生体認証の種類とは|12種類それぞれの特徴や精度を解説!

生体認証

生体認証というと指紋や顔での認証が有名ですが、他にもさまざまな生体情報が生体認証として利用できます。この記事では、生体認証を12種類紹介してどのような特徴を持つかを解説するとともに、生体認証のメリット・デメリットについてもまとめました。

生体認証とは

生体認証とは、人間が持つ生体の特徴を利用した認証方法の技術です。生体認証システムでは特定の生体認証を読み込んで、生体情報データとしてデータ化します。認証する際は、生体情報データと入力された生体情報を比較し、問題なければログイン成功です。生体認証の種類と特徴については、これから順番に解説します。

生体認証の種類と特徴

生体認証の種類と、生体認証の汎用性や安全性を比較した一覧表です。汎用性は、実用化されているか、使いやすいかという観点でチェックし、使いやすい場合は◎と評価しています。安全性は、認証の精度が高いか、生体情報を盗まれる可能性は低いか、という観点で評価しました。

種類 汎用性 安全性
指紋認証
非常に普及している

手が汚れていたりケガをしたりすると認証できないことも
掌紋認証
実用化されている

精度は高く盗用しにくい
虹彩認証
導入コストが高い

精度は高く盗用しにくい
眼球血管認証
手軽で測定装置も低価格

精度は高く盗用しにくい
静脈認証
導入コストは高めだが普及している

精度は高く盗用しにくい
顔認証
指紋認証と同様に普及している

2Dは精度が低い、他人がなりすます可能性
耳音響認証
騒音が多い環境では測定しにくい

精度は高い
耳介(耳形)認証
汎用性は高い

髪型や照明で精度に影響が出る
音声(声紋)認証
電話を通じても利用できる汎用性

精度は高く盗用しにくい
DNA認証
分析に時間と手間がかかる

精度はほぼ100%
体臭認証
研究段階

他より精度は低い
行動認証
筆跡
キーストローク
まばたき
歩行

精度の高い生体認証でも実用化が難しいDNA認証や、汎用性・安全性ともに評価の高い掌紋認証など、対象となる生体情報によって各生体認証は特徴がかなり違います。これら12種類の生体認証にどのような特徴があるのか、順番に見ていきましょう。

1、指紋認証

スマートフォンの認証で採用されるなど、汎用性は高く身近な生体認証の種類。iPhone機種の中にはホームボタンに指を置くことで認証可能なものがあります。指表面の状態によって、認証の精度は左右されます。

指紋認証のリーダーに接触して計測するため、感染症対策が必要な時や他人の触った場所に触れたくない場合は、できれば避けたい認証方式です。

2、掌紋認証

掌紋(しょうもん)認証とは、手のひら全体に出ている掌紋を利用した生体認証です。指紋認証と同じく、手のひらが汗をかいている場合に影響を受けやすいので注意しましょう。

3、虹彩認証

虹彩(こうさい)認証とは、瞳の中に見える「虹彩」を利用した認証方式です。虹彩認証は、他と比べて個人の識別率は高く、精度の高い生体認証といわれています。

4、眼球血管認証

手軽に行える認証方法で、目の白目部分に浮き出た毛細血管を利用する生体認証の一種です。虹彩と同じく、認証装置にスマートフォンのカメラも利用できるなど、比較的安価で手軽に利用でき、精度も高い認証方法といわれています。

5、静脈認証

手の中に見えている静脈を利用した認証方法。指先や手のひらの中にあり、生体情報の盗難は困難です。実用化されていますが、認証に利用する機器は高いといわれています。

6、顔認証

顔認証も、比較的多くの人に使われている認証方式です。認証時に接触する必要がなく、iPhoneの認証に採用されていますが、眼鏡や髪型などによって認証の精度が落ちる場合があります。

顔認証には2Dと3Dの2種類があり、3D(立体画像)は、赤外線センサーを使って顔の立体情報をデータ化する顔認証の一種です。3Dの顔認証の方が、本人確認の精度は高くなります。

