今回のコロナ禍により、多くの企業で「テレワーク環境」の整備が喫緊の課題となっている。
本稿では「テレワーク環境におけるパソコンの利用」について検討してみたい。

加速するテレワーク環境整備

2011年に発生した東日本大震災から来年で十年になります。この間、日本列島はたびたび災害に見舞われ、多くの企業が「事業継続計画」を見直してきたと思います。従業員の労務環境視点では、2019年に「働き方改革法」が施行され、さまざまな働き方に対応できる、柔軟性に富んだ労務環境を整備中の企業も多いでしょう。そして、今回の新型コロナウイルスの蔓延防止に向けた突然の外出自粛要請を受けて、多くの企業ではテレワーク環境の整備を加速せざるを得なくなりました。

このところ、テレワーク環境の整備について多数のご相談をいただいています。なかには緊急事態宣言が解除されるまでの一時的な利用を前提とされているお客さまもいらっしゃいましたが、今後も起こり得る有事の際にも、慌てることなく事業継続可能なテレワーク環境を整備するには、保険的な位置付けのITインフラ環境ではなく、業務の競争差別化にも資する、恒久的なITインフラ環境であることが望ましいと考えられます。

テレワーク環境がスムーズに浸透・定着しない要因としては、これまでの働き方とインターネットとの親和性の低さが挙げられます。特に、執務場所、パソコン、印刷・押印における概念が足枷になっているようですが、これらはインターネットを軸とした新しい働き方に置換可能なため、今後、恒久的なテレワーク環境を整備する際、働き方を見直すうえでの着眼点にしていただきたいと思います。以下では「テレワーク環境におけるパソコンの利用」を中心に考察してみます。

Windows標準のリモートデスクトップは?

企業で利用されているWindows OSには、社員個人に貸与されたパソコンに別のパソコンから無償で接続できる「リモートデスクトップ」機能が備えられており、オフィス内に設置されたパソコン上で稼働するWindowsデスクトップ環境を遠隔操作できます。

ただし、リモートデスクトップ接続機能は、接続先のWindowsデスクトップ環境が常時オンライン環境下にある必要があり、ソフトウェアのアップデートによるシャットダウンや再起動時には接続できなくなります。また、再起動時にWindowsが立ち上がらず止まってしまうと、リモートからはお手上げとなってしまいます。この点からも、リモートデスクトップ接続機能は、恒久的なテレワーク環境ではなく、端末を直接操作できない緊急時の一時的な利用に留めることが望ましいと言えます。

リモートアクセスは?

「リモートアクセス」機能は、企業管理下にあるパソコンを社外に持ち出し、社外からインターネット経由で企業内ネットワークに接続する仕組みです。企業管理下にあるため、一定のセキュリティレベルを維持でき、テレワーク環境を支えるITインフラ基盤として有用です。

しかし、持出可能なパソコンであることが前提条件なので、パソコン紛失時の情報漏えい対策は別に検討する必要があります。また、今回のような長期におよぶ在宅勤務や出張時など、管理者がパソコンを直接管理・操作できない環境下においてパソコンに障害が発生した場合は、復旧に時間を要することが容易に想像されます。さらに、急きょ、テレワークを行なうことになった際には、従業員がパソコンを持ち出していないことも懸念されるため、テレワーク環境を支えるITインフラ基盤として採用するには、パソコン障害時および非所有時の代替案を並行して検討しておく必要があります。

仮想デスクトップは?

場所・パソコンを問わず、テレワーク環境として整備しやすいのは、Windowsデスクトップ環境のみを従業員に提供する「仮想デスクトップ」機能です。リモートデスクトップやリモートアクセスのように社員に貸与したパソコンとWindows OSが一体化しているのではなく、論理的に切り離して、Windows OSの操作画面をインターネット越しに画面転送で利用する仕組みです。

仮想デスクトップは画面転送のため、手元のパソコン内にデータが保存されず、リモートデスクトップ接続のような情報漏えいやマルウェア流入といったセキュリティリスクを最小化できます。また、画面転送される手元のパソコンが直接社内LANに接続しないため、会社貸与パソコンと個人所有パソコンを併用することが可能であり、会社貸与のパソコンを持ち帰っていない場合やパソコンの故障時でも個人所有のパソコンで業務を遂行できる点も、テレワーク環境を支えるITインフラ基盤として最適であると言えます。

以前は、自社オフィス環境やデータセンターに仮想デスクトップ環境を構築し、自社で運用するのが一般的でしたが、安定した仮想デスクトップ環境を実現し続けるための技術的障壁や運用負荷が高いことから、最近ではサービスプロバイダやクラウド事業者が提供する仮想デスクトップサービスを採用するケースが増えています。

仮想デスクトップサービスを活用することにより、従業員の採用・退職にともなうデスクトップ環境の整備を短時間で行なえるほか、デスクトップ環境の一時的な利用に際しても必要最低限の投資で抑えられるなど、テレワーク環境以外でも企業に高い付加価値をもたらしてくれます。

  • テレワーク環境におけるパソコン利用の比較

    テレワーク環境におけるパソコン利用の比較

フルマネージド型の仮想デスクトップサービス

外出自粛要請が発せられたことで、マイクロソフト社から昨年、リリースされた仮想デスクトップサービス(Windows Virtual Desktop)に対する注目が高まっています。この背景には、これまでに一度は仮想デスクトップ(サービス)の導入を検討したものの、導入障壁の高さから採用を見送ってきた企業が改めて導入を検討している事情もあるようです。しかし今のところ、本サービスの技術的難度は高く、企業単独で導入に踏み切ることは困難と言えます。他の多くのクラウドサービスのように、導入後は自社で運用できればいいのですが、恒久的に安定利用し続けるには、サービスプロバイダが導入時から利用開始後までを一気通貫でサポートするのが望ましいと考えられます。

我々が以前から提供している仮想デスクトップサービス同様、先述したマイクロソフト社の仮想デスクトップサービスに関しても、我々がサポートを行なう独自のサービスメニューを現在、準備中です。

一般的な仮想デスクトップサービスの運用サポートは、仮想デスクトップサービスの基盤部分のみに限られ、デスクトップ環境自体の運用は、契約企業で対応する必要があります。それに対し我々は、デスクトップのマスターイメージの運用代行を含め、フルマネージド型の仮想デスクトップサービスを提供いたします。また、仮想デスクトップサービスだけでなく、デスクトップ環境に接続するネットワーク環境から、業務遂行に必要なデスクトップ環境上の各種サービスまで、皆さまのテレワーク環境に即したITインフラ基盤全体の整備を手厚くご支援いたします。

今回のコロナ禍により生じたテレワーク環境の見直しを機に、恒久的に利用可能な戦略的ITインフラ環境を我々と一緒に構築していきましょう。

特集イラスト/高橋 庸平

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