グループウェアとは?導入目的と主な機能、導入のポイントを解説

グループウェア

自社のIT化を検討する際、グループウェアは基幹システムのひとつとして候補に上がることの多いシステムです。ただ、グループウェアとはどのようなシステムなのかと改めて聞かれると、うまく説明できない人も多いのではないでしょうか。この記事では、グループウェアとは何か、導入目的と主な機能、導入のポイントなどについてわかりやすく解説します。

グループウェアとは

グループウェアとは、情報共有による部門間・組織間の円滑な意思疎通を促すツール群で構成されたシステムです。グループウェアの導入目的と対象業務について、もう少し詳しく説明します。

1 グループウェアを導入する意味・目的

グループウェアを導入する最終的な目的は「業務効率化」です。業務効率化を達成するため、グループウェアは「情報の可視化と共有化」を重視し、部門間のやり取りをスムーズにします。

部門間でバラバラに使っているスケジュール管理や文書管理、ワークフローなどを全社共通にすることで、部門間の情報共有がスムーズになり各社員の業務状況の可視化が可能になります。

また、施設の予約やWeb会議など、どの拠点にいても、あるいはテレワークを行っていても協業できる環境を整えることもグループウェアの役割です。

グループウェアの目的を達成するためには、基本的に全社導入が必要です。各部門で使っている独自のツールでグループウェアと重複するものがあれば、順次グループウェアの機能に置き換えることとなります。

2 グループウェアの対象業務

グループウェアの対象業務は、全社共通の基本的なデスクワークのほとんどすべてです。作成した文書の共有化、申請業務の電子化、スケジュールの共有化、掲示板での素早い情報共有。社内の誰もが行っているこれらの業務を、グループウェアは効率化します。

逆に、デスクワーク以外の業務や部門のみで行っている業務の対応は、グループウェアにとってあまり得意ではありません。経理部門が主にかかわる勤怠管理システムや、営業部門で利用する営業システムはグループウェアに含まれないケースが多い傾向にあります。

グループウェアの主な機能

現在多くのグループウェア製品が流通していますが、主な機能は以下の7機能です。

  • スケジュール
  • 設備予約
  • 掲示板(インフォメーション)
  • ワークフロー
  • 文書管理(ファイル共有と版管理)
  • 電子会議室
  • ToDo

各機能について、どのような機能で業務効率化に役立つか解説します。

1 スケジュール

スケジュール管理機能は、各機能の中でもひんぱんに使われ、ログインした際に表示されるポータル機能と一体化しているケースもよく見られます。

個人のスケジュール管理はもちろん、会議室などの施設やTV会議システムのような設備に対してもスケジュール管理できる点が大きな特徴です。スケジュール管理によって、従来はその都度、上司や関係部署に確認をしていた手間が省け、スピーディーな協業ができるようになります。

スケジュール管理は日常的に利用する機能なので、特に画面や操作の簡便性を重視したい機能です。

2 設備予約

会議室など施設の予約も、台帳管理ではなくスケジュール管理機能でリアルタイムに対応可能です。会議の予約では、設備予約と同時に会議参加者のスケジュールもまとめて予約できるため、いつどこで会議が行われるかという情報の共有も同時に行えます。自席にいながら手続きを行え、台帳管理の手間もありません。

3 掲示板(インフォメーション)

掲示板は、アクセス権限の制御やファイルの共有も考慮された情報共有の機能です。全社に向けたお知らせや事業部・部・課といった組織レベルでの情報共通も簡単に行えます。掲示した情報は、公開期限を決められるので、いちいち削除する必要がない点も便利です。

4 ワークフロー

ワークフローは、申請業務を電子化して、フローを可視化する機能です。承認処置がどこまで進んでいるのかが一目瞭然で、誰かが止めている場合はフォローする機能もあり、いちいち電話をかけて承認を促す手間が省けます。

文書は電子化しているため、外出先でも書類の持ち出しをすることなく承認処理ができます。ワークフローを導入すると、申請業務は劇的にスピードアップする場合が多く、業務効率化の効果を即実感できる機能のひとつです。

5 文書管理(ファイル共有と版管理)

文書管理の主な機能は、作成した電子ファイルの共有化と版管理です。作成した資料は文書管理で版管理をし、適切なアクセス権限を与えて社内の適切な範囲に公開できます。いちいちメールで文書に添付しなくて済むため、セキュリティ面の効果も期待できます。 (※版管理:文書のバーションを管理する機能。古いバージョンの文書を参照したり復活させたりといったことができる)

6 電子会議室

電子会議室の機能も、グループウェア機能のひとつです。部門や拠点の垣根を超え、チャットベースで自由に情報の交換を行えます。チャットで文章化するため、後から検索機能を利用してナレッジベースとして利用できる点もメリットです。

