働き方改革が求められている昨今。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、企業の在り方は過渡期に差しかかっている。ニューノーマル時代を迎え、企業はどのように変わっていくべきなのだろうか。

本稿では、数多くの企業の働き方コンサルティングを手掛ける圓窓代表取締役の澤円氏と、コールセンターを主軸としたBPOサービスを展開するNTTマーケティングアクト代表取締役社長の横山桂子氏の対談から、そのヒントを探っていく。

COVID-19が現れた今の世界は過去とは別世界。考え方を根底から覆せるかどうかが極めて重要

「企業は、変わっていかなければならない」。何かしらのトピックが話題に上がるたびに何度も耳にしたフレーズではあるが、変われない企業が多かったのも事実だ。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、これまでのトピックとは次元が違うと澤氏は警鐘を鳴らす。

澤氏:DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革が注目を集めたり、その少し前にはBCP(事業継続計画)の必要性が叫ばれたりして、その都度、「だからサービスを導入して改善しましょう」とセールストークに使われてきた歴史があります。今回のCOVID-19(新型コロナウイルス)も、これらのキーワードと同一に経営者たちに認識されてしまわないかと危惧しています。

横山氏:と、おっしゃいますと?

澤氏:COVID-19は次元が違っていて、インターネットの登場以来、25年ぶりに全世界がリセットされた事案だからです。「早く終息してほしい」「終息すれば前と同じ方法でビジネスができる」と思っている経営者は致命的に危険。ウイルス自体はワクチンや特効薬で抑えられるかもしれませんが、COVID-19が現れた今の世界は過去とは別世界なのです。別世界でビジネスを展開していくためには、考え方やマインドセットを根底から覆せるかどうかが極めて重要。このことを本当に理解している経営者がどれほどいるのかを懸念しています。思考をリストラクチャリングできるかどうかで、これから大きな差が生まれるでしょう。

横山氏:確かにおっしゃる通りで、何もかもが変わってしまいました。サプライチェーンにおいても想像できなかった障害が生まれていますし、現場の話で言うと営業手法を見直さなければならなくなっています。当社は、お客様のコールセンターの構築・運営をサポートさせていだいているのですが、もともと在宅オペレーターを視野に入れたセンター間のネットワークづくりを進めていたこともあり、「コールセンターの在宅化」にいち早く取り組むことができました。状況に応じて柔軟に変革していく必要性を感じますね。

「移動」の自由が奪われた今、高まるデータ通信の重要性。経営者に必要な見極め

物理的な移動が難しくなった今、データ通信へのシフトは急務。これに象徴されるように、一昔前の価値観から早期に脱却することが求められると澤氏は指摘する。

澤氏:テクノロジーは、「時間」と「空間(距離)」という人間に変えることができない二つのパラメーターを仮想的に解決してくれる存在です。洗濯機や飛行機をイメージいただくとわかりやすいと思いますが、時間がかかっていた「作業」や「移動」を大幅に短縮してくれるものです。 しかし、今回のCOVID-19によって「空間」の自由が奪われ、物理的な移動が難しくなってしまった。そこで求められているのが、データ通信へのシフトです。人の移動や物理的な接触によってカバーしていた情報を、可能な限りデータ通信に移行していくことがすべての企業にとって重要となります。そうしないと今後はビジネスが成り立ちません。

横山氏:「ICTで時間と空間を超える」というのは通信事業者としての夢でもあるのですが、今回のCOVID-19を背景に「テクノロジーで時間と空間を解決していこう」という方向へ時代が変わってきている印象を受けます。先に申し上げた「コールセンターの在宅化」についても、BCPの観点からご要望をいただくケースが増えており、そのニーズに応えるべく、複数拠点のセンターを仮想技術でつないで複合的なマルチセンターを構築する「ONE CONTACT Network」というサービスをリリースしました。ロケーションフリーでセンター運営を可能にする新基盤です。これまではセキュリティや人材育成などの課題から難しいとされていましたが、「在宅でも対応できるのではないか」と可能性や実現性を模索することが必要だと考えています。

澤氏:「移動しなくても仕事ができる」ということに気付いたのであれば、その発見を大切にした方がよいでしょうね。これまで移動に使っていた時間を、別の業務にあてられれば効率や生産性も向上します。どうしても出勤しないといけない仕事もあるとは思いますが、「とりあえず出社しろ」「営業は足で稼ぐものだ」といった「一昔前の価値観」から企業は脱却しなければなりません。企業の経営において本質的に何が必要で何が必要でないかを見極めることが経営者に求められるミッションでしょう。

ジョブ型雇用から考える得意分野を伸ばす企業メリット

本質的に必要なことだけにリソースを集中させれば、効率や生産性が向上すると両氏は断言する。その手法として、横山氏はジョブ型雇用の導入とアウトソーシングの活用を挙げた。