7、耳音響認証

耳音響認証とは、耳の中にある外耳道の形状による反響音を測定する認証方式です。音響を測定するため、周囲の環境に音があふれている場合、測定に失敗しやすいという特徴があります。不特定多数の人が集まる場所では利用しにくい方式です。

8、耳介(耳形)認証

耳の形を生体認証に利用します。耳の形も個人によって特徴があり、生体認証に利用できます。ただし耳に髪の毛がかかると認証の精度が落ちる点は要注意です。

9、音声(声紋)認証

人が話す声で認証する方式。他人はなかなか真似ができないため、本人を認識しやすい生体情報です。周囲がうるさいと認証に失敗しやすい点は、耳音響認証と似ています。

10、DNA認証

DNAとは、個人の遺伝子情報で、ほぼ100%個人を特定できる生体情報です。高い精度を期待できる認証方式ですが、DNAを分析するのに時間も手間もかかるため、現在のところは実用にはあまり適しません。

11、体臭認証

まだ研究段階ですが、約85%の割合で本人を識別できる認証方法。他の生体認証に比べると精度は低いため、実用化されたとしても、複数の認証を組み合わせる必要があるかもしれません。

12、行動認証

筆跡、キーボードのキーストローク、まばたき、歩行などの行動を利用した生体認証です。筆跡は、書く速さや筆跡、筆圧などを総合して認証します。キーストロークは、キーボードを打つ速さやタイミングの癖などを測定して認証します。まばたきの場合は、まばたきをしたときの黒目部分の変化量が測定対象です。

生体認証のメリット3つ

生体認証を採用するメリットには何があるかを見ていきましょう。

1、紛失の心配がない

生体認証は、ICカードやワンタイムパスワードを発行するトークンのように紛失の心配がありません。認証に必要な所持品をなくすとセキュリティ事故になってしまうため、紛失の心配がないというメリットは非常に大きいと言えます。

2、盗用などのリスクが低い

認証に使う生体の情報は、盗用のリスクが低い点もメリットです。ただ、100%盗用されないとは言い切れません。顔認証の場合は写真を撮られて利用される、指紋認証の場合は密かに採取される、といった可能性があります。ただ、ICカードなどの所持品に比べると盗難のリスクは低くなります。

3、複数組み合わせてセキュリティを高められる

認証に利用する要素は3種類あります。3要素とは、従来のID・パスワードのように本人が知っている知識情報、ICカードのように本人が持っている情報は所持情報、そして生体情報です。3要素を組み合わせた認証方式を多要素認証と呼びます。多要素認証によって、セキュリティをさらに高められます。

生体認証のデメリット3つ

生体認証にはデメリットもあります。デメリットを理解した上で、生体認証の種類も意識して利用を検討するといいでしょう。

1、生体情報を盗まれるとリスクが大きい

生体認証システムには、認証に利用する生体の情報を登録します。生体認証の登録データが盗まれる可能性がありますが、盗まれてしまうと生体情報の取り換えはできません。指紋認証の場合は他の指で代替しやすいですが、リスクが大きくなる危険性があります。

生体情報の登録データは暗号化されるか、データを盗まれないようセキュリティ対策がされているかなど、生体認証システムを選択する際は必ず確認しましょう。

2、別人を認証してしまう可能性

生体認証はまだまだ発展途上の技術で、別人を認証してしまう可能性や、本人を別人と認証してしまう可能性があります。誤差を防ぐため、複数の認証を組み合わせて使うことで、誤認証を防止しなければなりません。

3、生体認証の部位が物理的に変形すると認証できない

病気やけがで、認証に使用している指紋などの部位に物理的な変化があると、生体認証は失敗します。物理的な変化が元に戻らないと判明すれば、生体情報の再登録が必要です。

生体認証の種類別の特徴を理解して選択を

生体認証には様々な種類があります。実用化されているかどうかを確認するとともに、種類別の特徴を理解して自社に向いている生体認証システムを選びましょう。

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