「インテルoneAPIツールキット」の国内提供を開始

オープン仕様「oneAPI」に対応した開発ツールキット「インテル oneAPIツールキット」の国内提供が2020年12月からスタートした。これまで提供していた「インテル Parallel Studio XE」の後継にあたり、ブランド名を一新し、C/C++やFortranコンパイラーを含んだ新バージョンとして提供されるものだ。

最大の特徴は、製品名にあるように、オープン仕様「oneAPI」による、CPU、GPU、FPGA、アクセラレーターを含む、多様なアーキテクチャーでの開発を簡素化する統合プログラミング・モデルに対応したことにある。

oneAPIは、業界標準とオープンな仕様に基づいて、クロスアーキテクチャーでのプログラミングを可能にする業界イニシアチブだ。oneAPIに対応することで、アーキテクチャーごとに個別のプログラミング・モデルやツールチェーンに依存することなく、最適なハードウェアを自由に選択し、最先端のパフォーマンス機能を活用できるようになる。また、oneAPIは、C++、OpenMP、Fortran、MPIを含む既存のハイパフォーマンス言語やプログラミング・モデルとも互換性がある。

oneAPIはもともと、ワークロードの多様化によって、単一のアーキテクチャーではすべてのワークロードに対応することが難しいという課題を解消するために推進されたものだ。

ワークロードごとに必要とするパフォーマンスを達成するには、CPU、GPU、AI、およびその他のアクセラレーターに配置されたスカラー、ベクトル、行列、および空間(SVMS)アーキテクチャーの組み合わせが必要になる。そこで、oneAPIでは、C++およびSYCL標準ベースのクロスアーキテクチャー言語、データ並列 C++(DPC++)を用いながら、ドメイン固有の関数を高速化するように設計された強力なライブラリーを提供する。また、コミュニティーと業界の協力を促進するオープンな環境でプロジェクトを推進することで、複数のアーキテクチャーとベンダーでコードの再利用を可能にする。

oneAPI の登場でクロスアーキテクチャー開発が可能に

oneAPIのエコシステムには、主要なソフトウェアベンダーやクラウドプロバイダー、業務アプリケーションベンダー、ライブラリーやツールベンダーなど数十社が参加している。

例えば、機械学習(ML)向けのライブラリーやプラットフォームで知られるTensorFlowは、oneAPI業界イニシアチブと標準ベースのオープン仕様をサポートしている。また、MLツールやML向けのクラウド環境を提供するクラウドサービスMicrosoft Azureでも、データセンターハードウェアにおいてoneAPIコンポーネントを使用し、オープン・スタンダードベースの仕様をサポートしている。インテルが提供するoneAPI製品は、これらミドルウェアやフレームワーク、プラットフォームに対応しながら、インテルのXPU(CPU、GPU、FPGA)上で動作する多様なアプリケーション・ワークロードに対応する。

  • 多様なアプリケーション・ワークロードに対応

    多様なアプリケーション・ワークロードに対応

今回の「インテル oneAPIツールキット」は新しいコンセプトに基づき、これまでの「インテル Parallel Studio XE」から大きく3つの機能強化が図られている。「最新のハードウェアが提供する最先端の機能に対応したこと」「高速化されたアーキテクチャーで最高のパフォーマンスを実現すること」「最新の標準規格に対応したこと」だ。

まず、最新のハードウェアが提供する最先端の機能としては、AIアクセラレーション向けの「インテル ディープラーニング・ブースト(DLブースト)」への対応がある。また、高速化されたアーキテクチャーを利用するため、ダイレクト・プログラミングを実現する「DPC++/C++コンパイラー」が新たに提供される。DPC++/C++コンパイラーを利用することで、インテルのCPU、GPU、FPGA のパフォーマンスを最大限に引き出して、高速化された計算が可能になる。最新の標準規格に対応というのは、C++17とSYCLの完全なサポートや、OpenMP 5.0のサブセットのサポートにより、一般的なラムダ式や可変テンプレートに対応し、移植性が向上したことを指している。

