みなさんは『SnapDish(スナップディッシュ)』というアプリをご存じでしょうか? スナップディッシュは、料理写真の投稿やレシピの共有など、料理を通してユーザー同士の交流を楽しめる料理カメラアプリです。

  • 簡単においしく撮れるNo.1(※)料理カメラアプリ「スナップディッシュ」※自社調べ。AIによるおいしく撮るための機能を搭載した料理専用カメラアプリでの累計投稿数。

累計投稿数は約2,800万、類似サービスでの"いいね"に相当する"もぐもぐ"数は約2億5000万と人気もさることながら、ユーザーの投稿データを解析して、料理のシズル感や映える構図などを即時に判断してくれる「AI料理カメラ」や、おすすめの料理写真をサジェストする「For You」機能を搭載するなど、AIと自然言語処理を組み合わせたさまざまなアップデートが行われています。

今回は、運営元である『ヴァズ株式会社』のCTOである清田史和さん、担当エンジニアの森永雄也さんに、スナップディッシュを開発した経緯、AIの活用など伺いました。

清田 史和(きよた ふみかず)さん

オン・ザ・エッヂ (ライブドア)のシステム開発部から、イトクロの技術部長、弁護士ドットコムの顧問を経て、2010年にヴァズ株式会社を共同創業。現在CTOを務めながら、アプリ開発からサーバーサイドまでマルチスタックに活躍。

森永 雄也(もりなが ゆうや)さん

大学で機械学習や自然言語処理などを専攻。修士課程の時にヴァズ株式会社と出会い、2018年にインターン入社。同年11月に契約社員、2022年に正社員として入社し、現在はスナップディッシュ の担当エンジニア、AI・Androidアプリ開発API開発などを担当する。

『スナップディッシュ』開発のきっかけはCEOの奥さん

――『スナップディッシュ』を作ろうと考えたきっかけについて教えてください。

開発のきっかけは、代表取締役CEOである舟田の奥さんが、フィーチャーフォンで料理の写真をママ友と見せ合いながらお喋りをしたり、料理のアイデアを交換したりしていたことですね。2010年ごろでしょうか。


当時すでにレシピを検索できるサービスはありましたが、料理を写真に撮って交流するサービスはまだなかったんですよ。テキストから写真への変遷があると考えていたので「写真を使ったコミュニケーションが来る!」という感覚はありましたね。ですので「料理がおいしそうに撮れて、楽しく共有できるアプリを作ったらいけるよね」という話はしていました。


――料理に反応があると嬉しくなりますよね。創業時から『スナップディッシュ』を開発されていたのですか?

最初は別のアプリを作っていたのですが、それがどうもうまくいかなかったんです。実は「ヴァズ」という会社名は、そのアプリの名前でした。


――開発で苦労した点は?

2010年当時はまだiPhoneの性能が低く、APIも揃っておらず、自分でコードを書く量が多かったことですね。初期のスマホアプリはよくクラッシュすると言われていて、そういった問題との戦いもありました。


――リリースしたときの反響や、印象深いエピソードはありますか?

リリースと同時にAppleから連絡が来て、全国誌に紹介されたことを覚えています。ものすごく良い初動を迎えることができました。

ユーザーさんからもいろいろなレスポンスをもらえました。会社近くの公園でイベントを行ったりもしましたね。現在はコロナ禍の影響もありオンライン開催ですが、当時イベントに参加したユーザーさんはいまもスナップディッシュを使ってくれています。


  • 食体験の定期便サービス「食卓を紡ぐおたより便」や、様々な食品メーカーとのコラボイベントなど、スナップディッシュの公式YouTubeチャンネルにて定期的に開催されている。

また「サービスを提供している我々も料理をする人の気持ちがわからなきゃな」ということで、お昼ご飯も社員みんなで作っています。(※現在はコロナ禍でお休み中)私も最大1日12食ぐらい作って、なんだか食堂のおじさんみたいでしたが、上達すると妻にも喜ばれましたね(笑)。


スナップディッシュをより魅力的に変えたAI活用

――スナップディッシュではAIが効果的に活用されています。まずは「AI料理カメラ」についてご紹介いただけますか?

