。 |
「ホテルの第一印象はフロントで決まるから、常に笑顔を絶やさないように」と話す稲嶺さん。そこには稲嶺さん自身の経験もあり、笑顔の大切さを実感しているからだといいます。
私は沖縄出身なんですが、以前は東京の建築会社で働いていたんです。その時、社員旅行で訪れたホテルの方がすごくステキな笑顔で迎えてくださったことが印象に残っていて。その笑顔のおかげで日々の疲れが癒やされ、とても思い出深い旅になったんですね。 その経験がきっかけで、自分もそんな風にお客様を笑顔で迎える側で働いてみたいと思い、せっかくなら観光業が盛んな地元の方がやりがいがあるだろうと、思い切って異業種転職に踏み切ったんです。 |
――ホテルマンとして心掛けていることはありますか?
笑顔で接客するのはもちろん、できるだけお客様の状況に合わせた対応を心掛けています。例えば、チェックイン・チェックアウトの業務をスムーズに行ったり、「何が求められているか」を先回りして考えたり。滞在中はお客様にストレスをかけず、くつろいでいただくことが大切ですから。 |
場所柄、お客様から飲食店に関する情報を求められることも多く、休日は国際通りを歩いてはお店のチェックも欠かさないとか。雑誌やネットで紹介される情報だけではなく、自分で見たり食べたりしたリアルな情報を伝えることで、お客様に喜んでもらいたいからだと稲嶺さんはいいます。
やっぱり、お客様から「ありがとう!」と喜んでもらえるのが一番うれしいですからね。ホテルは旅の良し悪しを決める重要な場所だと思うので、その言葉が何よりの励みになります。前職は直接お褒めの言葉をかけてもらえる仕事ではなかったので、短い言葉でも思いが伝わってきて、心に沁みます(笑)。 「とてもいい時間を過ごせました」と言っていただけると、このホテルはもちろん、沖縄にも楽しい印象を持って帰っていただけたのだとホッと安堵しますし、私自身もうれしくなります。 |
――観光客が増えている沖縄県で、ホテルという観光業の最前線で働く醍醐味を教えてください。
国内にはさまざまな観光地がありますが、特に沖縄へは非日常感を求めて訪れる方が多いので、ホテルへの期待感も高いように感じます。その期待に応えるよう、サービス精神があれば存分に発揮できますし、手応えもしっかり感じられるのがこの仕事の醍醐味だと思います。 また、国内をはじめ海外のお客様も本当に多いので、さまざまな文化や風習を持ち合わせたお客様と接することで、自然とホスピタリティや接客サービスを高めることができます。ホテルマンとして働くには最高の環境だと思いますよ。 |
接客を通じて、お客様に沖縄の魅力を伝えたい。-おきなわ屋
続いて伺ったのは、沖縄県に7店舗を構える「おきなわ屋」さん。沖縄のお菓子や泡盛、キャラクターグッズなど、種類豊富なお土産を取り揃える人気店です。今回、取材に登場いただいたのは、沖縄県出身で今年4月に入社したばかりだという本店勤務の堀田 詩織さんと比嘉 夏樹さんです。
――お二人がおきなわ屋に就職されたきっかけを教えてください。
沖縄県の短大で総合ビジネスを学んだ後、総合職として入社しました。入社のきっかけは、もともと商品開発の仕事に興味があったことから。おきなわ屋は県内メーカーの商品も多数扱っていますが、オリジナル商品も数多く開発しているので、どんな商品が人気なのかを学びながら商品開発の仕事に携わってみたいと思ったんです。 |
私は公務員を目指して専門学校に通いながら、服屋さんでアルバイトしていたんです。その時に接客の楽しさを知ったことがきっかけですね。「私の天職は接客業かも!」と思い、せっかく働くのなら、国内外から多くのお客様が訪れる沖縄の魅力が詰まった“宝箱”のようなこのお店で働きたいと思い、入社を決めました。 |
現在、お二人の仕事は接客を中心に、品出しや在庫管理などを担当しています。本店は国際通りに面した県内随一の繁華街にあるため、日々さまざまなお客様との出会いがあるとか。
お客様からは「おすすめの商品は何?」と聞かれることも多いので、すぐにお答えできるよう、今は商品を覚えるだけで精一杯(笑)。でも、毎日たくさんのお客様が訪れてくださって、商品を選びながらワクワクしている姿を見ると、こちらもうれしくなってくるんですよね。 |
最初はなかなか自分からお客様にお声がけできなかったんですが、今では「このお菓子、すごくおいしいんですよ!」と、積極的にお話しできるようになりました。その上でその商品を気に入って購入を決めてくださると、本当にうれしいんです。そんな時に「観光の仕事って最高!」なんて思うんですよ(笑) |
――観光客の方と接する上で心掛けていることは何ですか?
