データ仮想化技術によってデータ保護とコピーデータマネジメントのサービスを提供するアクティフィオ。2009年に米国ボストンで創業した同社は2019年7月に創業10周年を迎えた。前回の記事では、昨年からのデータ活用の変化について紹介したが、2回目となる本稿では、10周年という節目にあたる2018年から2019年に掛けて、アクティフィオはどのような実績を積み上げ、そして今後はどのような未来を見据えているのか、アクティフィオジャパン株式会社 代表社長 勝俣 正起氏に話をうかがった。

アクティフィオの導入で成長する企業が増加

アクティフィオを導入する企業は順調に増えており、この1年間でも「グローバルで600社、日本国内で50社」の企業が新たにアクティフィオを導入したとのことだ。

「アクティフィオのユーザーはリピーターが多く全体の約7割を占めます。これはアクティフィオが持つ大きな特徴だと考えています」(勝俣氏)

  • アクティフィオジャパン株式会社 代表社長 勝俣 正起氏

    アクティフィオジャパン株式会社 代表社長 勝俣 正起氏

アクティフィオのライセンスは、コピーされるマスターデータのサイズに応じた価格となっている。コピーされたデータをマルチクラウドにリプリケーションしても、仮想データを複数作成してもライセンスには関係しない。つまり、リピーターとなったユーザーは、アクティフィオの利用範囲が広がりマスターデータのサイズが増加したため、その分を追加したことになる。

利益を生まないものであれば、利用範囲が広がることもなければマスターデータのサイズが増加することもない。つまりリピーターの割合が多いということは、アクティフィオを導入して気に入り、活用することで多くの企業が成長し利益を伸ばしていることを示していると言っても過言ではないだろう。

パートナーとの関係強化によって広がるアクティフィオの活用範囲

アクティフィオの日本法人であるアクティフィオジャパンでは、現在8社と一次パートナー契約を結び、日本国内における市場拡大を図っている。市場拡大を狙うためにはパートナーの数を増やすというのが一般的な考え方だが、「現時点では、パートナーさんの数を増やそうとは、あまり考えていません」と勝俣氏は語る。

「私たちとしては、数を増やすのではなく、一社一社のパートナーさんとの関係性をより深めていきたいと考えています。アクティフィオを、単なるバックアップツールにとどまらず、データ活用の様々な場面で利用される総合ツールとして提供していきたい。そのためには、お客様が抱える課題のより深い部分についても考えていかなければなりません。現段階ではパートナーさんの数を増やすよりも、深い部分を共に考えてくれるパートナーさんとの絆を深めていくタイミングだと考えています」(勝俣氏)

実際、この1年の間にも、パートナー企業とともに顧客の課題解決に取り組むことで、さまざまなソリューションが生まれているという。

アクティフィオの最新導入事例

先ほども述べたように、アクティフィオのお客様事例は続々と増えている。たとえばサントリーグループの IT サービス企業であるサントリーシステムテクノロジー株式会社はその一つだ。同社では、社内バックアップ基盤を全面刷新する際に、国内2ヶ所にあるデータセンターにアクティフィオを導入。これまで約7時間掛かっていたリストア作業が約30分に短縮されるなど、バックアップ基盤の性能が大幅に向上した。また、アクティフィオのクラウド連携機能を利用して、AWSを用いた災害対策も実現している。

また、東北電力株式会社もアクティフィオを導入することで、業務効率を大幅に改善している。同社では、2020年の送配電部門の法的分離に向け、事業体制の再編に取り組んでおり、ビジネスの中核を支える基幹システムのオープン化を進めている。その際、数多くのシステム開発が同時に進められている状態だったため、各開発チームに対して速やかにテスト環境を提供する必要があった。そこで同社では、アクティフィオを新たに導入し、本番とほぼ同じデータ環境を、各開発チームに対して迅速に提供。テスト環境の提供時間を1/4に短縮を実現したのだ。