「AI料理カメラ」機能は、写真に写っているものが料理かどうか、またおいしそうに写っているかどうかを判定してくれます。スナップディッシュに蓄積された料理写真と、それに対するユーザーの反応を学習させたもので、いわばユーザーの感性をコピーしたようなAIです。


「映え」だけでなく「食べたい」がより重視される傾向にあるので、結果として反応の多さとおいしそうに見えるかという予測がほぼイコールになっています。また、"もぐもぐ (いいね) 返し"のような反応をできるだけ除外するように工夫しています。


――では、「似ている料理」はどういった機能なのでしょうか?

「似ている料理」機能は、撮影した料理がどんなジャンルかを推定するものです。推定の過程で料理のベクトル(要素を抽象化した数値)が生成されるのですが、このベクトルの類似度が高いものを順に出すと、似ている料理が出力されるという仕組みです。とはいえ、ベクトルだけでは失敗もありますので、テキスト情報を自然言語処理してカバーしています。


――2022年にリリースされたばかりの「For You」についても教えてください!

「For You」機能は、「似ている料理」を応用したものです。そのユーザーさんが"もぐもぐ"していないけれど、"もぐもぐ"傾向が近いユーザーさんが"もぐもぐ"している投稿を順位付けして、「自分好みの料理写真」として提案してくれます。

――AIと料理を結び付けようと思ったのはどうしてなのでしょうか?

まずAIを使ってみたいということ。当時iPhoneでCore MLや新しいAPIが話題になっていたこと。それと営業などからの要望もありましたが、エンジニア魂のほうが大きかったのかもしれませんね。そして使うならば、より料理を楽しくするために使いたいという思いがありました。


ただ、AIに関連する技術は基本的に基礎技術です。なにかと掛け合わせることで価値が出るもので、我々はその掛け算の変数側にいると思っていました。当時はまだサービスへの応用例が少なかったんですが、考えていたら「何かできそう」みたいな直感がフワッと湧き出てきたんです。


――AIの活用するにあたり、難しかった点・苦労した点はありますか?

料理判定ですね。リリース時の判定精度は90%ほどでしたが、「料理じゃないものが料理と認識される」というレスポンスをもらったんです。結構なんでもキレイに撮影できるので投稿の中にはネイル写真などもありました。もちろん公開情報に料理以外があるのは問題ですので、そういった投稿は非公開にしています。


――お二人は、アプリ開発、AI開発にそれぞれどのような面白さを感じていますか?

ユーザーの反応がダイレクトに伝わってくることですね。それに対してすばやく対応することで反響があることもまた楽しさです。もちろんネガティブな反応が来ることもたくさんあって、そのときはヘコむんですが(笑)。でも、それも長い目で見たら人生だと思っています。


AIの中身は理屈で説明できないところがあって、良くも悪くも予想できない動きをすることがあります。「これを判断できるのか!」「そんな誤解をしちゃうのか!」みたいな。例えば、AI料理カメラの認識精度は9割を超えていますが、個別に見るとおでんをアイスクリームと認識してしまっていたりするんですよ。こういった部分は課題でもありますが、面白さでもあると思います。


AI開発を後押しした“アークのPC”

――スナップディッシュの提供開始から4年目に、AI開発用としてアークのPCを導入したと伺いました。

はい。AIの開発を始める際、まず「PCかクラウドか、どっちでやろうか?」という話がありました。しかし、クラウドはデータ転送量に応じて料金が変わります。当時はまだどういう開発をするのか、どれくらい時間がかかるか、まったく読めませんでした。実際にざっと計算してみたらそれなりに費用がかかるため、交流のあったアークさんに相談したんです。


――アークは自作PCパーツやBTO‐PCの専門店として知られていますね。

メモリの購入などで個人的に利用していました。堅実なイメージがありましたね。パーツの相性のアドバイスとか懇切丁寧に教えてもらえて、適材適所なPCを紹介いただきました。


アーク

PC専門店のアーク公式ホームページ。豊富な品揃えで、秋葉原には実店舗も。 ※画像クリックで詳細へ

――アークのPCを導入した最初のご感想は?

