コロナ禍は、日常を大きく変えてしまいました。デジタル化やオンライン化、社会理念や価値観の変容などが急速に進み、新たな生活様式への適応が急務に。今後、変化のスピードは加速度的に増し、さらに予測困難な時代を迎えるといわれています。

そんな未来を生きる子どもたちが自らの人生を切り開いていくには、どのような力や学びが求められているのでしょうか?本連載は、一人ひとりの可能性を追求し、その能力を最大限に伸ばす「KUMON」の提供でお送りする企画「KUMON FUTURE LAB」。各分野のフロントランナーに密着取材します。

第3回は、ロボットクリエイターの高橋智隆さんにお話をうかがいました。

  • 高橋智隆
    1975年生まれ。株式会社ロボ・ガレージ代表取締役社長。東京大学先端科学技術研究センター特任准教授、福山大学/大阪電気通信大学情報学科客員教授等を歴任。ヒューマンアカデミー「ロボット教室」アドバイザー。

理系的な捉え方や考え方で
物事を見極められるかどうか

━━本日はよろしくお願いいたします!高橋さんはロボットクリエイターとしてご活躍ですが、どのような力が役立っていると感じますか?

「科学リテラシー」と言いますか、理系的な捉え方や考え方ができる力でしょうか。製品や技術に関することをはじめ、さまざまな情報について論理的にも直感的にも良し悪しや真偽をジャッジするセンスです。


━━そのような力はどのようにして身についたのでしょうか?

子どもの頃から好奇心が強く、ガジェットが好きな“モノフェチ”だったので、「どういう仕組みで動いているのだろう?」「どうして、この車はこんなにもカッコ悪いんだろう?(笑)」と「なぜ?」を探求していました

深く考察するのは、幼少期からの性格みたいなものですね。ロボットも、たとえば動きが不自然に見えるときには必ず理由があるものなので、突き詰めていく思考方法はロボットクリエイターの仕事にも活きています。


━━その力は今の子どもたちにも必要だと思われますか?

そうですね。たとえば、今の世界はコロナ禍や紛争で混乱の最中ですが、真偽不明の情報が錯綜し、それこそ国家全体が振り回されるような事態に陥っています。

理系的な捉え方や考え方で情報を整理し、物事を論理的に見極められるかどうかが未来を自ら創造していくカギになるのではないでしょうか。


━━高橋さんのいう「科学リテラシー」はどのようにすれば培われるのでしょう?

理系教科に対して知的好奇心を持ちながら学ぶことが大事です。そして、自発的な興味に従って深掘りし、身の回りの現象と照らし合わせて自分で判断する習慣を作る。学習と体験の繰り返しで培われていくものだと思います。


勉強は、広く浅く+深掘り
複数の得意分野の掛け合わせが自分だけの新たな強みに

━━高橋さんは立命館大学の文系学部を卒業後に、京都大学の工学部に入学されていますが、そもそも勉強はお好きだったのでしょうか?

勉強は嫌いでしたね(笑)立命館大学へは高校からエスカレーター式で入学したのですが、まったく勉強していませんでした。

京都大学の工学部を受験したのは、就職活動で第一志望の企業から内定をもらえず、やはりちゃんと学んでエンジニアになろうと思ったからです。


━━久しぶりの勉強に抵抗やストレスはありませんでしたか?

まずは好きな数学や物理に集中し、嫌いな科目は後回し(笑)物置部屋に閉じこもって寝転がって勉強していました。

数学の難問に取り組むのが好きで、何時間も考えて解けなかったら寝るすると寝ボケている頃に解法を思いついたりするんです。

特に合格期限を設けていたわけではなかったので、変に焦らず勉強できたのも良かったのかもしれません。


━━最終的には嫌いな科目も勉強されたんですよね?

はい、そこは試験直前に割り切って勉強しましたね(笑)


大人になると、不条理な場面が多々ありますよね。僕も当時は違和感を抱いていたので、勉強が嫌いな子どもたちの気持ちが痛いほどわかります。

けれど、自分にとって興味の無いことであっても、筋トレみたいに「一定の成果を出す訓練」と思って割り切るのも大切です。いちいち反発し続けていると、人生を棒に振ってしまいかねませんから。


━━ひとつの分野に固執しすぎるのも良くないんでしょうか?

一部の天才はむしろそうすべきです。たとえば、数学者になるとか。

でも大多数の子どもたちは得意な分野を深掘りしつつ、広く浅く勉強するのが良いと思います。得意分野は2個以上あるのが望ましいでしょう。


僕は数学が得意で大好きでしたが、京都大学に入学すると、身近に圧倒的に優秀なクラスメイトがいたりするわけです。しかし、数学単体で一番になるのは難しくても、複数の分野を組み合わせれば自分にも可能性が出てきます

ロボットは、まさに典型的。機械・電気・情報・デザイン・素材・加工と、複数の分野が関わっています。いくつかの得意分野が掛け合わされば、自分だけの新たな強みになるはずです。


勉強の基礎固めには“非効率”な反復練習が有効
KUMONに見る理想の教育とは?