上記2つの事例についてさらに詳しく知りたい場合は、以下のPDFを参考にしてほしい。

●サントリーシステムテクノロジー株式会社導入事例の詳細はこちら

●東北電力株式会社導入事例の詳細はこちら

アクティフィオが目指すデータ活用の未来

バックアップツールの枠を超え、多岐にわたるデータの活用が進むアクティフィオ。だが勝俣氏は「まだまだ活用の領域は広がるはず」と力強く断言する。

「例えば、AIなどの自動化ツールや分析ソフトと連携したり、新しいサーバーストレージの仕組みが加わったりすれば、今まで以上の使い方が見つかるはずです。2020年には5Gがサービス開始となります。5Gならではの使い方が見つかれば、また新しい領域にも広がっていきます」(勝俣氏)

勝俣氏によると、アクティフィオが到達できる領域のまだ20%程度しか達成できていないと考えているという。

「アクティフィオは、それだけ大きな可能性を秘めているのです。データドリブンを実現するための旅路は、果てしなく続きます。私たちだけでは、その領域には到達できないかもしれません。私たちが気づかなかったアクティフィオの可能性を、パートナーの方々が見つけてくれることもあるかもしれません。ですから、パートナーの方々との絆を深め、データドリブンを実現するための旅路、データドリブンジャーニーをともに歩んでいきたいと考えています。9月8日に開催する”Actifio Data Driven 2019東京”は、私たちが考えるデータドリブンジャーニー構想の一環をご覧いただけるものです。多くの方々のお越しをお待ちしています」(勝俣氏)

【パートナー紹介】アクティフィオで柔軟かつ低コストなバックアップ環境を提供「Lenovo」

Lenovoは、従来の複雑な仮想化環境をシンプルにし、クラウドライクな運用管理を実現するハイパーコンバージド・ソリューション 「ThinkAgileシリーズ」を提供している。同社では、ハイパーコンバージド製品との親和性が高いアクティフィオのソリューションとThinkAgileシリーズを組み合わせ「運用管理の簡素化とデータ管理の簡素化の実現」を支援している。

アクティフィオ製品の導入事例として「複雑化したプライベートクラウド環境におけるバックアップのシンプル化と、災害時に迅速かつ確実に復旧できる災害対策」を実現したケースがある。

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 技術営業本部 本部長 廣川 直哉氏

レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社 技術営業本部 本部長 廣川 直哉氏

導入企業が「アクティフィオによるバックアップとBCP環境の更新」を決めた理由は2つあるという。1つは、以前よりActifio CDS(物理アプライアンス)を使用しており、運用実績があったことだ。なお導入企業においては、バックアップ環境の更改にあたり仮想アプライアンスである「Actifio Sky」を選定している。

2つ目は、Actifio SkyをLenovoの「ThinkSystemサーバー」および「ThinkSystem DE4000Hストレージ」と組み合わせて利用すると、導入企業の環境に適した柔軟な構成と低コストを両立できる点だ。

なお、8月上旬の時点で、Private Cloud基盤(本番サイト、災対サイト)において新しいバックアップとBCP環境を構築中とのこと。「Actifio Data Driven 2019」が開催される頃には新環境が稼働している予定である。

新環境への完全な移行は年内に終了する予定になっており、その後は海外のクラウド環境向けサービス化、拠点に残るシステム(オンプレミス)のBCP環境も新たなサービス化を視野に入れている。アクティフィオとのパートナーシップを武器に、これからも顧客の成長を後押ししていくという。

【パートナー紹介】新たなデータ集約基盤ソリューションを提供「富士通」

今後のエンタープライズ企業やサービスプロバイダーから求められるデータ利活用へのニーズを見据え、富士通がアクティフィオ製品の販売を開始したのは、2018年3月のことだ。顧客のITインフラの機能強化に貢献し、より多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するために、Actifio Skyと富士通の製品、およびこれまでに培ったシステム開発・運用のノウハウを組み合わせることで、新たなデータ集約基盤ソリューションの提供を行なっている。