7 ToDo

タスク管理機能です。自分自身のタスク管理と、メンバーに依頼したタスクの両方が管理できます。期日や重要度による確認や、作業状況の確認もできるため、タスク整理や必要なフォローも迅速に行える点が特徴です。

グループウェアを導入するメリット

    グループウェアのメリットとは

グループウェアを導入するメリットを4点にまとめて解説します。

1 素早い情報共有による業務効率化

もっとも重要かつ大きな導入メリットは、情報共有のスピードアップによる業務効率化です。グループウェアは、日常業務で人手を介する部分を極力減らし、すべてオンライン化することで、業務効率化の底上げをサポートします。

デスクワークには、会議室の予約や申請書類の承認依頼とフォローなど、人手がかかる業務は少なくありません。ひとつひとつにかかっている時間は少なくても、日々発生するとなると大きなロスとなります。

これらの問題を解決したいと考えている場合、グループウェアの導入効果はかなり大きいでしょう。

2 社員の業務状況可視化

日常業務をオンライン化することで、社員の業務状況を可視化できる点も、グループウェアの導入効果です。ToDo機能で依頼した業務の進捗や、ワークフローの承認処理がどこで止まっているかをすぐに確認することができます。進捗に遅れが出そうな場合もすぐにフォローできるため、ボトルネックの素早い解消も可能です。

3 離れた事業所や在宅勤務でも協業しやすい

グループウェアを利用することで、離れた場所にある事業所や在宅勤務者とのやり取りもスムーズに行えます。文書の共有や電子会議室等を活用することでリアルタイムに情報共有できるグループウェアの強みを活かせます。

4 ナレッジベースの構築と活用

電子会議室や文書管理は、情報の蓄積を得意とする機能です。ノウハウの蓄積は気軽に投稿しやすい電子会議室、業務文書は文書管理を使って体系化し格納することで、情報の再利用がしやすくなります。

グループウェア導入の検討ポイント

グループウェアを導入する際に検討しておきたいポイントは以下の3点です。

1 欲しい機能と価格のバランスが取れているか

グループウェアは多機能ですが、自社の状況によっては使わない機能もあるでしょう。多機能で高価格の製品にするか、シンプルな機能で低価格の製品にするかはじっくり検討したいポイントです。

2 オンプレミスかクラウドか

グループウェアも、オンプレミス版(社内にサーバーを構築)とクラウド版(インターネット上のサーバーにあるサービスを使用)の両方が提供されています。すべての製品が両方の提供形態に対応しているとは限りません。どちらにするかは、自社のシステムが現状どのようになっているかによってある程度決まります。

3 全社員へ導入の説明や教育を検討

グループウェアは全社導入が一般的です。導入の目的をしっかりと全社員に伝えて理解を求め、ITシステムの扱いに慣れていない社員へは教育やサポート体制を整える必要があります。

4 グループウェアにマッチしない業務プロセスは見直しも必要

業務の中には、従来のままではグループウェアにマッチしない部分もあるかもしれません。特に、ワークフロー機能部分は申請の経路が現状に合わせて設定できるかどうか必ず確認しましょう。

グループウェアの無料トライアルで確認するポイント

グループウェアを導入する前には、無料トライアルを利用して実際に複数人で使ってみることが重要です。日常業務で利用する場面が多いだけに、使いにくい部分や現状の業務に適さない部分があるかもしれません。

ここでは、グループウェアの無料トライアルを利用する際確認しておきたいポイントについて解説します。

1 操作性、特に頻繁に利用するスケジュール機能

操作性がよくないと、全社導入しても思ったほど業務効率化が実感できない、使わなくなったなどの問題が起こります。特に、自社でよく利用すると考えられる機能は、情報システム部門ではなく、システムを日頃あまり利用していない人に実際の操作を依頼し確認してもらいましょう。

2 機能間連携がスムーズか

機能間連携がスムーズかどうかも重要な確認ポイントです。設備予約とスケジュール管理、ワークフローと文書管理など、連携して使ったときに違和感がないか、元の画面に戻れなくて困る部分はないか等を確認しましょう。

3 掲示板や電子会議室は検索しやすいか

日々のお知らせを掲載する掲示板や電子会議室は、情報の蓄積と再活用しやすいかどうかが重要な確認ポイントです。特に、検索は必要な情報をすぐに引き出せるかどうかをシビアに検証しましょう。

4 モバイル利用できるか

出張先や在宅勤務でも使いたいという要件がある場合、モバイル機能が使いやすかどうかも確認してください。簡単に各機能を起動できるか、パソコン版と比べて使えない・使いにくい機能はないか、無料トライアル版でチェックしましょう。

グループウェアは情報共有化によって業務効率化を目指すシステム

グループウェアは、情報の可視化と共有化によって業務効率化を目指すシステムです。情報を電子化してシステムで扱うことにより、部門間・組織間の意思疎通を促進し、離れた事業所間や在宅勤務でも仕事をしやすくする情報基盤としても役立ちます。

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