テクノロジーの進化は、多くの企業・団体におけるワークスタイルに大きな変革をもたらした。デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、働き方改革に取り組む企業はあとを絶たず、従来の定時出社が当たり前なオフィスワークスタイルから、テレワークや在宅勤務といったフレキシブルな働き方への移行が推進。さらに昨今の社会情勢にともなう「新しい生活様式」が、こうした流れを加速させ、多くの企業は短い準備期間で在宅勤務の環境を構築せざるを得ない状況に陥っている。

もちろん、テレワークや在宅勤務は業務担当者にとってメリットの多いワークスタイルといえるが、業務の内容によっては業務効率や生産性の低下を引き起こしてしまうケースも少なくない。特にサポートやセールスといったコミュニケーション中心の問い合わせ対応業務は、在宅勤務への移行で多くの課題が生まれる傾向が強く、業務担当者と管理者の双方を悩ませている。このようなコミュニケーション業務における在宅勤務の課題を解決するサービスに、日立ソリューションズが販売しているクラウドサービス「Front」がある。

在宅勤務によるコミュニケーション不足という課題

在宅勤務が導入されたことで、これまでは当たり前のようにできていたことができなくなりつつある。たとえば、従来のオフィスワーク環境ではメンバー全員が目に見える場所で業務を行っており、口頭で確認を取りながら問い合わせに対応をすることができたが、直接的なコミュニケーションが成り立たない在宅勤務環境では確認ひとつにメールのやり取りが必要なこともめずらしくない。メンバー同士がお互いの状況を正確に把握できないため細かなフォローも難しく、チーム全体の生産性が低下する危険もはらんでいる。

管理者にとっても、メンバーの業務状況を目視できず、メンバー同士の会話も聞こえない状況での適切なマネジメントは困難。自分の目が届かない場所で業務が行われることで、メンバーの生産性や業務品質が"落ちているのではないか"といった危惧を抱くケースも少なくないはずだ。さらに管理者が常に出社し、在宅勤務とオフィスに出社するメンバーが混在するような状況では、同じチーム内で管理者とのコミュニケーションに格差が生じるといった問題も発生してしまう。

  • 在宅勤務の導入でメンバー間のコミュニケーションが取りづらくなったり、メンバーの業務状況が把握しづらくなったりした

    在宅勤務の導入でメンバー間のコミュニケーションが取りづらくなったり、メンバーの業務状況が把握しづらくなったりした

こうした在宅勤務ならではの課題を解決するためには、チームでの問い合わせ対応の効率化に加え、在宅勤務の状況を正確に把握できるソリューションが不可欠といえる。そこで注目したいのが「Front」だ。

メール主体の問い合わせ業務を効率化するクラウドサービス

Frontは、メール主体の問い合わせ業務に対して効率的なコミュニケーション手段を提供するSaaS型のソリューションだ。在宅勤務関連のものを含め、問い合わせ業務全般が抱える課題を解決するための機能を取り揃えている。

欧米を中心に5,000社以上の導入実績を持つFrontは、規模や業種を問わず、さまざまな企業でサポートチームやセールスチームを中心に活用されている。Webメールライクなユーザーインタフェース(UI)を採用した共有インボックスを用意し、チームメンバーがやり取りしているメールを集約。同じ画面で各担当者にアサイン(本人でも管理者でも可能)することができ、誰がアサインされているのかも一目で確認可能で、対応漏れや二重対応のリスクを大幅に軽減することができる。従来のメールを中心とした問い合わせ対応業務では、未読メールをすべてチェックして自分が引き受けるべき問い合わせを探す必要があったが、Frontではメールの特徴を分析して適切なメンバーに自動でアサインすることが可能だ。在宅勤務環境においては、直接的なコミュニケーションの替わりにメールが利用されるケースも少なくない。その結果オフィスワーク時と比べて一人ひとりが扱うメール数は増加する傾向にあり、メール処理にかかる時間が業務を圧迫していく。メール情報の集約と共有が可能なFrontを導入すれば、不要なメールを確認する手間がなくなり、効率的な業務環境が実現する。

  • 問い合わせ対応におけるメールの課題を解決できる

    問い合わせ対応におけるメールの課題を解決できる

メールを主体とした問い合わせ業務の課題解決を支援するFrontだが、近年利用するケースが増えてきたWebフォームやSNS、チャットといった問い合わせチャネルにも対応。複数チャネルを統合管理することが可能で、チャネルごとにツールを使い分ける非効率的な業務から解放されるというメリットが得られる。

さらに、業務で利用している外部ツールとの連携も行え、CRM(顧客関係管理)やタスク管理、ビジネスチャット、クラウドストレージといったソリューションをFrontの画面上でシームレスに利用することが可能。カスタマイズやAPI連携により、企業独自の業務システムとの接続にも対応する。これまで手動で行ってきた各ツールとの関連付けを自動的に行えるようになるため、大幅な生産性向上効果が期待できる。各種カスタマイズは導入企業自らが行えるほか、サービスを提供する日立ソリューションズのサポートを受けることも可能だ。

このように、共有インボックスによるチーム内の情報共有から複数チャネルの統合管理、外部ツールとの連携まで、Frontは問い合わせ対応業務の課題を解決するための機能を備えている。開発元のFront社が既存顧客を中心に実施した顧客サーベイによると、「1週間1人あたりの業務時間を平均6時間削減」「問い合わせに対するレスポンスタイムが平均56分短縮」「チームパフォーマンス(生産性)が平均17%向上」といった結果が出てきており、顧客満足度の高いサービスであることがわかる。

  • Frontの概要