では、m-Book K700SN-M2SH2の性能をさまざまなベンチマークでチェックしていこう。

まずはCPUパフォーマンスを「CINEBENCH R20」で検証する。6コア12スレッドのCPUを搭載しているのでマルチスレッド性能が武器になっているが、普段使いするうえではシングルスレッド性能も重要だ。

  • 「CINEBENCH R20」のスコア

    「CINEBENCH R20」のスコア

今回特に比較対象とするPCは用意していないので、ざっくりとした比較は「CINEBENCH R20」にビルトインされている既知のCPUのスコアを参考にしたい。これによると、ほぼCore i7-7700K、2年前のデスクトップ向けハイエンドCPUとほぼ同格のパフォーマンスを出せている。今人気の第3世代Ryzenの6コアモデルだと、マルチスレッドが3600ポイント台であるため、最新デスクトップCPUの馬力にはやや負けるといったところだろう。

  • 「CINEBENCH R20」のシングルスレッドスコアの比較(あくまで参考程度に)

    「CINEBENCH R20」のシングルスレッドスコアの比較(あくまで参考程度に)

こちらは、シングルスレッドのスコアをビルトインされている結果と比較したものだ。ここでもCore i7-7700Kと同程度であることが示されている。第3世代のRyzenだと、480~500ポイントをやや超える程度のスコアが出るテストだが、本機のシングルスレッド性能(450ポイント)は、かなりいい所につけている。マルチスレッドのスコアが伸びないのは、ノートPCゆえに電力消費や発熱量制限がかかっているためと推察できる(この点については後ほど検証する)。

続いて内蔵ストレージの読み書き性能を「CrystalDiskMark」でチェックする。搭載されているSSDはNVMe接続なのでSATAよりもずっと高速だが、PCI-Express Gen3 x2の接続であるため、1700MB/secあたりで頭打ちになることが予想される(Gen3 x4だとその倍の3400MB/secあたりが一般的)。

  • 「CrystalDiskMark」による読み書き性能。左が内蔵SSD、右が内蔵HDD
  • 「CrystalDiskMark」による読み書き性能。左が内蔵SSD、右が内蔵HDD
  • 「CrystalDiskMark」による読み書き性能。左が内蔵SSD、右が内蔵HDD

予想通りSSDの読み書き性能は最大1700MB/sec台となった。とはいえSATA SSDの限界値(おおよそ550MB/sec前後)よりずっと高速であり、ランダムリード・ライト性能もHDDに比べると格段に速い。数値的には今市販されているQLC NANDを利用したNVMe SSD(Intel 660pなど)より若干遅い程度だ。

続いてはグラフィックス性能を「3DMark」で見てみよう。MX250なので重いテスト(Fire Strike Ultraなど)を動かしてもスコアが出ないので、今回はNight Raid、Fire Strike、Time Spyの3つを使う。

  • 「3DMark」のスコア

    「3DMark」のスコア

MX250のパフォーマンスとしては、妥当なスコアが出ている。最新のデスクトップ向けGPUと単純に比較すると、スコアの低さが際立ってしまうだろう。だがゲーミング性能は極めてエントリー向け、つまり描画負荷の軽いゲームで画質を抑えて遊ぶためのもの、と考えれば価格なりといえる。

続いてはPCの総合性能を判断する「PCMark 10」。今回はゲーミング性能は計測しないStandardテストを実施した。

  • 「PCMark 10」Standardテストのスコア

    「PCMark 10」Standardテストのスコア

全体の傾向としては、軽い負荷のEssentialsテストではデスクトップPCに近い結果が出るが、ビデオ編集やCG系の処理が入るDigital Contents Creationテストではやや伸び悩む。だがここでは、下に出ているCPUクロックの推移グラフにも注目したい。テストの7割程度は非常に軽い負荷であり、CPUがアイドルになることもしばしば見られるのだが、テスト終盤に入るまで(グラフの横軸でいうと左端~18:20まで)は、CPUのクロックは高いときで4.1~4.2GHzで動作している(11:40あたりがわかりやすい)。

ただ終了直前のCG系処理(21:40あたり)では、CPUがほぼフル稼働となるが、CPUのクロックは3GHz近辺まで下がるのが観測される。「CINEBENCH R20」のところでも述べた通り、モバイル向けCPUゆえに熱や電力制限がトリガーになってクロックが落ちているようだ。とはいえ、それ以外の部分ではほぼアイドル(800MHzあたり)とフルスピードを行ったり来たりしているので、軽めの処理をさせる分にはフルパワーで動き回れる。

写真&動画編集にも使える

もう少し実アプリでの挙動も見てみよう。まずはRAW現像を「Lightroom Classic CC」で試す。レンズ補正や露出などの簡単な補正を施したRAW画像200枚(6,000×4,000ドット、NEF形式)を、最高画質のJPEGに書き出す時間を計測した。書き出し時にシャープネスを追加しない場合と、シャープネスを追加した場合(よりCPU負荷が高まる)の時間も比較している。

  • 「Lightroom Classic CC」を使ったRAW→JPEG変換時間

    「Lightroom Classic CC」を使ったRAW→JPEG変換時間

CPU負荷が激しく上下する処理ではあるが、どちらの条件でも6分以内で処理を終えている。本機のスペック(CPUが強力、GPUはエントリー向け)を考えると、RAW現像のような処理で良好なパフォーマンスを発揮できるといえる。

続いては、もっとヘビーな「Premiere Pro CC」のエンコード処理時間を比較しよう。再生時間約3分半のプロジェクトを、H.264およびH.265のMP4形式に書き出す時間を計測した。どちらもVBR1パス、ビットレートは平均20Mbpsという設定にしている。

  • 「Premiere Pro CC」による4K MP4書き出し時間

    「Premiere Pro CC」による4K MP4書き出し時間

一般的な製品をベースにすると、本機のほうがやや速いという結果になった(バージョンの微妙な違いなどもあるので、あくまで参考程度に……)。計算負荷が高いためクロックが落ちやすいが、それでもここまでスピードが出るのは、Adobe系アプリとインテル製CPUのかみ合わせがいいということだろう。