ベースキットとして「データ並列C++ (DPC++)/C++コンパイラー」を提供

今回、国内提供が開始されたインテルoneAPIツールキットは、oneAPIによるプログラミング・モデルを実現する開発ツールのスイート製品となっている。

国内展開を手掛けるのは、インテルと協業し、インテルCPU開発ツールキットを長く提供してきた実績を持つエクセルソフトだ。

ラインアップとしては、すべてのキットの土台となるベース・ツールキットと、そこにHPC、IoT、レンダリングの各用途でのニーズを満たす専門的なツールを加えた、計4つのツールキットが用意される。開発用途に応じて適切なツールキットを導入し、利用するかたちだ。

まず、ベース・ツールキットは「DPC++/C++コンパイラー」と「パフォーマンス・ライブラリー」で構成される。

DPC++/C++コンパイラーは、データ並列C++、C++、C、SYCL、およびOpenMPをサポートする標準ベースのクロスアーキテクチャー・コンパイラーだ。また、CUDAソースコードをDPC++コードへ移行する「DPC++ 互換性ツール」も提供される。パフォーマンス・ライブラリーとしては、データ並列ワークロードを高速化する「DPC++ ライブラリー」や、数値計算ライブラリーであるインテル マス・カーネル・ライブラリー(MKL)がoneAPI に対応しインテルの CPUとGPUの双方に最適化された「インテル oneMKL」などが提供される。また、Python実行環境とアプリケーションの性能解析ツールも含まれる。

  • インテル oneAPI ベース & HPCツールキットの概要

    インテル oneAPI ベース & HPCツールキットの概要

専用ツールキットは、HPC・IoT・レンダリング用途向けの3種を提供

専用ツールキットは3種が提供される。1つめのHPC用途ツールキット「ベース & HPC ツールキット」は、HPC用途で活用できるC/C++およびFortranコンパイラーと、各種ライブラリーで構成される。ベース・ツールキットの機能に加え、MPI-3規格に対応した MPIライブラリー、MPI 通信によるパフォーマンスの問題となる箇所を素早く発見する性能解析ツールが含まれる。ターゲット・プラットフォームのメモリーシステムの種類によって「シングルノード」と「マルチノード」の2つの製品が提供され、単一のPCからクラスターシステムまで、さまざまなプラットフォームで継続してコードを最適化できる。

2つめのIoT用途向けツールキット「ベース & IoT ツールキット」には、カスタムLinuxカーネルを開発し、センサーとデバイスを素早く接続するための IoT開発ツールが含まれている。具体的には、スマート・コネクテッド・デバイスを開発するためのコンパイラー「C/C++ コンパイラー・クラシック」、C、C++、Fortran アプリケーションのメモリーリーク、異常、デッドロック、データ競合などを特定してデバッグする「Inspector」、 統合開発環境「Eclipse IDE」、Yocto ProjectベースのカスタムLinuxの作成とカスタマイズをサポートする「Linuxカーネル・ビルド・ツール」、センサーとデバイス、 デバイスとクラウドをつなぐ「IoT 接続ツール」などだ。

3つめのレンダリング用途向けツールキット「ベース & レンダリング・ツールキット」は、高忠実度のビジュアライゼーション・アプリケーション開発を実現するレンダリング・ツールが提供される。XeonプロセッサーやXeアーキテクチャーのGPU向けに最適化されたオープンソースのレンダリング・ライブラリーを使用して、パフォーマンス、忠実度、拡張性、コスト効率に優れたビジュアライゼーション・アプリケーションとソリューションを開発できる。

このように、インテル oneAPI ツールキットは、インテル プロセッサー向けの最適化に加えて、インテルが提供するGPUやFPGAなど、異なるハードウェアも並行利用できるよう統一されたプログラミング・モデルをサポートする。現在および将来のインテル プラットフォームにおいてパフォーマンスを最大限に引き出す必要があるソフトウェア開発者の負担を軽減することが可能だ。詳しい仕様やドキュメントはエクセルソフトのWebサイトで確認することができる。新たに生まれ変わったインテルプラットフォーム向け開発ツールキットの実力を確認いただきたい。

お問い合わせ先
エクセルソフト株式会社 営業部
TEL: 03-5440-7875
URL: https://www.xlsoft.com/jp/products/intel/oneapi/
Email: intel@xlsoft.com
お問い合わせフォーム: https://www.xlsoft.com/jp/services/xlsoft_form.html?option2=Intel

[PR]提供:エクセルソフト