デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現してイノベーションを創出するには、最新技術を採用したITインフラの活用が不可欠です。2021年6月15~18日に開催されたオンラインイベント「Lenovo Tech Week Spring 2021」では、企業のITプロフェッショナル/ITリーダーに向け、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(以下、レノボ)が展開する最先端のテクノロジーやソリューションの魅力が紹介されました。本稿では、2021年6月から予約受付を開始した「Lenovoハイブリッドクラウド検証センター」の概要や、VMware vSANベースのHCI(ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ)製品「Lenovo ThinkAgile VX」とサーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere 7」、ハイブリッドクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」との連携について解説された2つのセッションをレポートしていきます。

ITインフラの課題解決を支援する「Lenovoハイブリッドクラウド検証センター」とは

ThinkAgile VXの初級セッション「さらに進化したLenovo ThinkAgile VX ~VMware Cloud Foundationハイブリッドクラウド検証センターとvSphere 7 Update2 Ready!Lenovo ThinkAgile VX連携vSphere最新アップデートのご紹介~」では、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社 ソリューション推進本部 ビジネス開発マネージャーの内田 修氏とヴイエムウェア株式会社 パートナーソリューション アーキテクトの千田 霞氏が登壇。内田氏による、最新の市場動向を見据えたThinkAgile VXのラインナップ紹介からセッションはスタートします。

「グローバルのAI市場は前年比63.5%の勢いで成長しており、2021年から2025年にかけて成長が加速していくと予測されています。さらにGPU/FPGAを中心としたAI解析で利用されるチップの出荷も急成長していくと目されていますが、AIを活用するサーバーは膨大な電力を消費するため、二酸化炭素が大量に排出されるという懸念も出てきています。こうした課題に対処するため、ThinkAgile VXにAMD EPYCモデルを追加しました。この製品はGPUパワーにより、高密度なバーチャルデスクトップのワークロードに対応するほか、複数コアにより最大50%のサーバーコスト削減を実現するなど、まさに地球環境にやさしいサーバーといえます」(内田氏)

小規模からエンタープライズまで対応した豊富なラインナップを展開しているThinkAgile VXシリーズですが、今回AMD EPYCモデルをリリースしたことで、より多様なニーズに応えられるようになったと内田氏。従来のIntelモデルに関しても、2021年夏以降に最新のIce Lake対応モデルをリリースする予定と語ります。

続いて紹介されたのが、レノボ東京本社(秋葉原UDX10階)内に常設された「レノボ・カスタマー・エクスペリエンス・センター(LCEC)」において提供開始された「Lenovoハイブリッドクラウド検証センター」です。Edgeからデータセンター、パブリッククラウド間をシームレスな統合環境にすることで、ハイブリッドクラウド環境の検証が容易に行えるという業界初の取り組みで、将来的にはKubernetesコンテナ環境をいつでもどこでも体験できる検証センターになる予定といいます。

  • Lenovoハイブリッドクラウド検証センターの概要

    Lenovoハイブリッドクラウド検証センターの概要

内田氏は、Lenovoハイブリッドクラウド検証センターの利用で得られる4つのバリューとして、ハイブリッドクラウド環境構築における「運用コストの削減」「時間短縮」「セキュリティ強化」「専門家コンサルの提供」を挙げ、ハイブリッドクラウド環境の検証作業を迅速かつセキュアに行えると説明します。さらに内田氏は、「Neutrix Cloud Japanが提供するクラウド接続ストレージ『Neutrix Cloud』と連携してマルチクラウド環境をワンストップで体験・検証」と「ThinkAgile VXとコンテナベースのバックアップソリューション『Cohesity』を組み合わせてオンプレミス環境の仮想マシンをパブリッククラウドにコンテナレベルでバックアップ」という、Lenovoハイブリッドクラウド検証センター2つの利用シーンを紹介。すべての作業をリモート接続で行えたと語り、「まさにニューノーマル時代の検証スタイルといえます」と力を込めます。

VMware vSphere 7 Update2の新機能で、ThinkAgile VXとの連携が強化された

セッション後半は、ヴイエムウェアの千田 霞氏により、同社が提供するサーバー仮想化ソフトウェア「VMware vSphere 7」の最新情報と、ThinkAgile VXとの連携について語られました。