まずはお客様がどんな商品を求めていらっしゃるか、思いを汲み取りながら接するよう努めています。お客様一人一人のご要望にお応えできるよう、自分の言葉で商品のよさをお伝えするんですね。例えば、「このお菓子は塩味が隠し味なんです」「会社用のお土産ながら個包装になったこの商品がおすすめ」などと、具体的な言葉でご説明できるよう心掛けています。 あと、どんなに忙しくても笑顔で接客すること!旅の最後に立ち寄られる方も多いので、楽しい気分で帰ってもらいたいといつも思っているので。 |
観光地にある土産店として商品を売るだけではなく、沖縄の楽しい思い出も一緒に持ち帰ってもらえる場所になれば、とお二人はいいます。
県内にあるさまざまなメーカー様の商品を扱うので、いわば私たちはその良さを伝える広報担当のようなもの。それがやりがいでもあり、責任ある仕事だと感じています。まだ働いて数カ月ですが、国際通りを歩く観光客の数は日々増えているし、新商品も続々と入荷するしで、活気を感じずにはいられません! |
海外のお客様も本当に多いので、接客業は英語の勉強には最適かも。英語で話しかける度胸もつくし、伝わった時の達成感といったら!拙い英語でも思いがあれば伝わるんですよ(笑) |
――今後、観光の仕事に携わることで目指す目標はありますか?
早く現場の仕事を覚えて、いつの日か敏腕営業スタッフになるかつ商品開発に携わることです。当社はエイサー祭りを主催するなど、沖縄の伝統や文化を守り伝えることで、沖縄の魅力を発信することにも力を入れているので、そういった仕事にも関わっていきたいと思っています。 |
今はいろんなお客様に会えることが楽しいし、勢いのある現場にいるだけで満足しています。強いて言えば、「今年もやってきたよ〜」と、声をかけてくださるリピーターのお客様を持つ先輩方のように、私に会いに来たというお客様ができたらうれしいですね。そのためにもお客様との一期一会を大切にしたいと思っています。 |
沖縄の空の安全を守るのも、おもてなしの一つ -MRO Japan
最後に訪問したのは、那覇空港内に事業所を構える「MRO Japan」さん。MROは、「Maintenance(整備)」「Repair(修理)」「Overhaul(オーバーホール)」の略で、沖縄に発着するエアラインをはじめとした航空機のメンテナンス等を担う会社です。取材に対応いただいたのは、機体整備部で機体整備を担当する渡久山 希さんと事業推進部で広報を担当する渡久地 咲希さんです。
――お二人の仕事内容を教えてください。
私が担当するのはドック整備で、主に中・小型機をドック(格納庫)に収容し、定期点検・整備を行っています。この仕事に憧れたきっかけは、子どもの頃に見たテレビドラマの影響から。とても大きな格納庫の中で颯爽と働く航空機整備士の姿がずっと記憶に残っていて、もともと手に職をつけて働こうと考えていたので、航空ビジネス科がある専門学校を経て、今の仕事に就きました。 |
私は広報課として当社のPR活動促進や一般のお客様に航空機整備工場エリアをご案内するツアーガイドを担当しています。子どもの頃から航空業界に興味があり、以前は那覇空港でグランドスタッフとして勤務していました。他企業への転職を経たなかで、「自分の大好きな航空業界を多くの人に伝えられる仕事はないか」と探していた時に出会ったのがこの会社でした。 |
職種は違うものの、憧れだった航空業界で働きたいという夢を叶えて活躍されているお二人。中でも渡久山さんは沖縄だからこそ、今の仕事に就くことに大きな期待感があったといいます。
整備士として働くなら自動車関連の仕事もありますが、沖縄は本土に行くのも来るのも飛行機が必要不可欠。この先、ますますたくさんの観光客が訪れる将来性を考えた時に航空機整備の需要が増えると思ったんです。実際に働いてみてその考えは的確だったようで、今、一番勢いのある現場なんじゃないでしょうか。 当社はさまざまな航空会社の飛行機を扱うため需要も確実に増えていて、航空機整備士としてのスキルを磨くにも恵まれた環境だと思います。 |
――今の仕事のやりがいや醍醐味は何でしょうか?
