法人営業の分野にもデジタル技術を使った業務変革の波が押し寄せている。法人営業分野で利用されるデジタル技術には、CRMやSFA、RPAなどがあるが、昨今の新型コロナウイルス感染症が拡大した影響を受けて訪問営業が制限されたこともあり、特に電話やメール、WEB会議ツールなどを活用した非対面の営業活動方式であるインサイドセールスに対する注目が高まっている。とはいえ実際にインサイドセールスの専任組織を作り、CRMやSFAといったツールを導入してみたものの、期待していた成果が得られていないという企業も多い。本稿では、インサイドセールスのアウトソーシングサービスを多くの企業に提供しているSALES ROBOTICS株式会社の代表取締役社長CEO 内山 雄輝 氏から “インサイドセールスで成功するための秘訣”について話を聞いた。

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■インサイドセールスの本質を見誤っている企業が多すぎる


「デジタルテクノロジーを使った業務改革の流れが加速し、『インサイドセールス』を謳った多数のツールやサービスが世の中に出てきましたが、それらを導入するだけではインサイドセールスを成功へと導くことはできません」

インサイドセールスの認知度がそれほど高くなかった2014年頃からインサイドセールスのソリューションを開発・提供してきた内山氏は、こう言い切る。

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SALES ROBOTICS株式会社 代表取締役社長CEO 内山 雄輝氏

学生起業家としてSALES ROBOTICSの前身となる「WEIC」を設立した内山氏は、「ビジネスマンとして自分が今、一番ほしい商材」という観点から、“アポイントが自動で追加されるSFA”というコンセプトで「インサイドセールスマネジメントクラウドツール」と「アウトソーシングサービス」を組み合わせた「SALES BASE」を開発。1,000社・2,000商材を支援しインサイドセールスで営業を効率化するためのノウハウを積み重ねてきた。その内山氏は、昨今のインサイドセールスを取り巻く状況について「本質を見誤り、失敗しているケースが多い」と警鐘を鳴らす。

「最近はインサイドセールスという言葉の認知度はずいぶん高くなりましたが、正直なところ言葉がひとり歩きしている感が否めません。その本質を語るには営業部門、マーケティング部門も含めた営業組織全体を見据える必要がありますが、インサイドセールスの導入に失敗している企業の多くは営業部門やマーケティング部門との連携が取れてないのです。“そんなことはわかっている!”という担当者もいらっしゃるかと思いますが、まずは営業組織全体の取り組みとして目的を明確化していくことが重要です。極論を言えば、インサイドセールスの目的はただ1つ、『受注につながる商談を創ること』になります」

「受注につながる商談とは何か」「そのために何をすべきか」を突き詰めていけば、インサイドセールスを成功させることができると内山氏。CRMやSFAといったツールは、マーケティング/インサイドセールス/営業の3部門を有機的に機能させるためのものであり、こうした目的を持たずに“ツール在りき”で導入しても大きな効果は得られないと断言する。

■「商談を作るまで」「受注をするまで」のプロセスで部門間連携を考える


「受注につながる商談を創る」ために、インサイドセールス部門を立ち上げ、3つの部門を有機的に機能させて営業活動を推進する。これに失敗してしまうことにはどのような原因が考えられるのだろうか。インサイドセールスの業務だけを見ても、「アポを取る」「情報を収集する」「お客様にセミナーを提案する」「インバウンドから入ってきたリードに対応する」など多岐にわたっている。3つの部門を有機的に連携させるべきとはわかっていても日常業務に追われてしまうため、部門をまたいだ連携など絵空事だと感じる担当者も少なくないはずだ。そこで内山氏は、部門横断のインサイドセールスを成功させるには、営業活動全体を「①商談を作るまで」と「②受注をするまで」の2つのプロセスに分けることが重要と解説する。

「たとえば多くのマーケティング部門では、CPAを抑えながら効果的なリードを確保することを主眼に戦略を立てており、受注そのものまでは見据えていません。つまり“営業の受注活動に対して責任を持ったマーケティング活動”ができていないということです。確かに、他部門である営業部門の受注活動に対して責任を持った活動を行うのは、簡単ではないでしょう。だからといってそのままで良いのでしょうか。3つの部門が有機的に連携している状態を生み出すためには後工程のことを無視するわけにはいきません。そこで、マーケティング部門は『受注』よりも手前の『商談を作るまで』を担当範囲にする必要があります。自分たちが取ったリードを直接もしくはインサイドセールスと共同で醸成し、一定の条件に合致した『商談を作るまで』を目標に活動するわけです。これであればマーケティング部門にもわかりやすく、納得感があるでしょう」

同様に、インサイドセールス部門では、マーケティング部門からどのようなリードをトスアップしてほしいのか事前に調整し、そこからどのような商談を作るかは、最終工程を担うフィールドセールス部門とも調整を行う。そのうえでインサイドセールス部門の活動指標は、入ってきたリードのうち何件を商談としてトスアップできたかにすると良いと内山氏は解説する。また、フィールドセールス部門では、トスアップされた商談のうち「受注をするまで」を担当領域にし、何件受注につながったかを指標にすればよい。

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「このように隣の部門と連携しながら、それぞれの業務を推進することが、3つの部門の有機的連携状態を生み出し、個々の営業活動を”受注につながる商談を創り出す状態”へと導きます。つまり、これがインサイドセールスを成功させるために必要な第一歩なのです」