自分でスペックを選んだものなので、PCが届いたときはすごく嬉しかったですね! AIの開発環境としてカスタマイズしたのですぐにセットアップもできましたし、処理速度も速い。そして配線も非常に美しい。なにより、クラウドのように「無駄なく使おう」とか気にせず、ひたすら使えることが楽しかった。そこからずっと愛車みたいな感じでアークのPCを使っています。


本年度は3回目の導入も行いました。やっぱり機械学習がすごく速くなって、結果としてAIの品質向上により多くのリソースを割けるようになっています。AIは一度学習させたら終わりというわけではなく学習が速ければ速いほど試行回数を増やせるので、有利になった実感があります。


手厚いサポートもありがたいですね。調子が悪いなと感じたときにアークさんに連絡すると一通り点検・修理を行ってくれます。ちゃんと見てもらえるっていう安心感がありますね。


――AIモデルの開発においては、クラウドのGPUリソースを利用するケースが増加傾向にあります。そのような中、オンプレミス環境でアプリ開発、AI開発を行うメリットについてお聞かせください。

オンプレミスは試行錯誤的な試みに適していると思います。クラウドは予算を考慮し、しっかりと計画を立てて、見込みの高い実験を行い、適切な箇所で引き上げるといった手順を踏んで使わなくてはいけません。研究開発と本質的には関わりの無いリソースが割かれてしまうんです。これが現場には負担なんですね。まだまだAIは意思決定メカニズムがはっきりと判明していないような分野ですから。


さらにひろがるスナップディッシュの世界

――導入を予定しているサービス・機能追加について、お話しできる範囲でお聞かせください。

アプリの次のプロジェクトとしては、料理投稿に写真を追加できる機能を開発中です。料理写真の追加で表現や交流の幅が広がることを狙っています。また、モバイルサイトを拡充し、Webからもアプリと同じ体験ができるようにする計画も立てています。


――今後、お二人が実現したいことは?

ユーザーさんのアプリ体験を改善するために、既存の機能に対し積極的にAIを組み込みたいと思っています。例えば、投稿に踏み切れないユーザーさんの後押しをしたりとか、ハッシュタグを提案してくれるとかですね。


具体的な計画はまだまだ言えないですけれど、スナップディッシュの価値を、他の業態や事業体とうまく連携したいと思っています。また海外ユーザーもいますので、国の枠を超えた交流が行えるような企画もちょっと考えてます。

10年以上サービスを続けていると、見直しが必要な部分や、今後も続けていきたい部分が増えてきます。会社の体制が変わったら、そのあたりにも着手をしたいです。

――お二人とも、ありがとうございました!

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ヴァズ株式会社が2022年に導入し、アプリ・AI開発のスピードを向上させたPCのベースモデルとなったのが「arkhive CREATOR Limited CL-I9G39R AC-IC16Z69AGA9I-FT」です。

コンシューマ向けCPUの最高峰「Intel Core i9 12900K」は、8+8コアの計16コア・24スレッドで強力な演算処理をユーザーに提供。あわせて強力なGPUコンピューティングを実現するNVIDIAの「GeForce RTX 3090 Ti」を搭載しており、システムに高い負荷がかかるアプリ・AI開発をしっかりと後押ししてくれるでしょう。

そんなハイパフォーマンスを安定して駆動させるため、マザーボードには「ASRock Z690 Steel Legend」を採用。また、今回1世代前の構成を選択したのは、使用するLinux環境への対応や安定性がポイント。この構成であれば長時間にわたる機械学習も安心して行えるはずです。

またPCケースには、優れたエアフローで最大限の冷却効果を発揮する「Fractal Design Torrent TG」をチョイス。高い空冷効果を持ちながらもノイズレベルは低く抑えられており、オフィス内にも設置が可能です。両側のサイドパネルにラッチ構造を採用し、スクリューレスで取り外しが行えるというメンテナンス性の高さも魅力といえます。

オンプレミス環境でアプリ・AI 開発を検討しているのであれば、ぜひ検討してもらいたいモデルです。

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