ネットワーク監視とは?方法や監視対象・導入メリットを解説!おすすめツールも紹介

ネットワーク監視

ネットワーク監視は、企業活動を滞りなく進めるために必要な施策の1つです。しかし、ネットワーク監視は具体的に何を監視しているのかを把握している人は少ないかもしれません。この記事では、ネットワーク監視の基礎知識を解説するともに、導入メリットやおすすめのネットワーク監視ツールを紹介します。

ネットワーク監視とは

ネットワーク監視とは、シンプルに言えば「ネットワークの動作が正常かどうかを監視」することを指します。監視内容は、ネットワーク上のデータが滞りなく流れているか、ネットワーク機器が正常に動いているかなどです。ネットワーク障害の発生を検知すると、メールや管理画面でアラートを表示して知らせます。

1、監視の仕組み

ネットワーク監視の仕組みは、エージェント型とエージェントレス型の2種類があります。

エージェント型は、監視するネットワーク機器にエージェントソフトウェアをインストールし、機器の稼働状態を監視用のサーバに送信する仕組みです。エージェントレス型は、ネットワーク機器の特徴を記憶してネットワーク越しに機器を監視します。

ネットワーク機器が停止した場合、あるいは機器の稼働状況がしきい値を超えた場合、緊急アラートとして通知します。稼働状況を確認するためのしきい値は、監視対象によってさまざまです。ただ多くの場合、ネットワーク監視ツールで標準的な しきい値が設定されているので、その値を参考にして調整します。

2、ネットワーク監視とサーバ監視の違い

ネットワーク監視とサーバ監視の違いは、監視対象の差です。ネットワーク監視は、ネットワークの混雑やネットワーク機器の死活監視など、ネットワークに関するトラブルを監視します。一方、サーバ監視は、ネットワーク上にあるサーバマシンの稼働状況を確認します。

ただし、トラブルの原因特定がしやすくなるため、ネットワーク監視とサーバ監視は両方同時に行うのが一般的です。両方の監視を同時に行うことを「インフラ監視」と呼びます。

ネットワーク監視の基本的な仕組みについて解説してきました。では、なぜネットワーク監視は必要なのでしょうか。

ネットワーク監視の必要性

ネットワーク監視の必要性は、ネットワークのトラブル予防と監視に要する人件費の節約にあります。

1、ネットワーク障害の早期発見・対策によるトラブル予防

オフィスワークではネットワークの利用が前提になっている企業が多く、ネットワーク障害が発生すると業務が停滞します。トラブルが解消されるまでの間にかかる時間は、そのまま人件費の損失となります。ネットワーク障害を早期発見し対策することで、業務への影響を最小限に留めることが可能です。

2、監視に要する人員の人件費節約

ネットワーク監視を手動で行うと、監視専任の人材を確保する必要があります。ネットワーク機器の数も増えてくると、手動での確認には限界があるでしょう。ネットワーク監視ツールで自動的に監視することで、人件費の大幅な節約になります。

ネットワーク監視の必要性について見てきました。ここからは、ネットワーク監視の機能的な面についてさらに掘り下げて解説します。

ネットワーク監視の方法

ネットワーク監視の方法は、ネットワーク機器自体の監視と、ネットワーク上を流れるデータの監視の2種類があります。

ネットワーク機器の監視では、「経路監視」と「死活監視」を行います。経路監視とは、機器やケーブルをつなぐネットワーク経路を監視することです。死活監視では、機器が稼働しているか停止しているかを監視します。

ネットワーク上のデータの流れを監視する方法は「パケット監視」と「負荷監視」の2種類です。パケット監視では、ネットワーク上でやり取りされているパケットが正常かどうかをチェックします。負荷監視は、ネットワークの負荷状態を監視します。

ネットワーク監視の対象4つ

ネットワーク監視の対象は、主に以下の4つです。

1、ハードウェアの状態監視

ここで言うハードウェアとは、ネットワーク上に接続されているすべてのネットワーク機器とサーバマシンを指します。ネットワーク機器とは、ルーターやスイッチなどのネットワーク接続に必要となる機器類です。これらのハードウェアが正常に稼働しているかを監視し、異常を検知したら迅速に修理対応などを行います。

2、サービス・プロトコル監視

ネットワーク上のサービスやプロトコルも、ネットワークの監視対象です。よく利用されているプロトコルとしては、HTTPやメールに使われるSMTP、データ転送に使われるTCP、UDPなどが有名です。これらのサービスやプロトコルの応答時間を定期的に監視し、正常に稼働しているかどうかを監視します。