横山氏:やるべきこととやらないことを明確にするという点においては、雇用形態におけるジョブ型雇用にも注目が集まっています。澤さんはどう思われますか。

澤氏:雇用の安定性などメンバーシップ型にもメリットがあるので、一概に悪いとは言えませんが、ジョブ型雇用の考えは取り入れていくことが今後より一層重要になりますね。従業員の職務や責任が明確になることで、業務上の「ムダ」がなくなり、業務効率化・生産性向上が期待できます。 私はHR関連のビジネスにも携わっているのですが、そこでしばしば言われるが「日本企業では名プレイヤーにも最初は球拾いをさせるような雇用をする」という例え話です。実績や能力があるのに、全員に一律で同じ研修や業務をさせてしまうことを揶揄した表現なのですが、これでは本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまいますからね。

横山氏:弊社でもジョブ・ディスクリプションを作成し職務内容を明確にすることで、組織全体の業績向上を目指しており、在宅ワークとも非常に相性がよいと感じています。ただ、多くの企業にとってメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に転換するのは容易ではないかなとも思っています。

澤氏:たしかに簡単ではないでしょうね。しかし、ジョブ型雇用が日本で浸透したら世界最強になるのでないでしょうか。というのも、ジョブ型雇用のデメリットは所属組織への帰属意識が薄くなることですが、そもそも日本人は同質性が高く強い仲間意識を持ちやすい気質があるので、能力が発揮し続けられる労働環境できちんと評価してもらえる企業には、これまで以上にコミットする可能性が考えられるからです。今はCOVID-19の影響でリセットがかかっているため、ジョブ型雇用に転換しやすいはず。検討段階の企業であれば今が実行のタイミングではないでしょうか。

横山氏:どのようにすればジョブ型雇用を定着させられますか?

澤氏:ジョブスクリプションを作成し、定量的な評価の基準を明文化して周知徹底すること。定期昇給を無くし、評価基準を満たしてはじめて給料が上がる仕組みにしておけば、やりがいも生まれるでしょう。ただし、何が得意か、どの分野に適正があるのかについては、社員が自分の頭で考えて見つけることがジョブ型雇用の根幹です。人事やマネージャーは、それを決めつけるのではなく、後押ししてあげるといいと思います。

横山氏:ジョブ型雇用が定着して、社員それぞれのやるべきことが決まれば、余った業務はアウトソースする対象となります。ジョブ型雇用とアウトソーシングの両輪で業務をスリム化できると、「ムダ」を省けて企業全体に大きなメリットをもたらすはずです。

価値を出せるところにしか労力を使わなくていい。コールセンターのアウトソーシングへのニーズが加速

「得意分野に集中し、強みを最大限に活かす」。この視点に立って企業の経営を考えた際に検討してほしいのがBPOという選択肢だ。BPO とは、企業のビジネスプロセスの一部をアウトソーシングするもの。NTTマーケティングアクトは、電話対応業務を担うコールセンターをはじめ、メール、チャットボット、有人チャットなど、複数チャネル対応するコンタクトセンターを運営し、顧客のサポート業務を請け負っている企業だ。昨今では経営効率を高めるために自社の強みにリソースを集中させたい企業が増えており、アウトソースへのニーズは加速しているという。

  • NTTマーケティングアクトが提供するコンタクトセンター構築・運営サービスのイメージ

澤氏:私も、あるサービスを利用して秘書業務を代行してもらっていますが、「自分が価値を出せるところにしか自分の労力を使わない」と徹底した結果、仕事の効率が上がり年収も大幅に増加しました。最終的な投資対効果を高めるために何をすべきかを考えることが大切です。

横山氏:どの企業もリソースは限られていますし、コミュニケーションツールが高度化・多様化し、遠隔コミュニケーションの機会が増えている社会状況だからこそ、当社が果たすべき役割は大きいのではないかと考えています。当社では「人とAIの融合」をテーマに掲げていて、最新技術を駆使しながらより良い顧客体験を創造する「ProCX(プロクス)」宣言のもと、人材の育成にも力を入れてCXのプロ集団を目指しています。

  • AIとヒトの共存を掲げる、CXプロ集団のNTTマーケティングアクト

澤氏:定量的な作業をスピーディーにこなすにはAIが役立ちますからね。一方で、それ以外のこと、例えば、会話を通してお客様が言語化しにくい課題を解決に導いてあげたり、まだ気づいていないアイデアを提供してあげたりといったことは人の方が適しています。そのため「人とAIの融合」というテーマは理にかなっていて素晴らしいと思いますね。

横山氏:ありがとうございます。今後はより一層「人とAIの融合」を加速させ、デジタル領域の事業をスケールさせていきたいと考えています。ただ澤さんのおっしゃるように人の方が得意な部分もあり、我々のようなアウトソーサーにとっては人こそ経営の資源です。優秀な人材を育成できる仕組みをしっかり整備し、総合アウトソーシング市場における業界トップクラスのサービスを提供していきます。

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企業再興のヒントは「やらないことを決める大切さ」 「強み」にフォーカスすれば、日本の企業はまだまだ成長できる

今回の対談から見えてきた企業再興のヒントは、「やらないことを決める大切さ」。やめることは、何かを始めることよりも覚悟と勇気が求められるかもしれない。けれど、新型コロナウイルスによって世界がリセットされた今、思い切った決断ができるチャンスとも捉えられないだろうか。やめるべきことをやめ、「強み」にフォーカスすれば、日本の企業はまだまだ成長できる。そんな希望を抱いた対談だった。

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