1968年に警視庁による交通事故統計が始まってから53年。2021年4月8日に全国の交通事故死者数が初めてゼロとなりました。
これまで約半世紀もの間、日本のどこかで交通死亡事故が毎日1件は発生していました。年間の交通事故死者のピークは、1970年の1万6,765人で、当時はニュースで連日事故の死者数を取り上げており、交通戦争とまで呼ばれていました。近年では減少傾向にあり、2020年は2,839人と4年連続で戦後最少を更新しています。

なぜ交通死亡事故は激減しているのでしょうか? 考えられる理由と、交通事故の防止策について解説します。

約半世紀の時を経て、ようやく死亡者ゼロに!
交通事故死ゼロを目指す日の死亡者も減少

4月12日に警視庁が公表したニュースリリースによると、春の全国交通安全運動期間中の4月8日の交通死亡事故件数は0件、そしてその2日後の“交通事故死ゼロを目指す日”(4月10日)においては1件1名でした。昨年(2020年)春の交通事故死ゼロを目指す日は6件6名となっていましたので、比較すると5名減っています。

交通事故発生状況の推移をまとめた『道路の交通に関する統計 交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について』によると、死亡者数の最多記録は1970年の1万6,765名。その後はやや減少傾向に転じたものの、1988年~1995年に再び1万人台に増加、1990年代後半から現在に至るまでは緩やかに減少し続けています。

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自動車・医療技術の進歩が影響している?

ネットユーザーによる分析では、自動車技術や医療技術の進歩、飲酒運転厳罰化などの法改正が導入されたことが、交通死亡事故激減の原因と考えられています。また、この明るいニュースに対して、ネット上でも大きな反響がありました。

たとえば、ヤフー!ニュースに掲載された『「全国で交通死亡事故ゼロの日」4月8日に初達成 統計から53年(毎日新聞)』のコメント欄には、とくに自動ブレーキやバックモニターなど自動車性能の進歩を挙げる人が目立ちました。
「各自動車メーカーの努力もあって、こういう日が来た」
「最近は車の性能も上がってるし、自分の去年買った車も自動ブレーキあるからなあ。もっと普及したらいいのに」

医療技術が発達したために一命を取り留めたものの、重い後遺症や障害が残るケースも少なくないことを忘れてはいけません。目指すべきは、交通死亡事故ではなく交通事故そのものを無くすことです。また、日本の少子高齢化と経済状況悪化により、そもそもの自動車数が減少していることを挙げる人もいました。
「近年は貧困で自動車が減っている、そして任意保険をかけれないから安全運転をして大きな事故そのものが減っているんじゃなかったか?」

その他、「お釈迦様のお誕生日の日に、交通事故死亡ゼロを達成する、というのがまたいいですねぇ~」と不思議な偶然を喜ぶ人がいる一方で、「兄を交通事故で亡くした経験は人生でいちばんの衝撃でした。初めてと言わず、どんどん続くと良いな」など実体験に基づく切実な祈りを綴っている人も少なくありませんでした。

また、現時点では外出を自粛している人も一定数おり、地域によっては仮に事故を起こしても病床数の逼迫でベッドが空いていません。その恐怖心が運転を慎重にさせている一面もあると思われます。状況が改善した場合、反動で交通量が急激に増え、気の緩みから交通死亡事故数がリバウンドする可能性も否定はできません。

「大したことない」と思わず必ず病院へ!
交通事故トラブルを回避するのに大事なこと

ポイント1:最新の安全装置を備えた自動車で安全運転を

自動ブレーキ機能、バックモニター、ドライブレコーダーなどを搭載している、安全性の高い自動車になるべく乗りましょう。特にドライブレコーダーは、万が一交通事故に巻き込まれた場合に、自分の過失割合を証明する有力な証拠となることがあります。

ポイント2:必ず警察に110番通報すること

いかなる交通事故でも、当事者同士の示談で済ませてはいけません。必ずすぐに警察と救急車を呼びましょう。道路交通法第72条には、負傷者の救護と警察への報告義務が明記されています。
交通事故の場合、一見軽傷に見えても実は違うことが少なくありません。当事者同士で勝手に救護の必要なしと勝手に判断して事故現場を立ち去ると、同条の救護義務違反、いわゆる“轢き逃げ”として刑事罰を科される恐れがあります。また、警察に通報しないと、保険金請求に必要な交通事故証明書が発行されませんので、その点についても注意が必要です。

ポイント3:保険会社に連絡する

次に必ず保険会社に連絡しましょう。保険会社への連絡は、加害者・被害者の両方が行うべきです。万が一加害者が保険に加入していない場合には、被害者側の保険会社から保険金が支払われます。加害者の氏名・住所、車両ナンバー、被害の状況などもしっかりと記録しておきます。

ポイント4:自己判断せず必ず病院で診察を受ける

事故直後は軽傷で大丈夫そうに思えても、実は体の深部にダメージを受けており、時間が経ってから思いがけない後遺症が出てくることも少なくありません。
交通事故において、自己判断は厳禁です。必ずすぐに病院へ行き、医師に診断書を作成してもらいましょう。日数が経過してから診察を受けると、後遺症と交通事故との因果関係を証明することが難しくなり、損害賠償金を受け取れないことがあります。

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ポイント5:示談交渉は弁護士に相談する

起きてしまった事故を、後からなかったことにできません。交通事故トラブルの解決は、最終的には示談金をめぐる交渉に行き着きます。慰謝料をより多く、なるべくストレス少なく獲得するには、示談交渉をそのまま弁護士に任せるのがベストな方法です。

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まとめ

初めて交通死亡事故ゼロを達成できた背景には、自動車技術・医療技術の向上、法改正などのポジティブな要因だけでなく、不景気による車離れや少子高齢化などネガティブな要因もあるようです。
そして目指すべきは、交通事故そのものをゼロにすることです。そのためには、正しい防止策と、被害を最小限に抑えるための正しい初期対応の知識を知っておくことが大切です。

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