12月6日(日)午後12:10からテレビ朝日系列で放送される「第74回福岡国際マラソン」。新型コロナウイルスの影響によって出場選手数を大幅に縮小する形での開催となったが、昨年同大会日本人トップとなる2位の藤本拓、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)4位の大塚祥平など、多くの有力選手が走るとあって注目の大会となっている。日本記録更新も大いに期待されるなか、気になる選手のモチベーションやレース展開はどうなのか。マラソン強化戦略プロジェクトのリーダーであり、解説を担当する瀬古利彦氏に話を聞いた。

――なんといっても気になるのが新型コロナウイルスですが、選手にはどのような影響を及ぼしているのでしょう。

  • 日本陸連 強化委員会 マラソン強化戦略プロジェクトリーダーを務める、瀬古利彦氏

練習が7月ごろまで制限されて、なかなかトレーニングできなかったと思いますが、今の選手たちはそんな状況にもしっかり順応し、与えられた環境のなかで精一杯やっています。ですから、あまり大きな影響はないのではないでしょうか。むしろ走る機会が少なくなった分、一つひとつのレースを大切にするために、ものすごく集中していると思います。

――では、個々の注目選手についてコメントをお願いします。

藤本拓選手(トヨタ自動車)は五輪代表である服部選手(今大会は欠場を発表)の同僚ですし、同じような練習をしているわけですから、スピードランナーとしてレースを引っ張っていくと思います。昨年の福岡国際マラソンは2位、日本人としては1位ですので、2時間5分台の実力を十分持っていると思います。

大塚祥平選手(九電工)はMGC4位という実力の持ち主。スピードランナーではないので最初から速いペースで飛ばせるかどうかは分かりませんが、まだ若いですし、十分活躍してくれるでしょう。

――そのほかの選手についてはいかがでしょう。

川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)は、もう何回福岡で走っているか分からないけど(笑)。コースを熟知しているし、福岡の顔ともいえるので、しっかりとした走りでファンにアピールしてほしいです。

神野大地選手(セルソース)はMGCの時に調子が良くなかったので、ここでしっかり頑張ってもらいたいですね。

――今大会に臨む選手それぞれにモチベーションや課題があって、とても興味深いです。

なにより記録を狙えるコースというのが大きいと思います。優勝は当然として、シンプルに「記録を狙う」という目標、そこに向かって気持ちとコンディションを研ぎ澄ましていくだけですから。たとえ先頭から離れても、どのくらい粘って記録を狙っていけるかが見どころです。

――レース展開としてポイントになりそうな地点は?

やっぱり30km地点ですよね。その時点で、どれくらい楽に先頭集団につけているか。いっぱいいっぱいの表情ではなく、余裕を持って走っているかどうか。そしてペースメーカーが離れた後、本当の勝負が始まります。いつも言ってますが、マラソンは自分との戦いです。自分に負けたら相手にも負けます。自分にどれだけ勝てるかが勝負です。東京五輪に出場しない選手にとっては、次のパリ五輪へのスタート、ゴングだと私は思っています。

――主だった外国人選手が出場しない分、日本人選手の戦いに注目が集まりそうですね。

今回は特にそうなるでしょう。30km地点まではペースメーカーがいるので、そこまでしっかり元気について来れれば、(2時間)6分台はいけると思います。あとは気候や風次第ですよね。ただ、福岡はいつもちょっとだけ気温が高いんです。18℃とか。理想は15℃以下です。

――素人的な質問で恐縮ですが、気温が1℃違うだけでタイムが大幅に違ってくるのですか?

違います。15℃から1℃上がるだけで30秒くらい違ってきます。

――そんなに影響があるのですか。

あります。気温が上がることでスタミナの消耗が早まるので、後半の伸びが全然違うんです。ですから、欲を言えば曇りで、無風で、湿度30%くらいが理想です。

――ところで今回は感染防止のため、沿道での観戦を自粛するよう通達されています。

普段より少なくなるのは仕方ありませんが、福岡の人にとっては、これが来ないと正月が来ない、というくらい歴史のある大会なんですよね。しかし辛いところではありますが、今回ばかりは皆さん、お家でテレビから声援を送ってください。

――大会まで1ヵ月を切り、きっと選手も気持ちが高まっているのではないでしょうか。

それはもう、ずーっと試合が出来ない状態が続いていたし、節制はもう完璧です。選手は皆この福岡で全部出しきると思いますよ。そのうちの何人かはめちゃくちゃ良い記録を出すと思う。だって走りたくてしょうがないんだから(笑)。持っているものをすべてぶつけて走り抜いてほしいですね。


放送は、12月6日(日)午後12:10から(テレビ朝日系列)。瀬古利彦氏も注目する、今年のレースをぜひリアルタイムで応援してほしい。

>> 福岡国際マラソン公式HPはこちら

「第74回福岡国際マラソン」(テレビ朝日系列)
2020年12月6日(日) 12:10~14:26 生中継

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