マウスコンピューターからビジネス、学習向けの高性能15.6型ノートPC「mouse K5」が登場した。こういったスタンダードノートPCと呼ばれる製品では、通常CPUに内蔵されたGPU機能(iGPU)を利用するが、mouse K5はGPU(dGPU)を別途搭載している。だが、dGPUを搭載していても、ゲーミングノートPCと呼ばれる製品と比べても低コストなのがポイントである。

ゲーミングノートPCと同じスペックのクリエイター向けノートPCがあるように、今やGPUはゲーム以外にも活用されている。とはいえゲーミングノートPCは高性能であるため高価だ。「性能は高いほうがいいが予算はかけたくない」「用途はビジネスや学習でありゲームを考慮しない」、そうした方にmouse K5は適している。

mouse K5が搭載しているのは、ゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCが採用するdGPUより性能は控えめだが、一般的なスタンダードノート(iGPU搭載モデル)と比べると高性能なので、ビジネスや学習といった用途であれば十分にカバー可能。つまり、コストパフォーマンスがよく、一般的なビジネスや学習で扱うメディアの編集程度の用途なら、スタンダードノートPCを上回るパフォーマンスを実現できるだろう。この点について、ハードウェアスペックから確認していきたい。

まずCPUは、Intel Core i7-10750Hを採用している。6コア12スレッド対応のCPUで、ノートPC向けのCoreプロセッサーの中ではミドルよりも上。アッパーミドルと呼んでいい。TDPも45W級なので、コア数が多いだけでなくブーストクロックも最大5.0GHzと高めの設定だ。

  • CPUは6コア12スレッド対応のIntel Core i7-10750Hを採用

スタンダードノートPCならCore i7-10750Hに統合されたGPU機能、Intel UHD グラフィックスを利用するところだが、本機が搭載するdGPUは、NVIDIA GeForce MX350だ。なお、m-Book Kシリーズの前モデルでは、GeForce MX250を搭載していたので、GeForce MX250を搭載していたので、パフォーマンスをアップした点でもある。NVIDIAのGPUといえばゲーミングだが、GeForce MXはエントリーグレードの製品で、軽めのゲームをフルHD~HD、軽量画質で楽しめるくらいの性能を持つ。ゲームに比重を置くというよりも、dGPUによって普段の作業をより快適に行う、というほうがメインだろう。

  • CPUのGPU機能に加え、NVIDIA GeForce MX350を搭載

非ゲームにおいてNVIDIA GPUを活用できるのは、GeForce MX350の場合、主にOpenCLやCUDAといったAPIを介して演算処理を行えることだ。これら2つのAPIはさまざまなアプリケーションで利用されており、例えばオフィススイートや写真補正、映像編集といったアプリケーションが挙げられる。

  • Adobe PhotoshopのCamera Raw設定画面。GPU、NVIDIA GeForce MX350によるアクセラレーションが効いている

一方、最新世代のdGPUでは、ビデオ会議などでの背景合成や音声のノイズ除去といった分野でもGPUを活用しているが、GeForce MX350では利用できない。ただし、これは非常に高価なGeForce RTX世代の製品のみの機能なので、非対応でもしかたのないところだろう。

また、会議資料や発表などプレゼンテーションで埋め込み映像を利用したいときもあるだろう。映像のクオリティよりも、短時間で完成させることのほうが重要な映像処理では、GPUに統合されたハードウェアエンコーダーを利用するのが一般的だ。

本機が対応しているハードウェアエンコード機能は、iGPU側のIntel Quick Sync Video(QSV)のみだ。実はGeForce MX350はハードウェアエンコード機能のNVENCを搭載していない。QSVとNVENCのどちらが高速か、高画質なのかという点はあるが、いずれにせよ本機もハードウェアエンコードによってCPUの負担を軽減しつつ高速に映像のエンコード処理ができる。

  • GeForce MX350はNVENC/NDEC非搭載

  • NVIDIA Optimusに対応しており、CPU側のIntel UHD グラフィックスとNVIDIA GeForce MX350という2つのGPUをシーンに合わせて切り換えて利用する

  • ハードウェアエンコードを利用したい場合はiGPUに搭載されたQuick Sync Videoを使う