昨今の状況下において、テレワークの環境整備は万一の備えとしての努力目標から、整備しなくてはならないものへと一変しました。しかし、あまりに急な対応を求められるがゆえに「いったい何から手をつけて良いのやら……」と、頭を抱える担当者も少なくないでしょう。

今回は、在宅勤務歴20年、総務省が認定するテレワークマネージャーにも選ばれている株式会社テレワークマネジメント 鵜澤 純子氏をお招きし、社員のテレワーク環境の整備を担う情報システム部に向けてのアドバイスをいただくとともに、いますぐにテレワークを始められるデルの製品パッケージ「”テレワーク・デイ”パッケージ」を紹介します。

※このインタビューは、取材対象者と関係者の接触を考慮し、Web会議システムを利用して行いました。

株式会社テレワークマネジメント シニア・テレワークコンサルタント
総務省テレワークマネージャー
鵜澤 純子氏

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旅行業界での正社員勤務を経て2000年、出産を機に在宅ワークをはじめ、株式会社ワイズスタッフに入社。10年間にわたりインターネットを利用したネットオフィスを利用して勤務したのち、現在は株式会社テレワークマネジメントで管理職を務めながら週5日の完全テレワークを実践している。2016年から、総務省よりテレワークマネージャーの委嘱を受け、全国の企業へ派遣される傍ら、講演活動なども行っている。

株式会社テレワークマネジメント

がらりと変わったテレワークへの意識

―本日はよろしくお願いします。はじめに、テレワーク制度の導入は、働き方改革の観点からもすでに浸透してきていた印象があるのですが、いまのこの状況下において、世の中の意識に変わったところはあったのでしょうか?

鵜澤氏:よろしくお願いします。はい。テレワークに対する意識は、いまとそれまでとは、まるで様相が変わっています。

もともと2020年に行われる予定だった国際的なスポーツイベントに向けて首都圏の企業を中心にテレワークの準備が進められていたり、ワークライフバランスの観点から、育児や介護の必要がある方にテレワークの制度を導入していたり、人材確保の観点から地方に住む人材をテレワークで採用したり、といった動きはありました。しかし、テレワークの実施は大企業を中心とした部分的なものに留まっていました。

しかし、いま企業の皆さんに求められるテレワークは「社員の身を守るため」のもので、BCP(事業継続計画)の観点が非常に色濃くなってきています。IT環境だ、人事評価だ、労務管理だという部分で十分な準備ができていないとしても、とにかく”実行せねばならない”ものになり、経営者の意識もこの方向にシフトしています。

テレワークの実施に向けて"いま"できること

―総務省のテレワークマネージャー紹介のなかで「できることからまずはやってみよう!」というメッセージを発信されていますが、具体的にどういったことがあげられるのでしょうか?ITの面、また個々人がテレワークで在宅勤務をする際のマインドや、企業側が明確化すべきルールの観点から教えてください。

鵜澤氏:テレワーク、在宅勤務というと1週間まったく会社に全く来ない働き方を想像して、「自分には無理」と考える方が多くいらっしゃいます。

でも本当は月に1日だけ、あるいは週に1回、半日だけ程度でも会社の外で仕事ができれば、それは立派にテレワークです。

月に1日分程度なら、私物のPCでできる仕事はありませんか?テレワークはそこからのスタートで良いんです。

IT機器についても、社員の私物を一部活用しながら安全に仕事ができる方法を取りましょう。そのうえで私物も使いつつ、それこそ”できるところから”徐々に貸与PCの調達と利用環境を整えていく。これなら、企業の負担も少ないでしょう。最初から無理にすべてを揃えようとするのではなく、まずはできる範囲でやってみることが大切です。小さな一歩は必ず大きな飛躍につながります。

―ではマインド面についてはどうでしょうか?

鵜澤氏:何よりもコミュニケーションをしっかり取ることを大切にしてください。出社する働き方が基本だったときは「テレワークは、会社では集中してできない作業を一人で黙々と実施する日」と考えられていました。ほとんどの人は普段会社にいるので、テレワーカーとコミュニケーションが取れなくても、チーム業務の遂行に影響はありませんでした。

でもBCP対策のテレワークではほとんどの社員が在宅でバラバラに働くことになるので、いままでのようなやり方では、個人が集中して行うべき作業以外が止まってしまいます。

なので、いま必要とされているBCP対策のテレワークには「テレワークだからこそコミュニケーションを取り合おう」という考え方が大事で、マインドチェンジが必要だと思っています。普段、会社では文字だけでなく音声で会話しているわけですから、音声でコミュニケーションをとれる環境をしっかり用意しなくてはなりません。

あと、自宅で仕事するという点では、家族ともしっかりコミュニケーションを取って、オン/オフの切り替えを明確にすることも大切になってきます。

―そのほか、ルールについてはいかがでしょうか?

