「自社の技術はどの市場で生かせるのか」「その市場は成長するのか」「成長のドライバは何なのか」――激しく変化するビジネス環境のなかで、企業が新しい技術や市場の成長性を見極めていくのは容易なことではないだろう。

9月7日に開催されたTECH+フォーラム「製造業DX Day 2021 Sept.事例で学ぶDX推進~課題と成功の勘所~」では、オリックス株式会社 事業法人営業本部 副本部長 戦略営業担当 石長浩之氏が登壇。「新領域マーケットリサーチプラットフォームによるグローバル進出スピードの向上」と題し、情報収集・分析の精度を上げ、高度な経営判断をもたらすDXアプローチについて成果を交えた解説が繰り広げられた。

  • オリックス株式会社 事業法人営業本部 副本部長 戦略営業担当 石長浩之氏

    オリックス株式会社 事業法人営業本部 副本部長 戦略営業担当 石長浩之氏

「経営のDX」を実現するために必要なモノ

「企業の成長をサポートするインパクトメーカー」として歩んできたオリックス。同社が考える「経営のDX化」とは、最新技術を活用し、意思決定のスピードと精度を向上させることである。その実現に向け、同社は2019年12月、インド最大手の市場調査企業であるマーケッツアンドマーケッツ社と業務提携を結んだ。これにより、グローバルな技術市場において新たな活路を求める企業に対し、経営戦略の策定/実行を支援していくという。

「彼ら(マーケッツアンドマーケッツ社)の提供するマーケットリサーチプラットフォーム『KNOWLEDGE STORE(ナレッジストア)』は、企業の事業戦略のDXを強力に推進するものです。同プラットフォームは、企業の成長をサポートするオリックスの方向性とも合致しています」(石長氏)

ナレッジストアは、情報収集/分析の課題を解決し、企業の経営判断を支援するプラットフォームであり、世界の高成長技術市場に関する知見が、幅広い分野に渡って網羅されている。

「ビジネスシフトを引き起こすような最新技術の探索においては、ナレッジストアが極めて適している」と石長氏は見解を示す。ナレッジストアでは、約550名の専任アナリストが企業や専門家に直接ヒアリングをした情報を分析した結果が格納されており、すでに5,800本以上のレポートが参照可能だ。新規レポートの発行や更新は、年間1,300本以上に及ぶという。

石長氏は「たとえニッチな技術でも、その市場規模や成長率の予測、競争環境などの情報が定量的に網羅されており、予測値は算出ロジックや根拠となる情報も記載されている。全てのレポートはデータベース化され、AIによって市場同士の関連性を推測し、俯瞰することができるため、今まで気づくことが難しかった“進出すべき市場”も見出せる」と説明し、ナレッジストアの具体的な機能をいくつか紹介した。

例えば、市場・技術キーワード検索機能では、全レポートを対象に日本語検索を行うことができ、ヒットしたキーワードはハイライト表示される。各レポートはその場でダウンロードできるため、調査や情報共有にかかる時間の大幅な短縮が可能となる。

また、特定の技術や市場に関するレポートから、関連する市場や周辺技術をAIがレコメンドする機能を搭載。これにより、想定していなかった技術用途や市場にも調査範囲を広げ、多面的な検討を行うことを可能にしている。

「単発のレポート購入などではわからない『どの技術市場が今後成長していくのか』『自社が把握できていない成長市場はないか』といった全体像の把握や、新たな気付きが得られます」(石長氏)

さらに、各産業分野の専任アナリストによるオーダーメイド調査サポートも提供している。これは、一定以上に絞り込んだ技術や市場について、データベース以上に踏み込んだ調査/分析を顧客の希望に応じたテーマで行うというもの。分析結果を基に、技術トレンドや競合環境、新たな市場に進出するためのパートナー候補などを可視化できるほか、新規事業のロードマップへの優先順位付けを行い、実行までを支援する。

石長氏は、「各産業に精通した専任アナリストのパワーを、インドの最大手企業ならではの圧倒的なコストパフォーマンスで、あたかも自社のリソースのように活用できる」とメリットを説いた。

マーケットインテリジェンスをデジタルとアナログの両面から支援

ここで同氏は、実際にナレッジストアを導入している国内企業の声として「技術戦略に体系的なマーケットインの仕組みを実装できる」「新興技術について定量的な将来予測をこれだけ網羅しているサービスはほかにない」といった評価を紹介。

新技術を網羅しているナレッジストアであれば、誕生間もない技術に対しても市場性に関する回答を得ることができる上、たとえ掲載されていないケースでもオーダーメイドによる調査が行える。そのため、「かゆいところに手が届く」「知っていると思っていた技術でも、知らない用途やユーザーの発見がある」といった声も数多く寄せられているという。

「ナレッジストアは複雑なバリューチェーンの全てを横断的に調査でき、客観的に冷静な分析を提供するので、『経営判断に大きく貢献してくれる』と高い信頼を寄せていただいています」(石長氏)

現在の複雑化した市場環境下において、企業が新たなグローバル技術市場へと進出するための経営判断には、調査から企画、開発、判断実行に至るまでの一連の活動を、戦略的な位置付けで行うマーケットインテリジェンスが欠かせない。そしてマーケットインテリジェンスの過程におけるさまざまな課題の解決と意思決定について、デジタルとアナログの両面から支援できるのが、ナレッジストアなのである。

ナレッジストアがもたらすもの

一般に、経営層に対し、各事業部門はそれぞれ自らの事業企画の推進に有利な情報しか報告しない傾向にある。だが、当然ながら経営者は正確な情報を基に、適切な経営判断を行いたいと考える。

ナレッジストアによって、各事業部門を横断した組織的なマーケティングを導入することで、経営と各事業部門の間に市場性評価に対する共通言語が生まれる。これにより、意思決定のバイアスが排除され、評価と判断の基準が統一されていく。

「ナレッジストアによって、経営判断のスピードと品質が飛躍的に高まります。縦割りだった事業の企画部門を統合し、機動力のある経営企画を組織することも可能になるはずです」(石長氏)

ナレッジストアは、マーケットリサーチプラットフォームであると同時に、事業を加速させるエンジンでもある。これにより、それぞれの企業が独自のマーケットインテリジェンスを実現し、“深化”させることができるのだ。

石長氏は、「我々は、お客さまの事業戦略に寄り添い、ナレッジストアを活用してほかにはないアンサーをお届けしていく」と力強く語り、講演を締めくくった。

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