給与明細の作り方を3ステップで紹介!必要な書類やシステム化のメリットも解説

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給与明細は、専用のツールがなくても必要な書類を集めれば作成できます。この記事では、給与明細の作り方を3ステップで紹介するとともに、必要書類や作成時の効率化、システム化のメリットについても解説します。

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給与明細とは

給与明細とは、給与の支給額や控除額、差引支給額を記載し、支払う給与の計算根拠を示す書類です。従業員は給与明細を受け取ることで、給与の計算に間違いがないかどうかを確認できます。

「給与明細を作成するには手間がかかるので省略したい」と思う場合、給与明細を作らなくても済むのでしょうか。実は、給与明細には作成しなければならない理由があります。

1、給与明細を作成する理由

さまざまな法律によって、給与明細の発行と記載項目が決められているため、給与明細の発行は必須です。所得税法には、以下の定めがあります。

所得税法第231条第1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)

「居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。」

この定めにより、給与明細は、発行が義務付けられています。社会保険料を給与から天引きした場合も、給与の支払者は控除額を支払明細書に明記しなければなりません。(健康保険法・厚生年金保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律による)

さらに、口座振込による給与支給の場合は、口座振込額も明記するように定められています。

2、給与明細に必要な項目

給与明細に必要な項目は、月の労働時間・支給額・控除額・口座振込額

項目 記載内容
月の労働時間 出勤日数
欠勤日数
有給取得日数
その他休暇取得日数
労働時間数
遅刻・早退時間
時間外労働時間
深夜・早朝労働時間
休日労働時間
支給額 基本給
残業手当や通勤手当など各種手当
控除額 以下の控除額
健康保険料
厚生年金保険料
介護保険料
雇用保険料
源泉所得税
住民税
口座振込額 支給額ー控除額

月の労働時間は、法律で記載するように定められているわけではありません。ただ、従業員が残業手当や欠勤時の控除額を確認するには必要な情報として記載するようにしましょう。

給与明細発行が必要な理由と、給与明細に記載するべき項目を把握したら、早速給与明細の作り方を確認しましょう。

給与明細の作り方3ステップ

給与明細の作り方は、支給額の計算、控除額の計算、差引支給額の計算の3ステップで進めます。各ステップの作業内容は以下の通りです。

順番 ステップ 作業内容
1 支給額を計算 勤務時間を集計
残業手当・通勤手当を計算
各種手当を計算
2 控除額を計算 社会保険料を計算
課税対象額を計算
各源泉所得税を計算
住民税を計算
3 差引支給額を計算 差引支給額を計算

上記の順番に、給与明細の作成を進めましょう。

1、支給額を計算

まずは、給与の支給額を計算します。1ヶ月の勤務時間および、残業手当・通勤手当などの手当を順番に計算し、支給額を算出します。

1:勤務時間を集計

勤務時間の集計は、これまで紙の出退勤簿やエクセルなどの自己申告制の把握で問題ありませんでした。しかし2019年4月より適用された「働き方改革関連法」により、自己申告型での把握は禁止され、客観的方法での実績管理が求められます。

勤務時間を集計する場合は、ICカードやPCログオンログオフなど、機器による客観的記録をベースにしてください。

また、各種休暇の取得状況により、勤務時間の調整も必要です。有給休暇を取得した日は、「その日の賃金」が支払われます。計算方法は以下の3パターンです。

  • その従業員が通常勤務で得ている賃金
  • 平均賃金
  • 健康保険の標準報酬日額相当額

どの計算方法にするかは就業規則に定めておきます。多くの企業は、その従業員が通常勤務で得ている賃金を選択し、有給を行使した場合でも、賃金に差分が出ないようにしています。

2:残業手当・通勤手当を計算

残業手当とは、労働基準法で定められた労働時間を超えた勤務時間のことです。普通残業時間・深夜残業時間・休日残業時間をすべて通算し、勤務時間に明記した上で、残業手当を計算します。

従業員の通勤経路から、通勤手当も計算します。公共交通機関を利用する場合、月に15万円までは非課税です。

3:各種手当を計算

家族手当や資格手当など、その他の手当も計算しましょう。ここまで計算した金額を合計すると、総支給額となります。

2、控除額を計算

次に、支給額から天引きする控除額を計算しましょう。社会保険料・課税対象額・源泉所得税・住民税の順番に控除額を算出します。

1:社会保険料を計算

社会保険料としての計算対象は、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料です。介護保険料は、従業員が満40歳に達したとき(満40歳の誕生日の前日が含まれる月)から徴収されます。

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、「従業員の標準報酬月額×保険料率」で算出します。保険料率は、健康保険料・介護保険料は全国健康保険協会、厚生年金保険料は厚生労働省のホームページで確認しましょう。

雇用保険料も厚生労働省 のホームページで確認できます。

2:課税対象額を計算

総支給額から「非課税交通手当」を差し引きして、課税対象額を計算します。

3:源泉所得税を計算

課税対象額からさらに社会保険料を差し引いた金額を計算します。その金額と「源泉徴収税額表」から源泉所得税額を計算します。

4:住民税を計算

自治体から送られる住民税課税決定通知書の税額を記載します。従業員の居住している自治体によって金額は異なるため要注意です。住民税は、前年度の収入に対して課税されるため、新入社員の場合アルバイトで大きく稼いでいない限り住民税は課税されません。