鵜澤氏:会社から社員に向けては、情報セキュリティの観点から、業務情報を自分のPCのローカルに置かないで決められたサーバーやクラウドに格納する、紙から情報が漏れることがないよう印刷は行わない、といったルールづくりは最低限必要だと思います。

個人においても、情報セキュリティを意識し、家族にPCの画面を後ろからのぞかれない、あるいは仕事の会話を聞かれないような仕事に適した場所を決めておくことが賢明です。

学校が休校になっている現状では、家事や育児など必要に応じて席をはずさなければいけない場面も出てくるかもしれません。その場合は、黙ってこっそり抜けるのではなく、同僚にはっきりと伝えるようにしましょう。在宅勤務だからこそ、オン/オフをあいまいにせず、メリハリをつける工夫をしていただきたいと思います。

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    取材時の様子:鵜澤氏も自宅で会議や打合せを行う際は、背後や周囲に気を配った場所を決めているという

在宅勤務ですると良いこと、しない方が良いこと

―続いてはテレワークで在宅勤務をするとき、すると良いこと、逆にしてはいけないことを教えてください。

鵜澤氏:すると良いことの一番にあげられるのは、働いていることの「見える化」です。テレワークではお互いが何をやっているのか目視ではわかりません。自分がなにをしているか、どんな仕事に取り組んでいるかをデジタルで可視化させることをお勧めしています。たとえば、チームのカレンダーに自分の作業予定などを書き込んだり、チャットやメールで業務予定を書き出したりでも良いと思います。

ほかには、導入済のITツールの活用も進めていけると良いですね。私が訪問した企業の例で、せっかくOffice 365を導入しているのにメールしか使っていない、なんて残念なケースもあります。使ってみようと思っても「マニュアルの場所すら誰も知らない……」ということもよくある例です。

テレワークの導入は、こうした社内にあるツールを活用し始めるきっかけとしても有効に作用します。この機会にぜひ、今あるIT環境をもう一度見直していただきたいですね。

―では、してはいけないことには、どんなことがあげられますか?

鵜澤氏:さきほどの情報の置き場所や紙の資料に関することですが、情報に関する管理ルールを定めずテレワークを開始することは避けていただきたいです。

もちろん、いまは状況が状況ですし、看過しなければいけない部分も現実的にはあるでしょう。紙の書類が必要なら、一旦書類を持ち帰っても良いと思っています。でも、その代わり持ち帰りの許諾や、持ち帰った書類をどうやって扱うかなど、ルールをしっかり決めること。

そして、最初は必要に応じた急遽の対応をしたとしても、情シスや総務が連携してその実態を把握し、レビューして振り返り、課題解決の方法を探っていくことを忘れてはいけません。

テレワークが秘めている働き方改革の可能性

―一般的にテレワークの導入が難しいとされる生産・製造、接客・販売業といった場所に縛られる業種では、やはりテレワークを実現することは難しいのでしょうか?

鵜澤氏:いえ、そんなことはありません。私が初期に手掛けた事例の1つに幼稚園のテレワークがあります。といっても遠隔で子供の相手をするということではありません。保育記録をつけたりお手紙を書いたりというPCでする業務を、先生の家でもできるようにしましょう、というかたちをとったのです。

園児さんが14、15時に帰ったあと2~3時間園に残ってPC作業をやるよりは、すぐにお家に帰って夕飯の支度をし、家族でご飯を食べる。そして19時から2時間だけ自宅で 残しておいた仕事をPCでする。こうすることで家事に集中したい夕方にお家での時間を確保することができるようになり、先生のワークライフバランスが向上して退職者が減りました。

―なるほど。テレワークでもできる業務を見つけることが大事なんですね?

鵜澤氏:その通りです。ほかの「場所に縛られる業種」の方でも、数時間だけならPCで行う作業もあるのではないでしょうか。その仕事を仕事場以外でもできるようにすることでテレワークは実現できます。まずは一部だけでも、できることを探してやってみてください。

―幼稚園の事例以外にも教えていただける事例はありますか?

