「働き方改革」を政府が推進するとともに、「在宅勤務」や「テレワーク」が注目を集めている。だが、それぞれの言葉の意味の違いをハッキリと認識している方はどれくらいいるだろうか。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が求められる中、企業は改めて働き方改革とは何かを考え直さなければならなくなっている。

テレワークマネジメント 代表取締役 田澤由利氏

日本では大企業を除きテレワークへの移行が思いのほか進んでおらず、テレワーク環境が整っていない企業はまだまだ多い。そもそも働き方改革とはどういうものなのか、テレワークを実現するために中小規模企業(SMB)は具体的にどのような取り組みを行わなければならないのだろうか。テレワーク・在宅勤務コンサルティングの第一人者である、テレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏に伺った。

田澤氏の考える「働き方改革」

大学卒業後、パソコンの商品企画担当として活躍していた田澤氏。だが30年ほど前に子育てと夫の転勤でやむなく退職。3人の子育てと夫の転勤による5回の転居を経つつも、フリーライターとして自宅で働き続けた。そして1998年、同じように会社を辞めざるを得なかった人たちとチームを組んで、在宅でも仕事ができる会社「ワイズスタッフ」を立ち上げ、全国各地に在住する120人のスタッフ(業務委託)と業務を行っている。

しかし、"会社に行かなくても働ける環境を作りたい"、"柔軟な働き方を社会に広めたい"という思いは強く、2008年9月、企業にテレワークのコンサルティングを行う会社「テレワークマネジメント」を設立。現在は企業へのテレワーク導入支援、国や自治体のテレワーク普及事業等を広く実施しており、2016年には「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞を受賞するなど、その貢献は高く評価されている。

「国が進めている働き方改革の中には"時間外労働の削減"がありました。ですが、それは一部分でしかありません。生産年齢人口が減少していく中で昔のような働き方をしていては、日本の働き手はもっともっといなくなってしまいます」

田澤氏は「これまで当たり前だった働き方を変え、残業しない、通勤しない、両立できる、直接会わない、副業・兼業可能という働き方を実現することが働き方改革の真髄」と話す。

「『お父さんがくたくたになって夜遅くに帰ってくる』、従来はそんな働き方が成り立つ世の中でした。しかし人口の構成が変化し、女性も働かなければならない世の中へと変化する中で、朝から晩まで会社にいることを求めると、当然両立できなくなります。『労働力を確保するために残業をやめよう』というのが働き方改革の最初のトリガーといえるでしょう」

ただし、これを単純に実行すると当然生産力が落ちる。落とさないためには時間当たりの生産性を上げるしかない。近年行われている業務の見直しや会議の削減は、そのための取り組みだ。

だが女性も働くとなると育児休業や短時間勤務も増えるし、さらに今後は介護離職も増加するだろう。そして経済も常に上向きとは限らない。労働時間に制約のある社員の労働参加化率を向上させ、外部人材を使って効率よく働ける環境を作るとともに、労働力の平準化を進めなければならない。

「政府の提唱する働き方改革の中で、テレワークは施策の一つにすぎません。しかし私は『働き方改革のベースにテレワークがある』と捉えています。より多くの人が、そのとき一番のパフォーマンスを出せるような労働環境を作ることが目的であり、それによって日本の生産性が低い、少子高齢化で労働力が減るといった課題を解決できるのではないでしょうか」

SMBがテレワークを実現できない理由

SMBにとってテレワークの導入は難しく、いまだ進んでいない会社が多い。どんなところにハードルがあり、また大企業と比べてどのような点に違いがあるのだろうか。田澤氏はこの問いに対して、「トップが必要性を感じていない」「お金がない」という2つの理由を挙げる。

「SMBは従業員数が少なくトップダウンで動きます。ですから、トップが必要性を理解し、システムを導入するための資金を用意できれば、むしろ大企業よりも素早くテレワークを導入できるのです。結局、昔ながらの中小規模企業でテレワークのカギを握るのは社長なんですよ」

実際にSMBでテレワークを導入し成功を収めている例の一つとして、田澤氏は大阪にある社員20名ほどの会社、有限会社ユー・プランニングの事例を挙げる。さまざまな年代、世代の従業員を抱えるユー・プランニングは、これまでの働き方であれば退職せざるを得ないような多くの従業員が、テレワークで働いている。

同社は、会社に来られない人にも働き続けてもらうために、例えば「滋賀に家を建てて住みたい」「年1回1カ月、夫の実家があるアメリカに里帰りしたい」「子供との時間を取りたいので残業したくない」「夫が事業を立ち上げるので手伝いたい」といった事情を持った人も柔軟にフォローしている。

中でも重点的に活用されているのがWeb会議システムだ。例えば東京出張では、A社との打ち合わせでは滋賀にいる人を、B社の会議ではアメリカにいる人をWeb会議に参加させることで、生産性向上、経費節約だけでなく、従業員のライフワークバランスをも実現している。

テレワークを行うために必要なツールとは?