「vSphere 7の最新バージョンとなる『Update2』では、AIと開発者向けインフラストラクチャの提供やインフラとデータのセキュリティ強化、シンプルな操作といった機能拡張が図られています。AMD EPYCアーキテクチャ用にスケジューラを最適化し、従来のUpdate1と比べて最大50%のパフォーマンス向上を実現しました。AMD EPYCモデルのThinkAgile VXと組み合わせることで、極めて高いパフォーマンスを得ることができます」(千田氏)

さらにvSphere 7 Update2では、従来の「vSphere Update Manager」を強化した「vSphere Lifecycle Manager」により管理運用性の向上を実現していると千田氏。VMwareのソフトウェアに加えて、各ベンダーのアドオン、ドライバ、ファームウェアも含めてクラスタレベルでホストを管理できるようになると解説します。もちろん、レノボの提供するアドオンやドライバにも対応しており、ThinkAgile VXとの密接な連携を実現しているといいます。

さらに、vSphere環境のサーバー管理ソフトウェア「vCenter Server」とThinkAgile VXに搭載された「XClarity Integrators」を連携させることで、レノボの検証済みファームウェアやベスト・レシピを取得し、vSphere Lifecycle Managerで管理されているイメージに反映できることが、Lenovoハイブリッドクラウド検証センターでの検証によって明らかになりました。千田氏は「vCenterの画面からダイレクトにXClarity Integratorsの画面を呼び出せるため、IT管理者はvCenterの画面とXClarity Integratorsの画面を行き来する必要がなくなります」と連携の効果を語り、セッションを締めくくりました。

  • 実際の操作画面でThinkAgile VXとvCenter Serverの連携について解説された

    実際の操作画面でThinkAgile VXとvCenter Serverの連携について解説された

VMwareが掲げる“Any Cloud”を実現する「VMware Cloud Foundation」

続いてThinkAgile VXの上級セッションでは、「プラットフォーム運用管理が劇的に楽に! ハイブリッドクラウド時代のプラットフォームの最適解」をテーマに、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドを前提とした運用・管理の最適化について語られました。

ヴイエムウェア パートナーソリューション アーキテクトの豊嶋 依里氏は、ニューノーマル時代を見据えた今後のクラウド戦略について話を展開します。

「コロナ禍の影響で企業を取り巻く環境は急激に変化し、新たな事業環境に合わせたデジタル変革があらゆる業界において最優先のミッションとなっています。ビジネスの俊敏性を求めるなかで、企業が複数のクラウドを利用することも一般化してきており、コストの管理・削減や、セキュリティの強化、クラウドごとに異なる運用・管理への対応などがITインフラの課題として顕在化してきています」(豊嶋氏)

オンプレミス環境のクラウドシフトが進む一方で、パブリッククラウド上のサービスをオンプレミス/プライベートクラウド環境に移行させるなど、オンプレミスに回帰する傾向も出てきていると豊嶋氏。こうした傾向を考慮すると、オンプレミスを含め、複数のクラウドを活用したハイブリッドクラウド/マルチクラウドを前提とした運用・管理の最適化が必要になると解説し、その実現を支援するソリューションとして「VMware Cloud Foundation」を挙げます。

「VMware Cloud Foundationは、VMwareのビジョンである“Any Cloud”を実現するアーキテクチャです。プライベートクラウドとパブリッククラウドにまたがる一貫性のあるインフラストラクチャと運用を通じて、企業のビジネスが求める俊敏性と柔軟性を提供します」(豊嶋氏)

HCIを基盤にSDDC(ソフトウェアディファインドデータセンター)を展開し、ライフサイクル管理を自動化するハイブリッドクラウドプラットフォームであるVMware Cloud Foundation。そのメリットとして豊嶋氏は「標準化」「自動化」「拡張性」「ライフサイクル管理」の4つを挙げ、こう解説します。

「VMware Cloud Foundationは、さまざまなクラウド基盤にサービスとして導入できます。従来のエンタープライズアプリケーションとモダンアプリケーションの両方について、運用の一貫性を維持しながら幅広い導入形態で利用でき、企業のデジタル化対応にともないIT部門が直面している課題を解決することができます」(豊嶋氏)

  • VMwareのマルチクラウド戦略を支える「VMware Cloud Foundation」のメリット

    VMwareのマルチクラウド戦略を支える「VMware Cloud Foundation」のメリット

続いて登壇したのは、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ ソリューション推進本部の柴田 明彦氏。ハイブリッドクラウドに最適なHCI製品であるThinkAgile VXに搭載されているリソース管理ソリューション「Lenovo XClarity」を中心に話が展開されました。

