企業の競争力を維持・向上させていくためには、デジタルデータの活用をいっそう進め、ビジネススタイルの変革に取り組むことが必要不可欠だ。特に昨今では、働き方改革やウィズコロナなど、生活や生命を重視する意味でも、デジタルによる効率化が求められている。しかし多くの企業ではうまくいっていないというのが実情のようだ。その理由はどこにあり、どのように解決すべきなのか。

2020年7月9日、Webセミナーで開催された「マイナビニュースフォーラム 2020 Summer for データ活用 ~不確実性の時代に求められるデータ戦略~」では、Domoでエバンジェリスト兼リードコンサルタントを務める守安 孝多郎氏が「企業のデータ活用に立ちはだかる『3つの壁』~デジタル変革を実現する~」と題した講演を行い、課題が生まれる理由や、その解決策となる同社の製品・サービスを紹介した。

  • Domo エバンジェリスト 兼 リードコンサルタント 守安 孝多郎 氏

    Domo エバンジェリスト 兼 リードコンサルタント 守安 孝多郎 氏

データの収集と可視化の自動化によって、方向性を見出す

守安氏はまず、国際的なリサーチ会社が行った調査結果を示し、国内企業でデータを利活用できているのは約半数、そこからなんらかのビジネス成果を得られているのは全体の1/3に過ぎず、十分に成果を得ている企業に至っては、3%しかないという現状を説明した。

「またある調査では、DX環境整備の成熟度が高い国内企業は、全体の6%という結果が出ています。つまり環境が整備されている企業(6%)でも、十分な成果を上げられているのは、そのうちの半分(3%)に過ぎないということです。どうしてこういう状況になっているのか――データ活用を進めるうえで、壁があるからです」

ではその壁とはなんなのだろうか、守安氏はデータ活用のロードマップを示しながら3つの壁を説明する(図1)。一般的なロードマップは啓発や意識付けに始まり、デジタル化推進のための方向付け、デジタル化推進で何をするのか、どう進めていくか、どう定着させるか、そしてビジネス成果へつなげるかというものだ。そこでの第一の壁は、デジタル化の方向付けを行う段階で現れる。最初に方向性を定めようとしたり、データの整理をしようとしたりすることが、デジタル化の勢いを止める壁となってしまうのだ。

これに対して守安氏は、「データの収集と可視化の自動化」を推奨する。整理されていないデータでも、まずは自動でどんどん集めて可視化(グラフ化)するべきで、方向性はそのグラフから見えてくるものだと語った。

  • 図1 デジタル化推進のロードマップと、3つの壁

    図1 デジタル化推進のロードマップと、3つの壁

適切なダッシュボードをつくり、ストーリー性のある報告をする

第二の壁は「アクションにつながるダッシュボードの設計」だ。データは集まって可視化したが、アクション決定の裁量を持つ上司にどう報告すべきか、つまり報告をうまく行うために、どのようなダッシュボードをつくればいいかが分からないことが壁になるのだ。守安氏は解決策として、逆三角形のフレームワーク(図2)に当てはめてダッシュボードを設計することを勧める。上段には現状の概要、次にその現状を生み出した要因のブレイクダウン(何が起こっているのか)、最後に詳細を調査するのに必要な情報や補足というフレームワークだ。

  • 図2 逆三角形のフレームワークとKPIの関連性

    図2 逆三角形のフレームワークとKPIの関連性

「この逆三角形のアプローチは、KPIツリーともリンクします。上段は成果指標(営業利益など)、二段目は成果に直接影響しているドライバ指標(売上や原価、販管費など)、そして下段にはそれを下支えするアクション指標(日々の業務活動で生じる経費など)という具合です。映画のストーリーでいえば最初にクライマックスを持ってきて関心を引き、それをブレイクダウンしていくという構成にすれば、役員も興味を持って最後まで報告を聞いてくれるでしょう」

また報告中に出てくるであろう質問を予測して、ダッシュボードを設計する方法もある。営業利益を報告した際に聞かれるはずの「リードは何件だったか」という質問や、そこから派生する「チャネルごとの件数は?」「期間ごとの件数は?」などの質問を予測し、それに即座に回答できるようにダッシュボードを構成していくのだ。

