ゲーミングPCを選ぶ場合、「遊びたいゲームが快適に動くのか」が重要だ。しかしそれなら単純に、どんなゲームでも大丈夫な最上位モデルを選べば間違いはないが、多くの方はコストパフォーマンスも重視しているだろう。

そこで、最も大切になるのが、「グラフィックスカード」の選び方だ。グラフィックカードには3Dの処理を専門に行うGPUと呼ばれるチップが搭載されている。非ゲーム用PCならCPUにGPUが統合されていることもあるが、ゲームの重い処理をこなすためにはこのカードが必須だ。言ってしまえば、「グラフィックスカード」を搭載していること、それがゲーミングPCの鉄則といえる。

そこで今回は、目的のゲームを快適に楽しむために“ちょうどいいPC”を選ぶ指標として、マウスコンピューターの「G-Tune」ブランドから、異なるグラフィックスカード(RTX 2080/2070/2060 SUPER)を搭載したゲーミングPCの3機種を用意。これらを比較し、スペックごとの性能をみてみよう。

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GPUは基本的に毎年、新しいものが登場する。今年の夏も、NVIDIAのGeForce RTXシリーズがリニューアルされ、GeForce RTX 2080/2070/2060にそれぞれ「SUPER」版の新モデルが投入された。基本的には無印版からのアップグレード(RTX 2070 SUPERのみコアがTU106から上位のTU104に変わった)で、パフォーマンスが向上している。

今回比較検証したゲーミングPCは、「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」299,800円(税別)、「NEXTGEAR i690GA5」219,800円(税別)、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」169,800円(税別)。

  • 左から「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」、「NEXTGEAR i690GA5」、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」

G-TuneのPCでもそれぞれ異なるシリーズから選んでみた。「MASTERPIECE」「NEXTGEAR」「NEXTGEAR-MICRO」は、G-Tuneの代表的なシリーズで、MASTERPIECEはフラグシップ、NEXTGEARは定番のスタンダード、NEXTGEAR-MICROは少しコンパクトなMicroATXモデルに付けられるシリーズ名だ。それではこの3モデルを例に解説していこう。

G-Tuneの3機種の詳細ついては、後ほど紹介するが、主なスペックは下記となっている。

「3DMark」で見るG-Tune 3機種のグラフィックス性能差

それでは早速、検証結果を紹介していこう。まずは、Futuremarkの定番3Dベンチマーク「3DMark」のスコア比較だ。

  • 「3DMark」DirectX 11の結果

    「3DMark」DirectX 11の結果

最初に、DirectXとしては1つ古いバージョンのDirectX 11を用いたテスト。Sky Diverと各Fire Strikeのスコアだ。それぞれのテスト名の横に解像度を記載しているが、Fire Strikeについては無印>Extreme>Ultraの順で解像度が高くなる。Sky Diverは比較的軽量なDirectX 11ゲームを想定している。

もちろんスコアは高いほどいい。ただ、現行GPUでいえば、Fire Strikeで2万ポイント台に乗るとハイエンドGPUという印象がある。DirectX 11テストで見ると、3つの製品はGeForce RTX 2080 SUPERを搭載する「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」を筆頭にほぼ等間隔で下がっていく。「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」のスコアを100%とした比率で平均化すると、「NEXTGEAR i690GA5」が90%、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」が80%と、ちょうど10%間隔だった。

  • 「3DMark」DirectX 12の結果

    「3DMark」DirectX 12の結果

次はDirectX 12を用いたテストをまとめた。Night RaidとTime Spyのスコアだ。Night Raidは軽量なDirectX 12テスト。一方、Time SpyはGPU負荷の高いDirectX 12テストで、解像度もやや高めだ。Time Spyには解像度の異なる2つのテストがあり、Time Spy Extremeのほうが高解像度である。

グラフ上ではNight Raidテストで「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」の落ち込みが大きく見えるが、これはテストの負荷自体が軽いゆえに「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」のスコアが天井に張り付いたためだ。性能差が素直に出たTime Spyの2種のテストで平均すれば、「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」のスコアを100%とすると、「NEXTGEAR i690GA5」が89%、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」が78%と、こちらもちょうど11%間隔で差が出るという結果だった。

このように、GeForce RTX SUPERを搭載する3製品は、「MASTERPIECE i1640PA3-SMM」をトップに、「NEXTGEAR i690GA5」は10%ほど低く、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」は20%ほど低い性能であると「3DMark」の結果は示している。ただ、「NEXTGEAR-MICRO im610SA5-SMM」のスコアは決して低いものではなく、殆どのゲームが快適に遊べるアッパーミドル級であることは間違いない。

  • 「3DMark」Port Royalの結果

    「3DMark」Port Royalの結果

GeForce RTX世代で追加された「リアルタイムレイトレーシング」のテストとして、Port Royalのスコアも見てみよう。リアルタイムレイトレーシングはGPUにとってかなり負荷の高い処理だ。こちらも基本的に先と同様、GPUの違いがキレイに性能差となって出てきている。