3、トラフィック監視

トラフィックとは、「ネットワークの混雑状況」のことです。他の監視対象が問題なく動作していても、ネットワーク自体が混みあっていると通信速度は低下します。

トラフィック監視の目的は、ネットワーク上の何がネックとなって通信速度が低下しているのかの原因を特定し、解消することです。利用端末が増加したためか、性能の悪いネットワーク機器を使っているためかなど、原因が特定できれば問題を解消できます。

4、TRAP監視

TRAP(トラップ:罠の意味)とは、ネットワーク機器に備わった仕組みの1つで、異常を機器自身が検知したときに発するシグナルのことです。ネットワーク監視ツールでTRAPを監視することで、ネットワーク機器に問題が発生しているかどうかを迅速に検知できます。

ネットワーク監視の対象について理解できたら、次にどういう監視項目があるかもチェックしましょう。

ネットワーク監視で必要となる4項目

ネットワーク監視で必要となる監視項目は以下の4項目です。

1、死活監視

死活監視とは、サーバやネットワーク機器が正常に稼働しているかを継続して監視することです。Pingなど特定のコマンドを定期的に送信し、レスポンスを確認することで死活監視を行います。死活監視は、ネットワーク監視の中でも基本となる監視項目です。

ただ、死活監視はあくまでもその機器が稼働しているかどうかを確認できるだけです。死活監視だけでは、提供サービスが正常に稼働しているかまでは確認できません。

2、遅延監視

業務を進めていて急に処理が重くなる原因はさまざまです。パソコンの問題か、ネットワークの問題か、接続しているサーバの問題かなど原因を切り分けるには、ネットワークの遅延監視が役立ちます。遅延を検知する方法としては、アクセス反応時間のグラフ化や、レスポンスの遅れが一時的かどうかのチェックなどがあります。

3、経路監視

経路監視は、ネットワーク回線の混雑状況を監視する項目です。サーバやネットワーク機器周辺のトラフィックを常に監視し、ネットワークが混雑して通信速度の低下した場合も検知し、原因に応じた対応を行います。

4、状態監視

状態監視は、ネットワークに接続しているハードウェア(サーバ・ネットワーク機器)全般の状態を詳細に監視する項目です。サーバならCPUやメモリの状態、ハードディスクの使用量など、ネットワーク機器ならTRAP監視で障害発生を検知します。

ネットワーク監視の監視対象・項目について確認しました。ネットワーク監視は、ツールを利用するととても便利です。次に、ネットワーク監視ツールの導入効果について解説します。

ネットワーク監視ツールの導入メリット5つ

ネットワーク監視専用のツールを導入すると、さまざまなメリットがあります。ここでは5つの導入メリットを紹介します。

1、障害発生の予防・予兆検知

ネットワーク監視ツールを使うと、早めに障害を検知でき迅速な対応ができるため、大規模なトラブルを事前に予防できます。また、継続的に監視を続けることで、障害の予兆を検知できるため、障害そのものの予防も可能です。

2、障害復旧時間の短縮化

ネットワーク監視ツールを使うと、自動的・定期的に監視を続けられるため、障害が発生した場合もすぐに対応可能です。そのため、障害復旧時間を短縮できます。

3、サーバ監視作業の効率化

サーバが正常に稼働しているかどうかを運用担当者が常に監視し続けるのは大変です。ネットワーク監視ツールなら年中休みなくサーバを監視でき、障害発生時のみ運用担当者が対応すればよいので、サーバ監視作業を効率化できます。

4、環境への過剰投資抑制

現状の環境が抱える問題を把握できていないと、環境投資が過剰になりがちです。例えば、サーバの台数が足りないのにネットワークを増強する、といったケースはあきらかに無駄な投資です。

ネットワーク監視を行うことで、サーバやネットワークの稼働状況が把握でき、適切な環境投資が行えて、無駄な投資を抑止できます。

5、テンプレートにより監視項目の設定が容易

ネットワーク監視ツールは多くの場合、監視項目の設定値について、テンプレートを用意しています。

ツールを使わず監視担当者が自分で監視項目を設定すると、専門の知識も必要となり、設定ミスが発生する可能性があります。

テンプレートがあれば、必要な部分のみ設定値を変更すれば運用を開始できます。設定ミスをしても修正した部分を見直すだけで済み、監視項目の設定作業を効率化できます。

ネットワーク監視ツールの選び方

ネットワーク監視ツールを導入する場合は、多くの製品があり迷うことも。どのような点を確認して選べばいいか、順番にポイントを解説します。

1、無料版か有償サービスか

ネットワーク監視ツールは無料で使えるものと有償サービスがあります。無料ツールは手軽に導入できる点が魅力です。

ただ、無料ツールは監視対象の範囲に制限があったり、機能的に不足していたりするデメリットもあります。無料ツールは試験的に使ってみて、使いこなせるかどうか判断しましょう。

