PCゲームには「推奨スペック」というものがあり、それを満たしていれば、ほどほどにゲームが動くとされているが、この"ほどほど"がどんな状態を指しているのかはわからない。解像度や画質を最低限にして60fps近辺で動くのかもしれないし、フルHD&中程度の画質で60fps前後かもしれない。要は目安でしかないのだ。

だが、今年9月に登場したNVIDIA GeForce RTX 3080なら、現行ゲームのほとんどのタイトルをフルHDなら最高画質でも超高fpsで、4Kなら高画質(場合によってはレイトレーシングも含めて)平均60fpsで動かすことのできるポテンシャルを秘めている(RTX 3090は究極の選択ではあるが、むしろ8K動画編集やCG作成といったクリエイティブワーク寄り)。これから登場する注目作「Watch Dogs: Legion」や「Cyberpunk 2077」などを最高の状態でプレイしたいなら、RTX 3080はベストな選択だろう。

だがRTX 3080はグラフィックカードのサイズも消費電力も大きく増えているほか、描画処理を支えるCPUパワーも強力でなければならない。RTX 3080をゲームで全力で回しても、安心して使い続けられるPCを今すぐ手に入れたいなら、検証も十分なメーカー製のBTO系PCが最適解だ。

RTX 3080を搭載したBTO PCは各メーカーから販売されているが、今回はマウスコンピューターG-Tune EP-Z」のカスタムPCを試す機会に恵まれたので、実際どの程度のパフォーマンスを得られるのかレビューしてみたい。

  • Core i7-10700KにGeForce RTX 3080を組み合わせた「G-Tune EP-Z」は、ゲームを最高画質かつ最高のフレームレートで楽しみたい人に最適な一台だ。今回は電源を1200Wに変更、サイドを強化ガラス+LEDファンに変更したカスタムモデルで検証した。10月20日時点ではマウスコンピューターの直販サイトにて358,380円(税込)で購入可能だ

ハイパワーCPUとGPUにふさわしい出来映え

まずはG-Tune EP-Zの外観からチェックしていこう。ボディーはマウスコンピューター(G-Tune)のハイエンドゲーミングモデルにのみ使われている、黒いダーククロム強化ガラスに赤いラインがアクセントシンプルなデザインのPCケースが採用されている。今回試用したモデルは、左側面パネルをライトスモーク強化ガラスに、さらにCPU冷却用ラジエーターとケースファンをLED付きファンに交換しているため、動作時の見た目はかなりインパクトがある。ただ、本機の標準構成は普通のスチール製パネル+通常ファンなので、いかにも"ゲーミング"然とした雰囲気が好みでないなら、標準構成を選択できる(選べるというのは素晴らしいことだ)。

  • 背面。縦置きで電源ユニットを上に、マザーボードを下に配置した独特のデザイン。背面のインタフェース類は有線LANにUSB 3.0を4系統、USB 3.1のType-Cも1系統など、基本的装備は一通りそろっている

  • ボディ前面にもUSB 2.0と3.0を2系統ずつ備え、さらにヘッドフォン&マイク用端子を配置して使い勝手は良い。電源ボタンはかなり重く、少し手や足が当たっても動作しない設計には、マウスコンピューターの美学が感じられる

  • 前面下にはスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブを装備。昨今忘れ去られつつあるデバイスだが、再セットアップやバックアップ時にあると便利なので、地味にうれしい存在である

本体サイズは、G-Tuneシリーズの中でも"フルタワー"に分類されるだけあってかなり大きく、その分、内部容積にはかなりの余裕がある。RTX 3080カードを入れてもかなり余るほどだが、ハイパワーCPUとGPUをギチギチなケースに収めて、冷却性能が低くなるよりは、余裕のあるケースで運用したほうが、はるかにQOLは高い。ハイスペックパーツに最適なチョイスといえるだろう。