柴田氏は、Lenovo XClarityについてインフラストラクチャの運用管理を一元化できるソリューションと説明し、XClarityファミリーのなかで「XClarity Integrators」をピックアップして解説しました。

「XClarity Integratorsはサードパーティの運用管理ツールと連携することで、運用ツール画面上からXClarityの情報を確認し、ハードウェアレベルの確認や運用を可能とします。このため、IT管理者は使い慣れた管理ツールでインフラを統合管理できるようになるのです」(柴田氏)

  • ThinkAgile VXで利用できる主なLenovo XClarityファミリー

    ThinkAgile VXで利用できる主なLenovo XClarityファミリー

XClarity Integratorsは、vCenter Serverと連携するためのソフトウェアプラグイン「XClarity Integrator for VMware vCenter」に加え、ハイブリッドクラウド環境の統合監視・自動化を実現する「VMware vRealize」との連携に対応する「Lenovo XClarity Integrator for VMware vRealize」も提供しています。vRealize Log Insight、vRealize Orchestrator(vRO)、vRealize Automationそれぞれにプラグインを用意。vROと連携してインフラストラクチャリソースを抽象化してサービスに変換したり、vRealize Log Insightと連携してデータセンターのイベントを収集/分析したりできるといいます。柴田氏は「XClarityとVMware vRealizeが連携されることで、データセンターのプロセスを自動化できるようになります」と語り、豊嶋氏にバトンタッチしました。

検証センターを活用し、ThinkAgile VX上にVMware Cloud Foundationを展開

セッション後半では、ヴイエムウェアの豊嶋氏が再登壇。ThinkAgile VX上にVMware Cloud Foundationを展開することによる効果と環境構築のベストプラクティスについて、Lenovoハイブリッドクラウド検証センターでの検証結果をもとに解説しました。

「Lenovoハイブリッドクラウド検証センターを活用し、オンプレ側に管理サーバーとEdgeのワークロードに見立てたサーバーを含むVMware Cloud Foundationの環境を準備。各種クラウドと接続してEdgeからデータセンター、クラウドまでシームレスに統合した環境を提供できるようにしています。今回の検証ではサーバーラッキングなどの物理作業以外は、すべて自宅からのリモートアクセスで検証を実行しています」(豊嶋氏)

今回の検証は、「検証環境の準備」→「マネジメントドメインの構築(ThinkAgile VX3320 4ノード)」→「ワークロードドメインを構築(ThinkSystem SE350 3ノード)」→「SDDC環境のアップグレード」の4つのステップで実施。セッションでは、実際の構築画面を表示しながら、各ステップの詳細が解説されました。豊嶋氏は「ラッキングの完了後は、リモート作業により1日でSDDCを構築。約半日でSDDC環境のアップグレードも完了しています」と語り、検証で得られた成果に手応えを感じています。柴田氏も「この検証を通じてワンクリックでアップグレードのプロセスタスクを実行できることや、初期構築の段階で気を付けたい部分などが明確化されたので、今後のLenovoハイブリッドクラウド検証センターの運用に活かしていきたいと思います」と評価します。

  • Lenovoハイブリッドクラウド検証センターで実際に構築した際の画面を表示し、各ステップのポイントが解説された

    Lenovoハイブリッドクラウド検証センターで実際に構築した際の画面を表示し、各ステップのポイントが解説された

マルチクラウドの活用が進むなか、クラウド活用のスキルや運用管理の差異により、複数クラウド利用の難易度は高まっています。XClarityと連携することで管理の効率化・自動化を実現するLenovo ThinkAgile VXや、一貫性のあるインフラストラクチャ・運用管理を提供するVMware Cloud Foundationは、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドの活用を進めるうえで見逃せないソリューションといえます。

今回のセッションで紹介されたLenovoハイブリッドクラウド検証センターでは、ThinkAgile VXを活用したVMware Cloud Foundationベースでのハイブリッドクラウドのデモ、検証環境の提供が可能となっており、こちらもITインフラの課題に悩む企業のIT管理者にとって、極めて価値のあるものとなるはずです。

▼Tech Weekオンデマンド配信はこちらからご視聴いただけます。
https://www.lenovo-techweek.jp/

[PR]提供:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