説明する内容に合わせて、グラフの使い分けにもコツがあると守安氏はいう。

「比較なら棒グラフや表、トレンドは折れ線や積み上げ面グラフ、構成を見せるなら円グラフ、関係性なら散布図やバブルチャート、分布はヒストグラムや地政学的なマップも効果的です。また逆三角形のレイヤーごとにも、適したグラフがあります(図3)。表現したいものに適したグラフを正しく使えば、データを正しく理解してもらえます」

  • 図3 報告内容に合わせたグラフを使うことで、理解度が深まる

    図3 報告内容に合わせたグラフを使うことで、理解度が深まる

ここまでに紹介したノウハウが理解できたとしても、「KPIを設定しても良いダッシュボードがつくれない」とか、「情報やグラフがたくさんあり過ぎて、どういうストーリーをつくればいいか分からない」など、第二の壁を越えることに難しさを感じる人も多いだろう。そういう人に、守安氏は「シンプルに考えること」を勧める。

「例えば良い結果が出たことを報告する時には、何を用意すれば評価が上がるか、悪い報告をする時には、どういう流れで報告すれば、それほど怒られないですむか、相手を納得させるためには何を見せたらいいか……こういうシンプルな視点で考えることが重要なのです」

改革者のアイディアを、組織全体で共有できるようにする

デジタル化の推進に立ちはだかる第三の壁は「データ活用意識が低い人への定着」だ。定着させられなければビジネス成果にもつながらないため、これが最大の壁といえる。ここで必要なのは、改革者の事業アイディアを共有し、その実現を支える組織力だと守安氏はいう。

改革者のアイディアがうまく組織に伝わらなければ、企業として進むべきデジタル化の方向性も明確にならず、データ活用に対する意識が低い人や、現業業務で多忙を極めている人まで巻き込んだ改革は不可能だ。そうならないためには、改革者がしっかりとしたアイディアをつくり、改革者を支える組織はデータ活用の技量を高めておく必要がある。

ツール、コンサルの両面から、3つの壁の克服を支援するDomo

「データの収集と可視化の自動化」「アクションにつながるダッシュボードの設計」「データ活用意識が低い人への定着」という3つの壁を乗り越えるために、Domoでは2つのソリューションを提案している。まずはビジネスプラットフォーム「Domo」だ。「Domo」は1,000以上のコネクタを持ち、データ収集やグラフィカルなデータの加工・編集が自動で行える。「データの収集と可視化の自動化」の壁はこれで突破できるだろう。

また「Domo」のダッシュボードには、ストーリーを語るように報告を行うための機能が豊富に搭載されており、「アクションにつながるダッシュボードの設計」にも対応している。さらにモバイルファーストで設計されているため、スマホでいつでも、どこからでもグラフを見られるので、スピーディな判断にも役立つ。

「データ活用意識が低い人への定着」の壁を克服するためには、コンサルティングサービスが用意されている。イノベーションを創出するDX組織をつくるために、Domoの担当者が改革者と一緒にアイディアをつくり、「Domo」でそのアイディアを組織に伝え、ダッシュボードの構築支援まで行うという。ツールとコンサルの両面から、企業のDXをサポートしているわけだ。

守安氏はDomoの製品・サービスを利用して3つの壁を克服し、データ活用に成功している事例をいくつか紹介した。顧客データからその購買動向を分析し、インサイドセールスのターゲットを最適化することで、ファン化の促進や売上向上を実現した国内アウトドア用品メーカー、業務系データをダッシュボードで可視化することにより、サービス品質の向上や経営視点からのレポート作成に役立てている物流企業などだ。

事業計画を練る段階での情報収集から、事業アイディアをつくるコンサルティング、それを遂行するためのデータ活用と定着化、そして運用継続の支援。Domoの製品・サービスがカバーする領域は広い。守安氏は次のようにアピールして、講演を締めくくった。

「コスト面で不安を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、『Domo』には1カ月のフリートライアルや、データの可視化を行えるPoCの無償サービス(60分)も用意しています。こうした無償サービスを気軽にご利用いただき、データ活用をいかにビジネス成果につなげられるか、体験していただければと思います」

◆DomoのHPはこちら
https://www.domo.com/jp

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