━━ちなみに、高橋さんは公文式教室に通われていたんですか?

はい、小学生の頃に通っていました。振り返ると、公文式学習のおかげで「学習すること」を学んだと感じています。

自発的で創造的な学習が礼賛されがちな世の中ですが、そのツールとなる基礎を習得するには反復練習を避けては通れません。


━━反復して自学自習する公文式学習のスタイルは、勉強の基礎固めに有効なのでしょうか?

とても有効だと思います。繰り返すことで、身体に染みついていくものですから。本だけ読んでいてもスキーを滑れないのと同じです。基本が反射神経みたいに自由になった先に、創造的な成長がある。

それに、実は僕はKUMONのシステムを絶賛していて……。


━━そうなんですね!どういったところを評価されているのか具体的に教えていただけますか?

分からない問題があった時、少し前の教材に戻ってやり直せば、自分の力で理解できる。そして、問題を解けたら、どんどん先に進めるところです。

KUMONは「世界全体の教育水準の底上げ」と「突出した才能の育成」、両方の役割を担っている稀有な存在です。それは大げさに言えば、世界の貧困を無くし、地球の未来を作っているということです。

僕もロボット教室を監修していますが、そんなKUMONの素晴らしさを参考にしたいと考えています。


━━高橋さんの「理想の教育」は、KUMONにヒントがあるとお考えなのでしょうか?

KUMONが実践している「全体の底上げ」と「才能の引き上げ」の両立を実現するのが理想の教育だと思います。ただ、公教育を変えるのは容易ではありません。

そもそも、全員に対して自由さやイノベーションを強調しすぎると、基礎学力さえ身につかなくなる恐れもあります。そう考えると、学校には通いながら、興味を持った分野の勉強を習い事として主体的に学んでいくのが良いのかもしれません。


親の意識のアップデートが不可欠
価値観を押しつけず、子ども自身の発見を見守る

━━これからの時代を担う子どもたちを育てる親世代に向けて、メッセージをお願いいたします。

親の意識のアップデートが不可欠だと思っています。今でも「成績が良ければ医者か弁護士に」と思っているかも知れませんが、少なくとも昔のような「おいしい仕事」ではない。

少し前まで子どもたちに人気で、でも親が目の敵にしていたYouTuberだって今やテレビタレントより稼いでいますし、そもそもテレビタレントだってちょっと前まで映画俳優と比べて卑下されていました。

時代とともにトレンドは変わって当然です。自分の古い価値観を押しつけず、他方で子どもたちが流行に短絡的に流されてしまわないように守ってあげる。親の役割は簡単ではありませんが、それによって子どもたちが自ら未来を見つけて欲しいのです。


「自ら未来を選択する」ことがクリエイティビティの基本です。それは、日々のちょっとした買い物から、進路選択などの大きな決断まで、同じです。

たとえば買い物をするとき、「よく売れているから」「値段が安いから」といった理由で物を買ってしまいがちですが、「デザインが好み」「設計がおもしろい」など、自分の心の声に従って選んでみるようにしてください。そうすると、クリエイティビティにつながるユニークな感性が養われていきます。


また、親が一喜一憂し、ある一面だけを切り取って子どもの能力の優劣を安直に決めつけるのはよくありません。要領よくテキパキこなす子と、時間が掛かるけど集中力の高い子、どちらが優れているとも言えませんから。

そして、「この本がお勧め」「あの教室が良い」「この展覧会行こう」などと親が先回りして情報を与えすぎないこと。子どもが自分で好奇心を育むよう、渇望状態くらいがちょうど良いと思います。子ども自身が「自分で見つけた!」と思えるように、そっと仕向けるのがミソです。


━━KUMONで学んだ経験は、子どもたちの強みの確立とクリエイティブな力の醸成にもつながるのではないかと感じました。高橋さん、本日は貴重なお話、ありがとうございました!

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予測不可能な未来だからこそ、どんな時代でも自ら考えて「生き抜く力」と、それを育むための「学習」を。「KUMON」は、教室でも自宅でも、一人ひとりの可能性を追求し、その能力を最大限に伸ばし、未来の可能性を広げられる機会を提供します。

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公文式学習とは?

学年に関係なく、一人ひとりの力に合った教材を指導者が選定し、生徒が自習で教材を解いていくスタイルの学習。指導者は生徒に「答えを教える」のではなく、生徒が「自分で解けた」という状態へと導く。また、結果だけではなく、行動や努力といった過程についても「具体的にほめてあげる」ことを大切にしている。自分で解ける状態になるまで反復練習するため、次のステップに進んでも自力で挑戦できる。その結果、「自習力」「学習習慣」「ものごとを粘り強くやり抜く力」「集中力」「自分で考える力」「自己管理する力」などの「力」が身につき、学年を越えた未習の内容も自習で解けるようになるといった特長がある。

[PR]提供:公文教育研究会