今年5月に開催された「富士通フォーラム 2019 東京」にアクティフィオは参加し、「ActifioとAnsibleによるDevOps成功事例」と題してビジネスセッションを実施した。セッションでは、富士通とアクティフィオが提供するアプリケーション開発やテスト環境のデータ集約基盤により、環境構築時間を1/4に短縮することが可能となり、お客様のビジネススピードと競争力を向上する事例を紹介した。

富士通株式会社 プラットフォームソフトウエア事業本部 プラットフォームソフトウエア事業部 事業部長 田中 卓氏

富士通株式会社 プラットフォームソフトウエア事業本部 プラットフォームソフトウエア事業部 事業部長 田中 卓氏

その様子を、富士通株式会社 プラットフォームソフトウエア事業本部 プラットフォームソフトウエア事業部 事業部長 田中 卓氏は、以下の様に説明する。

「想定を上回る多くの方に来場いただき、市場におけるモーメンタムを感じました。Actifioは独自のデータ仮想化技術で本番と同等のデータを複数の環境で利用し、並行開発を行える点が新しいと考えます。自社のサービスをより早く提供したいお客様での採用が増えていますが、一方で新しいテクノロジーへの不安を感じるお客様も少なくありません。富士通では、導入事例をベースにアセスメントからアフターサポートまでをご支援できますので、安心して導入いただけると思います」(田中氏)

オンプレミスだけでなく、柔軟にリソースを拡張できるパブリッククラウドを基盤としたソリューションも提供している。 数多くのお客様システムのクラウド導入実績のある富士通で、たとえばテスト環境からスモールスタートして 順次範囲を拡大していくことも可能だ。

富士通はこれからも、Time to Marketを実現するデータ集約基盤ソリューションで顧客を支援していくとのことだ。

【パートナー紹介】仮想コピー技術によるストレージ容量の最適化「日立製作所」

日立製作所も、アクティフィオとの協業を推進している企業の一つだ。バックアップアプライアンスの枠を超え、データ利活用やクラウド連携といった多様な機能をサポートしていることに加え、ネイティブ対応のアプリケーションも競合他社より多いことや、自社のVSPストレージにおけるShadow Image(SI)と呼ばれるストレージベースのコピー機能と連携したバックアップに代表される高い親和性など、さまざまなメリットを享受できるからだ。

アクティフィオ製品の導入事例としては、「より柔軟かつスピーディーなデータ活用」を実現したものがある。導入企業が抱えていた課題感としては以下のようなものがあった。

株式会社日立製作所 プロダクツサービス&ソリューション本部 クラウド&プロダクツサービス部 主任技師 加藤 廣一郎氏

株式会社日立製作所 プロダクツサービス&ソリューション本部 クラウド&プロダクツサービス部 主任技師 加藤 廣一郎氏

1つは、本番データベースからのテストデータを転用する際、今までは手動によるマスキングを実施した上で、開発サイトにフルコピーを展開、最終的に開発者が手動でマウントを実施するなど、作業手順が多いというもの。

もう1つは、開発環境のストレージ容量などリソースが常に逼迫しており、本番コピーを取得する際には都度調整の上、データを退避するといった対応が必要であり、運用工数の最適化が難しいというものだ。

アクティフィオであれば、仮想コピー技術によりストレージ容量の最適化が可能だ。また、それに加えてアプリケーションと連携したマウント、ユーザースクリプト連携による自動マスキングといった機能もあるため、これらを活用することで上記課題ができると判断したとのこと。

アクティフィオ導入によるコスト低減の効果は今まさに試算中ではあるものの、データベース単位の利活用のみならず、基本となるバックアップやDRはもちろん、災対訓練機能やクラウド移行など、さらにアクティフィオを様々なカタチで活用していくことも検討しているという。

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データ仮想化がもたらす、 新たな潮流

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