2、導入のしやすさ

クラウド型のネットワーク監視ツールは、すぐに使い始められるように、簡単に設定できるよう設計されています。オンプレミス型はきめ細やかな設定が可能ですが、専門知識が必要です。導入のしやすさならクラウド型ですが、細かい設定が必要な場合はオンプレミス型の方が向いています。

3、他ツールとの連携が可能か(拡張性)

ネットワーク監視ツールを導入した後、さらにクラウド環境の監視も行いたい場合などで複数のツールを使う必要が出てくるケースもあります。あらかじめ拡張性のあるツールを導入しておけば、監視ツールを追加しても1つのツールで総合的に監視できて便利です。

4、使いやすさ

ネットワーク監視ツールは、専門知識があることを前提にしている場合もあり、使える人が限られるものもあります。自社でネットワーク監視担当者となる人が使いやすいツールを選びましょう。無料プランやトライアル版を監視担当者に試してもらい、使いやすいかどうかの確認をしておくと安心です。

5、監視項目の設定しやすさ

監視項目の設定しやすさは、用意しているテンプレートや画面デザイン、入力項目の意味や値の範囲が何らかの形ですぐ確認できるかどうかで決まります。無料プランやトライアル版を使い、監視項目の設定しやすさを製品ごとに比較して確認しましょう。

6、アラートの通知方法

アラートの通知方法は、より迅速に確認できる方法があると、よりスピーディな対応が可能となります。サーバルームがある場合は、音と光での警告も有効です。スマートフォンのプッシュ通知や社内で使っているビジネスチャット(slackやLINE WORKSなど)への通知も、より素早く確認できる通知方法です。

7、分析機能の有無

ネットワーク状況の分析機能は、製品によっては提供していません。監視対象の規模が大きい場合は、分析機能があると監視業務を効率化できます。

ネットワーク監視ツールのおすすめ製品5選

ネットワーク監視ツールのおすすめを5製品紹介します。

1、PATROLCLARICE(パトロールクラリス)

サーバ監視とネットワーク監視、クラウドサービスの監視などを提供する、エージェントレス型の統合監視ソリューション。さまざまな監視が行え、このツール1つであらゆる監視が網羅できる点が大きな特徴です。

さらに、必要機能だけ使える柔軟性のあるライセンス体系や、ロボシュタインとの連携で二次対応まで自動化できる点も見逃せません。クラウドの監視も行いたいというニーズがある場合、有力候補の1つとなる製品です。

2、X-MON

提供形態がバラエティに富んでいるネットワーク監視ツール。ソフトウェア・アプライアンス機器・バーチャルアプライアンス・レンタル・クラウドでの提供が可能です。

本製品は、構成管理・バックアップ機能やレポート機能、設定変更の上長承認機能など機能豊富。エスカレーション機能では、障害発生時に担当者にメール通知、〇分後に上長にメール通知を実施し、一定時間反応がない場合は自動再起動などを行う設定もできます。

3、Scrutinizer

トラフィックやプロトコル使用量などのフロー情報を可視化するのが得意なネットワーク監視ツール。パッケージソフトで提供されます。海外製品ですが日本語に対応しているので、使いやすさの面でも問題ありません。トラフィック監視で、いつ・誰が・何を・どれぐらい利用しているのかを可視化したい場合におすすめです。

4、Enterprise Immune System

ネットワークへの未知の脅威に対し、機械学習とAIを使って検知する、アプライアンス機器型のネットワーク監視ツール。ネットワーク・サーバ・クラウド・産業用制御システムにも対応しています。

ネットワークのトラフィックパターンも学習し、内部ネットワークを可視化する機能も提供。ネットワーク可視化では3Dグラフィックを用いており、セキュリティ事故調査にも便利です。

5、InterMapper

大規模ネットワークに対応した、パッケージソフト・アプライアンスの提供形態があるネットワーク監視ツール。Javaで動き、グラフィカルな画面表示で、ネットワークの状況をリアルタイムに可視化します。管理者へのアラート方法が複数あり選べる点や、IT資産管理機能がある点も特徴的です。

ネットワーク監視ツールで迅速な障害発見・対策が可能に

ネットワーク監視ツールを用いることで、自社ネットワーク環境の障害を早期に発見し、大きなトラブルを未然に防げるようになります。ネットワーク監視ツールは、製品によってできることや使い勝手が異なるため、製品選定の際は複数の候補をよく比較して検討することが大切です。

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