RPA導入の失敗事例から見るその原因とは?対策や選定ポイントも解説!

RPAツール

業務をデジタル労働力(ソフトウェアロボット)に代行させて飛躍的な生産性向上を目指すRPAツール。しかしRPAツールを導入しても、思ったように生産性が向上せず、失敗するケースもあります。この記事では、RPAツール導入が失敗する原因と、RPA導入を成功させるための対策、ツール選定のポイントについて解説します。

RPA導入の失敗例から見る原因

RPA(Robotic Process Automation)とは、従来人間が対応してきた比較的単純な業務を、デジタル労働力を活用して代行する取り組みのことです。デジタル労働力とは、具体的にはルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用したソフトウェアを指します。

RPAツールは、RPAを推進するためのツールです。業務を効率化するプログラムを作成して管理する機能を有しており、うまく活用することで単純作業を自動化して業務効率化や生産性向上を目指します。

しかし、RPAツールを導入しても、失敗するケースも少なくありません。失敗の主な原因について、4点にまとめて紹介します。

1、業務プロセスの整理ができておらず効率化が限定的

自動化できそうな業務がいくつか見えており、その部分を自動化する、という形でRPAツールを使うと、どうしても効果が限定的になります。例えば、各部門で同じように作業している業務は、RPAツールでまとめて自動化した方がいいというケースは、個別業務の自動化をしているだけでは見えてきません。

業務プロセスの整理をして業務プロセスの統廃合ができる部分がないかなどの検討は手間がかかります。しかし、業務プロセスを整理することで、RPAツールで自動化する業務の洗い出ししやすくなり、より効果的な業務効率化が実現できるのです。

2、ロボットのブラックボックス化でメンテナンス工数増大

業務を自動化するソフトウェアロボットを思い付きで作っていると、その場では業務の効率化に役立つかもしれません。しかし作成者が職場からいなくなった時点で、ロボットの仕様がブラックボックス化します。

ロボットの中身がわからない状態でも、動作し続けていれば問題は顕在化しません。しかし数年後にロボットがエラーになったとき、原因調査と修正にかかる工数(メンテナンス工数)が増大します。

3、導入効果が可視化できずPDCAサイクルが回せない

RPAツールを無計画に導入するだけでは、導入効果が可視化できません。導入効果を可視化するには、定期的な効果測定が必要です。効果測定をするためには、RPAツール導入による業務効率化の目標値を決める必要もあります。

業務効率化がどこまで進んだかを検証してロボットを改善する、というPDCAサイクル※を回せないと、業務効率化も中途半端のままです。最終的にはRPAツール導入失敗の大きな原因になりかねません。

※PDCAサイクル:Plan(計画)・Do(実行)・Check(確認)・Action(改善)のサイクルを回して、業務などをよりよい状態へブラッシュアップする手法のひとつ。

4、RPAツールの活用が現場で浸透しない

現場部門で、業務効率化の意義を感じていない場合は、RPAツールを導入しても活用されない状態になります。そうなってしまうと、せっかくRPAツールを導入したにもかかわらず、使われないまま業務効率化に失敗します。

RPAツール導入を成功に導く対策4つ

RPAツールの導入に失敗する原因を整理することで、どうやればRPAツール導入を成功に導けるかのヒントが見えてきます。RPAツール導入の失敗原因別の対策により、RPAを成功に導く方法について見ていきましょう。

1、BPMを行いRPA化の範囲を決める

BPM(Business Process Management・業務整理)は、RPAツールを導入する前に腰を据えて取り組みたい作業です。現状の業務を整理することで、効果的な業務自動化ができるようになります。

小さな組織なら全社レベルで業務プロセスを整理して、現状の業務で共通化できる部分がないか、無駄な部分はないかを確認しましょう。大企業の場合は、試験的にRPAを導入する部署を決めてBPMを行い、RPAツールを適用して運用に成功したら横展開する、という進め方がおすすめです。

