突然ですが、皆さんは「出光興産」と聞いて何をイメージしますか?

多くの方が「ガソリンスタンド」と答えるのではないでしょうか。たしかに、出光興産は石油事業をメインとする老舗企業で、ガソリンスタンドのイメージが強いこともうなずけます。しかし実は、地球環境保全のため「省資源」を目標に掲げ、「地球環境にやさしい素材」の開発に取り組んでいる企業でもあるんです!

さらに、中期経営計画では大卒の女性採用比率50%を目標に掲げ、男女の別なく活躍できる企業へと更なる進化を遂げようとしています。そこでこの記事では、実際に出光興産で働く社員の方にインタビューし、“出光興産ならではの省資源”への取り組みを紹介します。

有機EL*1が実現する美しい映像と省電力! 出光興産の研究者にインタビューしてみた

世界に誇る技術を発明した研究者のルーツとは?

*1 テレビやスマートフォンのディスプレイに使用されている発光技術

田崎さん
田崎 聡美 さん

新卒採用で出光興産に入社後、有機ELの研究・開発を行う部署に配属され、研究職として従事。
 
現在は、材料開発に加え、開発したプロダクトを世の中に広めるための技術営業も兼務している。

――学生時代はどのようなキャリアビジョンをお持ちだったのでしょうか?

大学では、有機光化学という有機材料の発光特性を解明する研究をしていました。教員免許を取って理科の教師になるつもりでしたが、大学院2年のある日、「企業に就職しよう」と思い立ったんです。

――なぜ、教師ではなく研究者の道を選び、出光興産へ入社されたのでしょうか?

誰かに教えたいという気持ちよりも、「自分が開発したものを世の中に残していきたい!」という想いが強くなったことが理由ですね。

当時、有機ELの分野では、赤色と緑色の発光材料の研究は実用レベルに近いところまで進んでいましたが、青色の発光材料の研究は難易度が高く、実用レベルから遠い状態でした。

明るい発光と長寿命の両立が難しいとされていた青色発光の様子  

↑明るい発光と長寿命の両立が難しいとされていた青色発光の様子

私が学生の頃も含め何十年もの間、青色材料の明るい発光と長寿命の両立は実現できていませんでした。寿命を延ばそうとすると明るさが落ち、明るくしようとすると寿命が縮むという、「効率と寿命のトレードオフ」がずっと課題だったんです。

それにも関わらず青色材料の研究に挑戦し、トップを走っていた出光興産で、「この青色材料の研究を行い、自分が革新的な一歩に携わりたい」という想いが強くなりました。

――入社前、「出光興産」といえば、どんな印象でしたか?

出光興産に入社した多くの人が同じように答えると思いますが、やはり私も「ガソリンスタンド」に象徴される「石油」のイメージが大きかったことを覚えています。

ですが、就職活動中、有機ELの研究をしている他社の面接で「有機ELをやりたいんだったら出光興産に行くでしょ」と言われ、出光興産は石油事業で有名なだけでなく、有機ELにおいても最先端なんだと実感しました。

――実際に入社されてみて、どのような印象を受けましたか?

「メインのビジネスは石油事業なんだ」という印象でした。一方の有機EL研究は、主力事業ではなかったため少し肩身の狭い感じでしたが、自由度が高くのびのびとした雰囲気を感じました。その点がとても魅力的でした。

――入社されてからどのような業務をご経験されたのでしょうか?

2012年の入社当初から有機ELの部署に配属され、研究職として勤務してきました。そして、3年前から研究結果を製品に導入させるための技術営業も始めました。

世界最高レベル! 新しい発光方式で有機ELや環境はどう変わる?

――現在はどのような業務に取り組まれているのでしょうか?

お客様(メーカー)が開発しているテレビやスマートフォンのモデルに対して「こういう材料で性能を上げることができます」と提案していく技術営業の仕事と、有機ELの新しい技術開発に並行して携わっています。 また、昨年度からチームリーダーになり、自分含めて4人のチームで取り組んでいます。

――有機ELの技術が進化すると、どのような効果が期待できるのでしょうか?

薄くて軽い材料なので、さまざまな形状のディスプレイが開発できたり、なめらかな映像表現ができたりします。これが、有機ELの特長です。

また、有機ELは、電圧をかけると素材自体が発光するため、バックライトを使う液晶に比べ電力消費を抑えることができます。つまり、「省電力・省エネルギー」につながるということですね。

粉末の有機EL材料  

↑粉末の有機EL材料

――田崎さんが開発された新しい発光方式は、世界最高峰の技術だと伺いました。どのような特徴があるのでしょうか?

先ほど触れた「効率と寿命のトレードオフ」を打破する技術です。実際に出光興産の中でそのようなもどかしい状況を間近で見ていたからこそ、「原因がわかっているのに、それでもうまくいかないのなら全く新しい挑戦をしないといけないのではないか」と考え、前例のない方法を試したのがきっかけでした。

お仕事中の田崎さん  

↑お仕事中の田崎さん

よく、「大変だったんでしょ?」と聞かれるのですが、実は、そうでもなかったんです。その開発に携わるまでは、既存の研究成果を少し改変してマイナーチェンジを進めていくようなやり方がメインだったので、新しいことにチャレンジしたいと思っていたんです。

ですので、自分のメインの仕事とは別に、裏テーマとして青色材料の研究を始めていたんです。まさにその挑戦が実ったのですが、やりたいことをやった結果だったので苦ではありませんでした。

――本業とは別の裏テーマを持って研究されていたのですね。ご自身に負荷をかけてまでがんばれた原動力は何だったのでしょうか?