ツアーではお客様たちに普段見ることのできない距離まで近づいて飛行機の整備風景を見ていただくのですが、「すごいね!」「整備士さん、かっこいい」という声が聞こえると、本当にうれしくて! それと同時に、ツアーガイドとして一番伝えたいことは、旅の安全を守るために働く航空機整備士たちの姿やその思い。航空機整備士たちが大きな飛行機と真剣に向き合い懸命に取り組む航空機整備士の皆さんに代わって、少しでもこの仕事を理解していただけるよう、時に熱く、気持ちを込めてご案内しています。 |
渡久地さんは「お客様からいただく言葉は全部宝物になっています」と笑顔に。その一方で、整備士として働く渡久山さんは仕事の醍醐味をこう話します。
人の命を預かるという重要な責務を果たすため、一人ひとりがこだわりとプライドを持って仕事に挑んでいます。限られた時間の中でも不具合を絶対に見落とさないよう、チーム一丸となって作業に取り組むことで、飛行機を無事送り出した時にほっと安堵できる。毎日が緊張の連続ですが、達成感は人一倍あると思います。 |
――沖縄の観光が盛り上がりを見せる今、仕事を通じてどのように寄与していきたいですか?
MRO Japanは日本で唯一の航空機整備の専門会社ですが、まだまだ航空機整備士という仕事は認知度が低いように感じます。この沖縄にこういった会社があることを通じて、沖縄の観光業が支えられていることや航空機整備士の仕事の魅力を伝えていきたいです。 また、人の温かさやフレンドリーさが沖縄らしさだとも思うので、おすすめの観光地の話なども交えながら、沖縄の魅力を発信していきたいと思っています。 |
今年、1等航空整備士の資格を取ったことで、できる仕事の範囲が広がったので、さらに次の資格を目指していきたいです。自分ができる作業が増えれば、クオリティを高めながら効率良く作業が進められますし、結果的に沖縄の観光業の活性化にも貢献できると思うので。 沖縄の空に安全な飛行機が飛んでいるのは自分たちががんばっているから。そう思うと、すごく夢がある仕事だと思えるんですよ! |
魅力いっぱいの沖縄の仕事。就職イベントも随時開催!
沖縄県の観光産業、いかがでしたか?どの企業も、観光客への思いをもって仕事をされていて、取材させていただいた方が笑顔で仕事に頑張られている姿が印象的でした。
そんな沖縄の観光業を志す人向けに、沖縄県では、以下のような取り組みやイベントを実施!興味のある方は覗いてみてはいかがでしょうか。
沖縄の観光人材をもっと知りたい方は……
「沖縄観光みらい新聞」は、「観光の力で、沖縄の未来はもっと動き出す」を合言葉に、沖縄で活躍するさまざまな観光業の方々のインタビューを連載。沖縄の観光産業の面白さ・働きがいを知ることができます。
就職イベントや職業体験にトライしてみたい方は……
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