現在のテレワークの定義は「ICTを活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」だ。従来は「ICTを活用し時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」だったが、これでは「自宅でも、夜中でも、働かなくてはいけないの?」「社員が好き勝手に働いたら困る」と取られかねないため、近年、このように改められた。

  • テレワークの定義は「ICTを活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」
  • テレワークの定義は「ICTを活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」
  • テレワークの定義は「ICTを活用し時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」

テレワークという言葉でまとめられているが、その中にはさまざまな指針が内包されており、在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィスといった働き方を含めた、柔軟な働き方と考えることができる。

田澤氏は「テレワークで求められるツールは、在宅勤務かモバイルワークか、サテライトオフィスかで大きく異なります」と話し、テレワークに求められるPCについて説明する。

「毎日在宅勤務と決まっている人であれば、デスクトップPCのほうが性能に対して価格が安いのでいいと思います。ですが、今の時代は営業でなくとも移動しながら仕事をする機会が多いので、十分な性能がありコンパクトで軽いノートPCは、やはり汎用性が高いでしょう。在宅勤務だけのPCなのか、モバイルだけのPCなのか、両方を賄うPCなのかで選ぶべきPCは変わってくると思います」

Lenovoのラインアップにおいて、在宅勤務もモバイルワークも両方を賄うノートPCといえば「ThinkPad X1 Carbon」だろう。

  • ThinkPad X1 Carbon (2019)

    ThinkPad X1 Carbon (2019)

このようなノートPCを選択した際に、田澤氏が「あったほうがいい」とお勧めする周辺機器はモバイルモニターだ。在宅勤務において省スペースでセカンドモニターとして利用でき、営業ではプレゼンテーションで活躍する。出張先のホテルでも作業領域を広げてくれるだろう。また合わせてモバイルバッテリーがあれば稼働時間の延長になり、USB Type-C ハブがあればデスクトップPCのようにさまざまな周辺機器を接続できる。

  • ThinkVision M14

    ThinkVision M14

  • Lenovo USB Type-C トラベルハブ 2(USB Type-C給電ポート搭載)

    Lenovo USB Type-C トラベルハブ 2(USB Type-C給電ポート搭載)

新型コロナウイルスによる外出自粛を終えた後を見据え、360度カメラの利用も勧める。1台で多くの人が会議に参加でき、一人ひとりを認識しやすくなるため、会社の会議室でWeb会議を行う際に非常に有用だという。該当するLenovo製品「Lenovo VoIP 360 カメラ スピーカー」は田澤氏自身も所有しており、職員のテレワーク採用を行っている奈良県生駒市とやり取りをした際に、実際に利用したそうだ。

  • Lenovo VoIP 360 カメラ スピーカー

    Lenovo VoIP 360 カメラ スピーカー

また在宅勤務では、家族の声など周囲の音を会議の相手に聞こえないようにし、さらに会議の内容を家族に聞かせないための配慮も重要だ。そのためにヘッドセットはあったほうがいいという。「ThinkPad X1 アクティブ ノイズキャンセレーションヘッドホン」は、アクティブノイズキャンセリング機能(ANC)と環境ノイズキャンセレーション機能(ENC)によって、音声の入力・出力両方のノイズを削減してくれる。

  • ThinkPad X1 アクティブ ノイズキャンセレーションヘッドホン

    ThinkPad X1 アクティブ ノイズキャンセレーションヘッドホン

さらに田澤氏は「今後、間違いなくWeb会議が増えていきますから、快適にするという視点が大事」と言及し、在宅勤務であれば背景などの工夫も必要になると話す。どうしても背景がごちゃごちゃしてしまったり、生活感が見えてしまうようであれば、「Zoom」や「Teams」が採用しているバーチャル背景も有効に活用してほしいという。

ただしバーチャル背景を安定して利用するには、ある程度のPC性能が必要だ。「バーチャル背景を含めたWeb会議システムを有効活用するためにも、PCにはそれなりのスペックがあったほうがいいです」と田澤氏は強調した。

SMBが新型コロナウイルスの影響に負けないためには

「新型コロナウイルスの影響により、SMBの多くが突然テレワークを実現しなければならなくなりましたが、突然だから無理ですし、やっても失敗する可能性が高いですよね。でも、突然なりにやれることもあるんです」