ここまでで、総支給額と控除額の計算が完了します。

3、差引支給額を計算

最後に総支給額から控除額を差し引きして、差引支給額を計算します。差引支給額はそのまま口座振込額となります。

この3ステップで、給与明細は作成完了です。次に、給与明細作成で必要となる書類を紹介します。

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給与明細の作成に必要な3つの書類

給与明細の作成に必須となる書類は3種類あります。給与明細の作成前にはすべて準備しましょう。

1、タイムカード

従業員の勤怠情報が分かる書類。「タイムカード」と記載していますが、媒体は何でも問題ありません。客観的な勤怠情報が分かる資料を用意しましょう。

2、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書は、社会保険料を計算するのに必要となる書類です。標準報酬月額は、従業員の4~6月の「総支給額」の平均額で、毎年決定通知書が送られてきます。

3、住民税課税決定通知書

住民税課税決定通知書は、前年の課税対象額を元に算出された税額を通知する書類です。決定通知書の税額から、給与天引きすべき額が確認できます。

給与明細の作成にあると便利な3つの書類

給与明細の作成に必須というわけではありませんが、用意しておくと便利な3つの書類も紹介します。

1、健康保険と厚生年金保険の保険額表

健康保険と厚生年金保険の保険額表は、全国健康保険協会および日本年金機構のサイトから確認できます。

2、雇用保険料率表

雇用保険料率表は、厚生労働省のサイトから確認できます。

3、給与所得の源泉徴収税額表

給与所得の源泉徴収税額表は、毎年国税庁のサイトに掲載されています。税額表は、月額・日額・賞与など種類がいくつかあるため、必要に応じて参照してください。

以上で、給与明細を作成する際手元にあると便利な書類について解説しました。ここまで見てきたように、数名分程度の給与明細を作成する分には思ったより簡単、と感じる人もいるでしょう。

しかし、従業員数が増えてくると、給与計算・明細作成の負荷は増すばかりです。そこで、給与明細の作り方を効率化する方法を紹介します。

給与明細の作り方を効率化する方法

給与明細を手作りしていると、従業員数が増えてきたときに、経理担当者の負荷が重くなります。経理担当者の負荷を減らすために、給与明細の作成を効率化する方法を紹介します。

1、給与明細のテンプレートを使用

給与明細のテンプレートをエクセルで作成し、関数なども利用することで、給与明細作成の負担が軽くなります。健康保険と厚生年金保険の保険料額表や雇用保険料率表、給与所得の源泉徴収税額表もエクセルでテーブル化して自動計算するとさらに便利です。

ただ、エクセルでテンプレートを作成して運用する場合、給与明細は紙に印刷して配布します。働き方改革などでテレワーク勤務者が増える中、給与明細を郵送する手間は無視できません。

2、給与明細システムの導入

従業員数が増えてくると、エクセル運用も厳しくなることが予想されます。その場合は、給与明細システムを導入して、給与明細作成・配布までを効率化することを検討しましょう。クラウド型の給与明細システムなら、従業員もWebブラウザから給与明細のPDFをダウンロードでき、紙での郵送作業を削減できます。

給与明細システムの導入メリット3つ

給与明細システムの導入メリットについて、順番に解説します。

1、経理業務の負担やコスト削減

給与明細システムを導入すると、紙の給与明細の印刷・郵送に関する作業が不要になります。結果、経理業務の負担や郵送にかかる費用(紙・封筒代・郵送代)を削減できます。

また、給与明細システムは、その他勤怠管理システムや給与計算システムなどとも連携し、必要なデータはシステム間で自動的にやり取りする仕組みです。そのため、給与明細システムのほうで勤務時間などを手入力する必要はありません。この点でも、経理業務の効率化が進みます。

2、給与計算が楽になる

クラウド型の給与明細システムを利用すると、健康保険と厚生年金保険の保険料額表や雇用保険料率表、給与所得の源泉徴収税額表は自動で更新されます。また、給与の自動計算によって、人手で計算を行う場合に発生する可能性のある人的ミスも削減できます。

3、クラウド型なら社外からも確認できる

クラウド型の給与明細システムなら、社外にいてもスマートフォンやタブレットなどから給与明細を確認できます。テレワーク勤務者や育児休暇取得中の従業員も迅速に給与明細を確認でき、とても便利です。

給与明細の作り方は簡単!システム化すると便利な点も多い

以上、給与明細の作り方について紹介しました。明細作成に必要な情報を事前に収集しておけば、後は比較的スムーズに給与明細を作成できます。

ただ、従業員数が増えてきて、経理担当1人だけでは、給与明細の作成だけで膨大な時間がかかり非効率です。給与明細の作成時間が長くなってきた場合は、給与明細システムを導入することも検討しましょう。クラウド型なら、比較的低コスト・短期間で給与明細サービスを利用できるようになります。

給与明細システムをご検討の場合は、ぜひ以下の記事より製品の資料を入手し、比較検討の材料としてご活用ください。

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