更なる進化が期待されている有機ELの技術に対して、「この状況を変えたい! もう一歩進みたい!」という想いがずっとありました。その根底には、幼少期から考え続けていた「この場所において私の存在価値ってなんだろう」というテーマのようなものがありましたね。

成長するにつれて「生まれてきたからには、自分の手で何かを成し遂げたい」という想いが強くなり、有機EL研究への意欲へとつながっていきました。

また、反骨精神のようなものもありましたね。青色材料研究のトップクラスにいる出光興産ですが、全社的にはやはり石油事業が中心であるのが実情でした。ビジネスとして、まだあまりお金を生み出せていないことに肩身の狭さを感じ、何とか自分の携わる研究でお金を生み出したいと感じていました。

――有機EL研究のどのようなところにやりがいを感じていますか?

出光興産では材料開発して終わりではなく、材料を素子評価して、なぜ良かったのか、なぜ悪かったかまでしっかり解析するところまでやります。なので、製品化に至るまでの所々で発生する課題に対して、一つ一つに真剣に向き合い、最適解を導き出していく過程が純粋に楽しいと思えます。

1児のママとして、研究者として、目指す未来は?

――育休から3か月で復帰されたと伺いしました。どのような想いで職場に復帰されたのでしょうか?

ちょうど、私たちが開発した青色材料の製品化が決まった時期に産休に入ったので、タイミング的にはとても良かったです。ですが、この業界はモデルチェンジがとても速く、長く休んでいたら追いつくのが大変だと感じ、早期復帰を決断しました。夫が同じ職場の研究職だということもあり、私のキャリアの考え方に理解を示してくれました。

両親が同じだけ働いて、同じだけ家事と育児をする。その姿を息子に見せられていることに、 とても感謝しています。息子が大人になったとき、それが当たり前の姿になっていることを願っています。

――子育てをしながらの研究は、大変なことだと思います。どのようなモチベーションで働かれているのでしょうか?

以前は時間を気にせずやりたい仕事を自由にやれていましたが、今は子どもがいるので帰らなければいけない時間が決まっています。時間が限られると集中して仕事に励むようになるので、そういう意味では出産前と生産性は変わらないかもしれませんね。

「休日に子どもと遊ぶために、平日の5日間は全力で頑張ろう!」という励みにもなっています。

――ママになって、未来の環境問題についての考え方も変わったことかと思います。ママとして、研究者として、どのような想いが強くなったのでしょうか?

これからの時代を牽引するマテリアルカンパニーとして2040年、2050年に向けて経営ビジョンを構想していると思いますが、その時代には、すでに私の子ども世代が30代、40代になっています。

今はその時代に向けて、有機ELに限らず何か少しでも貢献できたらと思いながら働いています。便利な社会であることも願っていますが、それだけでなく、自然などが守られていて、健康に日々を過ごせる環境であればいいなと考えています。

――現在取り組まれている有機ELの研究、今後どのように展開されていきたいとお考えでしょうか?

私たちの青色材料をお客様の製品に採用していただくにあたって、性能への要求が年々厳しさを増しています。発表から約1年が経った今でも、いまだに難易度が高い性能の実現をお客様から求められています。

これまで培った知見は大切にしつつ、でも既存の概念にとらわれないように積極的にチャレンジし続けたいと考えています。私たちのチームが開発した技術が世の中に製品として出ていくまで、日々、試行錯誤を重ね新しい価値を生み出していきたいです。

――今後、出光興産の社員として、一研究者としてどのような想いで社会に貢献していきたいとお考えでしょうか?

世の中の流れとして、「省電力・省資源」への取り組みは当たり前になってきています。また昨今、全世界で電気代も高騰していますよね。そういった現状を変えるために、有機EL研究を通して、利便性を追求しながら「省電力・省資源」の役にも立てる存在になれたらいいなと思います。

未来の地球環境を創る! 出光興産の事業展開に注目!

出光興産と聞くと、「石油事業」や「昔ながらの企業」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、田崎さんのように世界トップレベルの開発を実現し、育児と両立して活躍する女性社員も多くいらっしゃいます。「令和4年度なでしこ銘柄」にも認定されています。

出光興産の中期経営計画  

↑中期経営計画(2023~2025年度)にて発表

また、出光興産は中期経営計画においても以下の3点を軸に掲げています。
①地球にやさしい一歩先のエネルギーの安定供給
②省資源、資源循環ソリューション事業の展開
③サービスステーション(ガソリンスタンド)「apollostation」の「スマートよろずや」*2構想
を軸に掲げています。

*2 サービスステーション「apollostation」を活かし、地域の暮らしをサポートする生活支援基地としての展開

* * *

“中期経営計画の柱”の1本として、有機EL材料などの素材開発を通した「省資源、資源循環ソリューション」事業の展開を強化している出光興産。その他にも、「地球にやさしいエネルギーの安定供給」を中期経営計画の柱として掲げており、カーボンフリーの水素やアンモニア、出光グリーンエナジーペレットなどの開発も行っています。

すべては私たちの豊かな生活のために、地球環境のために。これからも地球の未来を考え続ける出光興産から目が離せません。

   


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