鵜澤氏:ある小売店では、オンライン接客に取り組もうとしています。スタッフ全員が店舗からいなくなることは無理だとしても、インターネットでつないだモニターを用意して在宅の社員とダブルで接客を行うという方法にチャレンジする予定です。

これができれば、「地方に住んでいるけど、銀座店の接客ができる」ということになり、販売職のテレワークの可能性も広がると思います。

今回の事情によりテレワークの経験をした人が増えたことで、いまの状況が落ち着いたあとでも、「会社に行かなくても仕事はできる」という意識が浸透していくのではないでしょうか。そうなると、「オフィスに必ずしも1人1席が用意されていなくても良いんじゃないか?」といった考えも生まれるでしょうし、オフィスの意味や会社に行くことの意味も変わってくるかもしれません。

テレワーク導入に尽力している情シスへのメッセージ

―ここまでお話いただいたように、テレワークは限られた人にとっての働き方ではなく、企業全体の取り組みへと変化し、労働環境をも大きく変えようとしていると思います。最後に、この環境の整備を先導する情シスをはじめとする企業のIT担当者に向けてメッセージをお願いします。

鵜澤氏:企業でITを担当している方は、これまでもテレワーク制度の導入検討をされてきたと思います。しかしこのような事態になった今、「導入できるかどうかの検討」ではなく「どう進めていくかの検討」が必要です。とにかく今あるもの、できることを見つけて「こうあるべし」より「こうできる」という柔軟な発想で、テレワークを推進していただけたらと思います。

ピンチはチャンスです。まずは勇気をもっていろいろな挑戦をしてみる。そして挑戦した後は、それを振り返ることを怠らず、常に課題を明確にしていくことで進むべき道が見えてくると思います。

―ありがとうございました。


デルが提案する"テレワーク・デイ"パッケージ

デルの中堅企業IT投資動向調査2020によると、働き方改革の具体的な取り組みとして、テレワーク・在宅勤務の導入を挙げる中堅企業は25.1%であり、実はテレワークの導入が進んでいないケースが多い状況です。

そのうえで、今回のような状況下にあっても、働き方の柔軟性を高めるため、モバイルデバイス、ソフトウェアを利用した、いつでもどこでも仕事が出来る環境を整備することが不可欠です。

Dell Technologiesは、働き方改革を推進する企業様を応援し、テレワーク環境を構築するための製品、サービスを特別価格にてご提供いたします。

第8世代 インテル® Core™ i3-8145U プロセッサーを搭載したLatitude 3301を含む「エントリー テレワークパッケージ」、第8世代 インテル® Core™ i5-8265U プロセッサー を搭載したLatitude 5300を含む「スタンダード テレワークパッケージ」、第9世代® Core i5-9300H プロセッサーを搭載したPrecision 3541を含む「エンジニア テレワークパッケージ」という価格別に3つのパッケージがあり、それぞれに一括購入プランとDFS(Dell Financial Services)でのレンタルプランが用意されています。

ビジネスユース向けに開発された様々な先進テクノロジーが採用されたIntel vPro® プラットフォームは、PCのログインをハードウエアベースで多要素化できたり、バッテリーの消費が抑えられていたりとテレワークで利用するのにうってつけの機能を有します。

  • 2004_デル_鵜澤 純子氏 インタビュー_003

    "テレワーク・デイ"パッケージの一覧

また追加オプションとして「モニター」の追加、キッティングや自宅を含む訪問設置を行う導入サポート「Client Deploy service」、専用窓口で優先アクセスできる保守サポート「Pro support Plus」、PC紛失対策「Absolute」、次世代アンチウィルス+EDR「Carbon Black Endpoint Standard」、デジタルワークスペース「Workspace ONE」などを選ぶことができます。

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    "テレワーク・デイ"パッケージのオプション一覧

今回インタビューをお請けいただいた鵜澤氏にも、この「“テレワーク・デイ“パッケージ」を紹介したところ、全パッケージにヘッドセットが含まれている点を「目の付け所が良い」と評価します。

「『コミュニケーションを中心に置いたパッケージ』という印象を持ちました。テレワーク時も出社していた時と同様に円滑に仕事を進めるには、テキストだけでなく音声コミュニケーションが快適にできる環境が必要です。しかし、PCの内蔵マイクでは雑音が入りやすく、生活音も拾ってしまうことから周囲のご家族にも影響が少なくありません。ヘッドセットがあれば問題は解決されるのですが、こういった周辺機器は後回しにされやすく、大体買い足されることはありません。ヘッドセットの必要性は、実際にテレワークをやってみないとわかりづらい部分ではありますが、そこが予め配慮されている点に好感が持てます」(鵜澤氏)

"テレワーク・デイ"パッケージの詳細はこちら

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第9世代インテル® Core™ vPro® プロセッサー・ファミリー搭載PCにアップグレードして、Windows 10への移行を最適化

 Windows 10への移行時に、第9世代インテル® Core™ vPro® プロセッサー・ファミリー搭載PCにアップグレードすれば、生産性もセキュリティも手に入れることができます。

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