【志尊淳を語る】世間が彼の魅力に気づいた瞬間

ここ最近の志尊淳が悩ましい。ほんの数年前までは、戦隊モノ出身のイケメン俳優だった。それが『女子的生活』(NHK総合・2018年)に主演したあたりから、世間が彼の魅力に気づき始めたのだ。

「あれ? 志尊くんって顔も可愛いし、演技も上手くない? 」
「女の子を演じたら、私たちよりきれいじゃん……女子力半端ない」

と、男女が彼の魅力に対してざわつき始めた同時期に、朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合・2018年)に出演。志尊淳の人気が日本全国に知れ渡ることになった。しかし彼の底知れない魅力はそれだけではない。

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その一部を志尊クラスタとして、紹介していこうではないか。

彼について知るうえで外したくない3作品がある。 まずは映画『帝一の國』(2017年)だ。漫画家・古屋兎丸の同名コミックを原作として実写化。出演陣には菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、千葉雄大といった、次世代を担う若手豪華スターが作品に集結し、注目を集めた作品である。

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『帝一の國』
監督：永井聡　脚本：いずみ吉紘　原作：古屋兎丸
出演：菅田将暉／野村周平／竹内涼真／間宮祥太朗／志尊淳／千葉雄大／永野芽郁／吉田鋼太郎
みどころ：エリート高校を舞台に、生徒会長をめぐる熾烈な政治闘争を繰り広げる高校生活を描く。

本作の魅力にひとつには「実写化」という言葉に負けない忠実な再現性があげられる。俳優陣の演技力が映える、ギャグ・コメディー映画だ。

「いつか総理大臣になって、自分の国を作る! 」という主人公・赤場帝一（菅田将暉）の野望に沿った、痛快なストーリーが話題を呼んだ学園モノ。志尊くんはこの作品で榊原光明という、帝一の親友役を演じた。サラサラストレートのマッシュルームヘアと、ぶりっ子仕草が眩しく、登場人物内でも可愛いキャラに位置していた。

　　語尾に

　　「ニャン♡」

　　とつけて話すのを許される男子は、
　　この世にそう多くない。

女子の先輩にこねくり回されそうな、タレ目の可愛いビジュアルが映画の再現度を格段に高めていたことは間違いない。

しかしそれだけではない。
『帝一の國』の何が素晴らしいかというと「可愛いだけではない」志尊淳がみられることにある、と筆者は思っている。

映画のワンシーンで、豪華俳優陣達がふんどし姿で太鼓を叩く場面がある。

そのときの肉体美たるや……。

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キュートなキャラクターを演じる志尊くんから、不意に見える男らしさ。
ときめき不可避である。今思うと、榊原光明役は彼の豊かな表現力が知られていくまでの布石だったのかもしれない。

そして、彼の出世作になったドラマ『女子的生活』。
ここで魅力はツボミから五分咲きへと開いていく。

彼が演じた小川みきの性別は男性。しかし見た目は女性でありながら、好きになるのも女性。いわゆるトランスジェンダーだ。2018年は『おっさんずラブ』（テレビ朝日系）を始め、LGBTドラマの豊作年だった。

その舵を切ったのが、この作品であったと筆者は思う。

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『女子的生活』

脚本：坂口理子
(C)ＮＨＫ　原作：坂木司『女子的生活』（新潮文庫刊）
出演：志尊淳／町田啓太／玉井詩織／玄理／小芝風花／羽場裕一　ほか
みどころ：”かわいい女子的な生活”に憧れ、田舎から都会に出てきたヒロイン・みきは、アパレル会社で働くOL。でも、ひとつ大きな秘密があった。それは、トランスジェンダーであるということだった。

何よりも衝撃的だったのは、志尊くんの女性の姿を演じた姿。つやん、とした髪の毛に細い足。そしてぽってりとしたリップ。

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「私が好きなのはきれいで可愛い女の子なの!
　 靴のかかと踏みつぶしているような、きったねえ男なんか触りたくもない! 」

