これまで紙媒体や属人的な経験・知識に依存していた法務業務も、リーガルテックの登場により働き方改革が進んでいる。テレワークが急速に浸透する昨今、リーガルテックの導入が進む企業とそうでない企業では、生産性に差が出ている——リーガルテックの国内スタートアップ企業 LegalForce(リーガルフォース)の最新調査により、こうした状況が明らかになってきた。

同社 代表取締役CEO/弁護士 角田望氏は、4月22日に開催されたTECH+フォーラム「バックオフィス業務改革Day 2021 Apr.」にて、法務部門における働き方改革の実態と最新のリーガルテックサービスを紹介した。

  • LegalForce 代表取締役CEO/弁護士 角田望氏

コロナ禍で法務の働き方はどう変わったか?

LegalForceは2020年4月と2021年1月、緊急事態宣言を受け、合計600名ほどの法務担当者に対して在宅ワークの状況に関するアンケート調査を実施した。在宅ワークを行っていると答えた人の割合が2020年4月の時点で96%、2021年1月時点で89%という結果について角田氏は「法務は在宅ワークに比較的適した業務であるということがわかる。緊急事態宣言に伴い各社急速な変化への対応を迫られたが、法務はかなりスムーズに進んだのでは」と分析する。

また、在宅ワークの浸透を機に業務支援ツールを新たに導入した企業は6割強という結果となった。さらに、「在宅ワークによって業務効率が低下した」という回答の割合を見てみると、ツールを導入している企業では約3割に留まっているのに対し、ツールを導入していない企業では4割以上。「在宅ワークによって業務品質が低下した」という回答も、ツールを導入している企業で16%、ツールを導入していない企業で26%と、明らかな差が出ている。

在宅ワークで業務効率や品質が低下してしまう典型的な理由の1つに、書類の確認や捺印のために出社しなければならないことがあげられる。また、オンラインでのコミュニケーションのハードルが高くナレッジの共有がしづらい、仕事部屋やプリンターを所有していないなど業務環境が自宅に整備されていない、などといった課題もある。

こうした課題を解決する手段として位置付けられる業務支援ツールが、リーガルテックだ。リーガルテックの発祥は米国だが、契約書のレビューや電子契約サービス、電子書籍のプラットフォームなど、近年では国内でもさまざまなリーガルテックツールが登場している。

角田氏は、リーガルテック導入の意義について「在宅ワークなど働き方の多様性を確保しつつ、生産性の維持・向上を実現していく手段として有効。企業の継続性を支えるという意味でも重要な役割」と語る。

契約書レビューの品質を高めつつ、生産性を向上

LegalForceは、契約業務に特化した国内リーガルテック企業だ。契約業務を「作成・レビュー」「締結」「管理」という3つのステップに分けるとすると、作成・レビューのプロセスに対しては、AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」、管理のプロセスに対しては、AI契約書管理システム「LegalForceキャビネ」を提供している。そして、他社の電子契約サービスと連携することで締結のプロセスにも対応しているため、契約業務におけるすべてのステップをLegalForceのツールでカバーすることができる。

「LegalForce」は、「契約審査を流れるように、スピーディーに」というコンセプトのもと、リスク検知からリサーチ、過去の交渉履歴などの確認、修正作業、ナレッジ共有まで、契約審査で行う業務を総合的に支援する。角田氏は「LegalForce」を導入するメリットとして、「審査時間の短縮」、「品質の担保・平準化」、「審査スキルの向上」の3つをあげる。

契約審査は通常、取引先から提示された書類に対して行われる。特に契約書は取引先が有利となるように作られている場合が多い。自社に不利な条項が入っていたり、本来追加しておくべき条項が欠けていたりすると、思わぬトラブルを招いてしまう。

こうしたリスクを漏れなく確実に発見するためには、相応の知識・経験が法務担当者に求められる。ただ、知識・経験を有していたとしても、毎回一定の品質でそれらを引き出すのは難しく、人手によって漏れのない契約審査を実施するのには限界がある。ここに、「LegalForce」の活躍の場がある。

「LegalForce」では、審査したい契約書をアップロードして、類型・言語・立場といったレビュー条件を決定し、ボタンを押すだけで、AIが瞬時に契約書に潜む不利な条文や欠落条項、抜け漏れを数秒で洗い出す。さらに、審査時間が大きく削減されるだけでなく、「LegalForce」上には条文例や解説まで表示されるため、経験の浅い担当者でも契約類型ごとの注意点を効率的に押さえることができ、品質の担保・平準化も可能となる。

特に「あるべきものがない」を発見できるのが、「LegalForce」のAIの強みだ。すでに記載されている条項が自社に不利かどうかを判断するのは人手による作業でも時間をかければ比較的容易だが、欠落条項に気づくのは人間にとって難しい作業となる。「こうした機能を上手く活用しながら、取引に必要な内容を取捨選択して契約書に反映していくという使い方をすることで、自社の事業を守れる契約が締結できる」と、角田氏は「LegalForce」の活用方法について説明する。

「LegalForce」を導入したユーザーからは、「緊急事態宣言によって在宅ワーク環境へ移行したが、業務効率は落ちなかった」、「見落としを防ぐために従来は人手によるダブルチェックをしていたが、『LegalForce』で一次的なレビューをしてリスクを洗い出せるようになったことでダブルチェックの手間が省けた」などといった声があるという。

  • 「LegalForce」の画面イメージ

契約情報を一元管理して締結後のリスクを減らす

契約リスクは、契約前だけでなく締結後のモニタリングによってコントロールしていくことも重要となる。「LegalForceキャビネ」は、契約締結後の管理に特化したサービスだ。

締結済みの契約書を適切にモニタリングするためには、契約の内容を一元的に把握することが必要だが、紙で保管している場合、どこにどう保管されているのかわからなかったり、個人情報の取り扱いや再委託先などに関する義務を履行できているかどうかの判断が難しかったりなど、さまざまな問題がある。

「LegalForceキャビネ」は、契約書のPDFデータをアップロードするだけで、当事者名・契約期間・自動更新の有無などの基本情報を含むテキスト全文がOCRによって読み取られ、テキストデータ化される。そして、そのテキストをもとにAIが自動で管理台帳を生成する。こうして契約書のデータが整理され簡単に検索できるようになることで、契約書の検索時間と管理工数は限りなくゼロになる。2021年1月にリリースされたばかりのサービスだが、すでに100社近くの企業が有料ユーザーとして導入しているという。

  • 「LegalForceキャビネ」の画面イメージ

すべての契約リスクを制御可能に

LegalForceは、「すべての契約リスクを制御可能にする」というミッションを掲げている。今回ご紹介したとおり、「LegalForce」と「LegalForceキャビネ」はいずれも、業務の品質確保と生産性向上を両立させつつ、契約リスクをコントロールできるサービスだ。角田氏は講演の最後に「契約書業務に携わられる方々をテクノロジーと法務の知見でサポートしていきたい。今後も、ミッションの達成に向けて、サービス開発や機能の改善を進めていく」と今後の展望を語った。

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