現状の業務を整理することで、部署ごとに同じ業務を無駄に行っている部分も見えてきます。そのためRPAによる自動化だけでなく、業務そのものも効率化できます。

2、RPAおよび作成したロボットの仕様書・取扱マニュアルを作成

RPAツールを導入する場合は、現場の人間が誰でもメンテナンスできるように、RPAツールそのものの使い方についてまとめたマニュアルが必要です。また、作成したソフトウェアロボットについての仕様書や取扱マニュアルの作成も義務付けるようにします。

ソフトウェアロボットを作成した担当者が異動になっても、残った担当者がメンテナンスできる状態を整えておくことが重要です。誰でもロボットをメンテナンスできれば、将来のメンテナンス工数を削減できます。

3、RPA範囲策定時に目標設定を行い測定環境の整備をする

業務整理を行い、RPAツールによる自動化範囲を決める際、自動化によって目指す業務効率化について、あらかじめ目標値を決めましょう。現状の業務プロセスでどれだけの時間がかかっているかを計測し、RPAで自動化した部分の処理時間を測定できる環境も整えます。

処理時間測定には、ログ出力機能など、RPAツールに備わっている機能が便利です。定期的に効果測定を行うことで、業務効率化の目標値との乖離を確認し、改善案を検討しましょう。このように作業を進めることで、PDCAサイクルを回せる環境が整備できます。

4、RPAツールの普及活動を定期的に行う

RPAツールを導入するには、全社員に導入の意図を説明し、使い方についての勉強会を開催するなど、粘り強い普及活動が必要です。教育が行き届きRPAツールの利用が従業員の間に浸透すれば、さらに業務の自動化を推進しやすくなります。

業務の自動化を成功させるRPAツール選定のポイント4つ

RPAツール導入を成功に導く対策について理解したら、自社に導入したいRPAツールを選定しましょう。RPAツールの選定でも、業務の自動化を成功に導くための選定ポイントがありますので、順番に説明します。

1、BPMシステムと連携して業務整理を推進しやすい製品を選ぶ

RPAツールを導入する前に業務整理をするべきであることを説明しました。業務プロセスの整理には、BPMシステムが便利です。業務プロセス図の作成によって現状の業務を整理して、自動化できる業務を選出します。

BPMシステムと連携しやすいRPAツールを選べば、業務整理からRPAでのロボット作成がスムーズに。さらに、どこをロボット化したかなどの管理もやりやすくなります。

BPMシステムの中には、RPA機能を含んでいるものもあるため、業務整理も行う場合は、RPA機能を持つBPMシステムも検討しましょう。

2、簡単にロボットを作れる製品を選定

RPAツールでソフトウェアロボットを作成する際、ノーコード(プログラミングなし)で、画面上で簡単に作れる製品もあります。業務を自動化したい現場部門でITの知識やプログラミングができる人の在籍が少ない会社は、ノーコードでソフトウェアロボットが作成できる製品の導入を検討しましょう。

3、PDCAサイクルを回せる機能が整っている製品を選ぶ

ソフトウェアロボットによる業務の自動化によって従来の業務がどれだけ効率化できたか確認する機能が整っているかも、製品選定のポイントです。

例えば、PDCAサイクルの「Check」には、ログ機能が欠かせません。RPAツールの中には、ソフトウェアロボットの実行結果をログ出力できる製品があります。

製品に搭載している機能を確認しましょう。

4、RPA導入や運用サービスの整った製品を選ぶ

RPAツールのメーカーや販売代理店が、RPA導入時や運用サービスなどの支援をサービスメニューとして提供しているかどうかチェックしましょう。RPAツールの社内研修や、運用中に困ったときのフォロー対応があると、運用がよりスムーズになり、RPAツール導入の成果も出やすくなります。

目先の自動化はRPAの失敗を招く!適切な業務フローを整理しよう

RPAツールの導入失敗例は、目先の自動化に飛びつき、行き当たりばったりで業務を自動化するケースに多く見られます。RPAツールを慌てて導入する前に、自社の業務プロセス・業務フローを整理することから始めましょう。

現状の業務を整理する過程で、自然とRPAツールを使う業務は見えてきます。RPAツールを選ぶ際も、業務整理から効果測定までPDCAサイクルを回せる環境の構築を視野に入れてください。

RPAツールの導入をご検討の場合は、ぜひ製品の資料を入手して、自社に向いている製品はないか探してみてください。

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