田澤氏はこう語り、今、新型コロナウイルスの流行によってテレワークを迫られている企業と従業員に起こるであろう問題について、次のように説明した。

「すでにテレワーク制度を導入していた会社は、その範囲内では問題なく行えるでしょう。ですが、制度があっても利用できるのが週1日だけといった会社も多いはずです。また資金力のある会社はIT環境や制度などを早急に整えて、テレワークを実行していると思います。しかし、このような突然のテレワークでは、いろいろな問題が出てきます。代表的なのは『さみしい』『だらけてしまう』『働きすぎてしまう』というコミュニケーションの問題です」

  • 突然のテレワークでは、いろいろな問題が出てくる

    突然のテレワークでは、いろいろな問題が出てくる

実は、田澤氏はコンサルティングの中で、これまでも「ぜひ一度全員でテレワークをやってみてください」と語りかけてきていた。だが実際にこれを実行した企業はほぼ存在しない。平時は当たり前のように会社に来られたからだ。

「若い人たちの多くは、元々テレワークに好意的だと思いますが、そうでない人もたくさんいて、そういった方たちを変えるには体験させるしかないんです。新型コロナウイルスの感染防止のために、テレワークをすることは、貴重な体験の機会といえるでしょう。問題は、このテレワークが良い体験になるか悪い体験になるか、どう感じるかという点です。ですが、準備ができていなければ悪い体験になってしまいます」

今はテレワークの岐路にあり、中途半端なテレワーク体験をしてほしくないと田澤氏は強調する。多くの会社が新型コロナウイルスの影響によってテレワークを始めているが、今どういうテレワークをやるかによって、平時に戻ったときのその会社の働き方が大きく変わるという。

「ではどうすればいいか。一つの例として私は『仮設のクラウドオフィス』を提案しています。災害時の仮設住宅と同じように、ネットワーク上にオフィスを仮設しましょう。ポイントは、いつものオフィスと同じようにチームで働ける環境を作ることです。仕事を自宅に持ち帰って1人でこなすのではなく、いつもの会社のようにコミュニケーションを取りましょう」

  • まず「仮設のクラウドオフィス」を

    まず「仮設のクラウドオフィス」を

「新型コロナウイルスの情勢下ではツールを吟味している余裕がない企業も多いと思います。まずはWeb会議ツールを使って仮設オフィスを作ってしまいましょう。Web会議ツールという名前から会議に使うものだと思ってしまうかもしれませんが、それ以外にもいろいろなことに使えます」

田澤氏は、Web会議ツールを使った具体的な仮設オフィスの作り方を次のように説明する。

  • 始業から終業までチーム全員がWeb会議室に入る
  • 業務時間中は常時マイクOFF、カメラOFF、スピーカーはON
  • 用事があればマイクをONにし、名前を呼んで話しかける
  • じっくり話す場合は別の会議室を立ち上げる。ここでは必ずマイクON、カメラON
  • 「仮設のクラウドオフィス」の運用ルール例

    「仮設のクラウドオフィス」の運用ルール例

「チームみんながいつもWeb会議室にいる環境を作り、いつカメラに写ってもいいように身だしなみも整えておくこと。重要なのは緊張感です。テレワークとは、機材を整えてセキュリティを保って、できることをやるだけではありません。会社にいるときと同じ環境を作り、同じようにコミュニケーションを取ることが大事なのです。こういう概念がわかれば、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた後に、テレワークをどう入れていったらいいかも理解できるのではないかと思います」

従来より、政府はテレワークを支援するために助成金や補助金の支援を行っている。さらに新型コロナウイルスの影響を受け、期間延長や条件緩和を実施しているため、企業はどういった機器やサービスを導入するべきかという点に注力しがちだ。だが、なんのために、どう使うために導入するかを明確化しておかなければ、せっかくの助成金は無駄になるし、テレワークも進まないだろう。

「テレワークはこれまで、女性活躍、障碍者雇用といった文脈とともに語られてきました。ですがテレワークはそれだけのものではなく、人材不足や生産性向上、コスト削減など、さまざまな社会課題を解決するソリューションであり、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務は、そのほんの一つにすぎません。今日を乗り越えるためだけにテレワークを行ってしまうと、広がりがなくなってしまいます。日本の働き方が変わるかどうかは、今この瞬間、企業がどちらを向くかで変わってくると思っています。きっかけは新型コロナウイルスでも、女性のためでも、なんでもかまいません。しかし、その先には企業のさまざまな課題を解決する、大きな可能性があるということを知ったうえで、取り組んでほしいと思います」

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