商談を作るプロセスと受注するプロセスはまったく異なると内山氏。前者はデータ蓄積重視型、後者は営業部門のフェーズアッププロセスを軸としたノウハウ蓄積重視型で進めていくことが成功の近道になると力を込める。

■「フェーズ管理」と「打率」が営業活動を効率的に進めるための指針


相互に隣の部門と有機的に連携することの重要性が明らかになったところで、具体的にはどのように連携すればいいのだろうか。内山氏は「商談を作るまで」「受注をするまで」の営業活動において、「フェーズ管理」と「打率」というキーワードを基準として挙げる。

「インサイドセールス、つまり『商談を作るまで』の過程においては、“データの蓄積と管理”が重要な役割を担います。営業活動においては、BANTCH(バントチャネル)、すなわち予算、決裁者、ニーズ、導入時期、競合、顧客の体制(人材)といった情報の取得が重要です。BANTCH情報が揃っていないにもかかわらず『訪問が伴う』ような1回あたりの商談が長くなりがちな営業活動に、フィールドセールスのリソースを投じることは不経済です。これらのデータをメールや電話など非対面の手法を中心としたインサイドセールスで得ることができれば、効率的に営業部門の『受注をするまで』につなげられます」

とはいえ、1回のアプローチですべての情報を取得できるケースは少ないと内山氏。そのため資料のダウンロードやセミナーの申し込みといったタイミングを利用してリードとコミュニケーションを図り、徐々にヒヤリングを実施することになる。それには“データの蓄積と管理”が重要になると語る。
「リードの状態に応じたフェーズを決め、フェーズに応じて段階的にデータを取得していく。これが『フェーズ管理』です」

さらに各フェーズを達成する確率、フェーズからフェーズへの移行率を『打率』と定義。この打率はフェーズごと、月ごと、担当者ごとなどで計測するという。

「フェーズ管理と打率から、『何ができていて、何ができていないのか』『うまくいったときとそうでないときはどこが違うのか』を導き出し、それらを活用してインサイドセールスに取り組むことで、データを起点とした“誰でも売れる営業基盤”を作り上げることができるのです」

BANTCHのデータを得るためのプロセス、すなわちフェーズ管理ができていない企業は多く、1回であれもこれも情報を得ようと攻め過ぎて、失敗してしまうケースも少なくないと内山氏は話す。スモールスタートでフェーズ設定を行い、トライ&エラーでどのような活動でデータが得られたかの指針となる「打率」を上げていくことで、経験やスキルに依存しないインサイドセールスが実現できる。

さらに「受注をするまで」のプロセスにおいても、フェーズ管理を導入してフェーズアップするためのプロセスをノウハウとして蓄積し、共有する。それを「受注までの営業マニュアル」として活用することで、経験やスキルに依存しない営業活動が実現するという。

■データ主導のインサイドセールスを推進する最新ソリューションとは


営業活動を「商談を作るまで」「受注をするまで」で捉え、「フェーズ管理」と「打率」を意識したデータ主導の取り組みが重要であると解説してきた内山氏は、インサイドセールスが成功しない理由をこう分析する。

「現在においても“足を使った営業”が好まれる傾向にある日本企業には、競争力を維持するためにデータ主導の組織作りが不可欠であるという危機感がありません。そのため、営業組織全体の変革が重要になります」

インサイドセールスを成功させるためには、もはやスキルやツールの議論ではなく営業組織全体の変革が必要だ。組織変革のきっかけとしてのコンサルティングサービスなども存在するが、この精度を上げるカギとなるのが「デ―タ」である。データの蓄積は一朝一夕には進まない。長い期間をかけてインサイドセールスを継続し、リードのフェーズデータの蓄積を継続していくことが重要だという。そこでSALES ROBOTICSでは、インサイドセールスのアウトソーシングサービスである『SALES BASE』のノウハウを活かし、“これまで存在しなかった画期的なインサイドセールスマネジメントに特化したSaaSサービス”を開発中だ。2021年7月のリリースを目指しているという。

「これまでアウトソーシングサービスで培ってきた経験・実績を活用し、インサイドセールスの内製化を支援するクラウドサービスを開発しています。上述の通り、インサイドセールス活動の成功には組織の変革が伴い、実行の精度を高めるにはデータの蓄積が重要です。どんなデータをどのように蓄積したら良いか、また日々の活動の中で負担なくデータを蓄積するにはどうしたら良いか、そのデータから次の最適なアクションを提案するなど、今までの実績に基づいたノウハウをふんだんに盛り込んだクラウドサービスを予定しています。最新の日本中の企業のデータを搭載し、CRMとのシームレスな連携(※1)といった、今までにないさまざまな機能を盛り込んでおり、企業それぞれの“THE MODEL”を実現します。データドリブンな組織作りを推進したい企業にとって有効なソリューションとなっているので期待していてください」

“データの成長から未来を作る”をテーマに、データ主導のインサイドセールスを支援するSALES ROBOTICS。「インサイドセールスとはこう在るべき!」を打ち出し続けてきた同社の取り組みには、今後も注視していく必要があるだろう。

※1:セールスフォース・ドットコム社提供のCRM『SalesCloud』との連携機能を搭載予定

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[PR]提供:SALES ROBOTICS