こんなセリフを飄々と吐いてしまう強気な設定の性格も含めて、小川みきという人物が彼の中に浸透していた。全4回の放送で終わってしまったことがいまだに悔やまれる。

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ビジュアルの魅力もさることながら、志尊くんの演技に驚かされているのは筆者だけではないはずだ。難しい役作りを完璧にこなし続ける彼から目を離せない。

そして次第に視聴者が“志尊淳”という一人の俳優の名前が気になっていくようになる。

続く朝ドラ『半分、青い。』で“ボクテ”を演じた志尊くん。
彼を愛でている立場としては時々方向性が心配になってくる。
彼は可愛らしい。それは紛れもない事実である。
しかし、本来は男としてのかっこ良さが光っていたはずなのに……?

そんな不安を覆す出演作品が登場した。それが一部映画館でも上演された『潤一』である。 今回筆者は地上波で放送の『潤一』にベッドシーンなどいくつかのシーンが追加された『潤一　ディレクターズカット版＜PG-12＞』を日本映画専門チャンネルにて視聴。そして本作から、志尊淳の色気が底知れないということを知ることとなった。

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『潤一　ディレクターズカット版＜PG-12＞』(全6話)
監督：北原栄治／広瀬奈々子　脚本：砂田麻美　原作：井上荒野
出演：志尊淳／藤井美菜／夏帆／江口のりこ／蒔田彩珠／伊藤万理華／原田美枝子
企画：分福/北原栄治/是枝裕和
みどころ：世界中から応募されたドラマ作品の中から、選ばれた作品のみがノミネート作品として上映されるフランス・カンヌ国際シリーズフェスティバル(「CANNESERIES＝Cannes International Series Festival」)において、日本ドラマではじめてのノミネートを果たした。是枝裕和・西川美和を中心に設立された制作者集団・分福が企画。

出産直前の女、妹の夫と関係を持つ女、死んだ夫の不貞を許せない女、処女を捨てたいと願う女。さまざまな寂しさを持つ6人の女たちの前に、突然現れる男。住んでいる場所も年齢も不明。でもどうしても心が吸引されてしまう存在、それが潤一なのである。それぞれの孤独な日常の隙間に、潤一はいつの間にか現れて、消える。彼はどこから来て、どこへ行くのか……。

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潤一は登場する女性たちと体の関係を持つ。
このシーンで、今まで見たことがなかった志尊くんの艶っぽい一面を知ることとなる。

彼は潤一を演じるうえで、「だらしない身体」を手に入れるため、体重を増やし、さらにけだるげな男を目指したという。そして新たな魅力を知らしめた。これは絶対に見るべきだ。

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志尊淳の出演作を通して魅力を探っていくと、
「中性的」「あざとい」「可愛い」という言葉が並ぶ。

確かにその言葉をそのまま再現したようなビジュアルだ。 しかし志尊クラスタの編集部としては、すでにその評価を超えたその先に、彼の存在があるような気がしてならない。

先日バラエティ番組にゲスト出演した時のことだ。実は芸能界入りする前、20社の芸能プロダクションからスカウトを受けていた志尊くん。だがその誘いはすべて断り、自ら現所属事務所のワタナベエンターテインメントに志願した。
今でこそ、若手俳優が多く揃っているが、彼が所属した当時はまだ少なかった。しかし彼はあえて自分が苦労しそうな環境に身を置いたという。実はビジュアルに反するかのように、並々ならぬ根性を備えていたということだ。

そしてミュージカル『テニスの王子様』や戦隊モノへの出演と、王道を外すことなく経験を重ねていく。そして冒頭でも伝えた人気ぶりへつながっていく。

そんな彼のことを振り返っていたら“己を知る”という言葉が浮かんできた。自分の見た目を知って、計算して、そして演じて、世間の印象を深めていく。
すべては志尊淳の思惑の中にある。彼は次にどんな演出を考えているのだろうか?

そしてその続いていく物語を一緒にたどっていきたくなるのだ。

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「あざとい」「可愛い」中性的な魅力を放出する志尊淳や、けだるげで色気溢れる志尊淳を1,090円／月［税抜］でみられるとはなんとお得なのだろうか。

様々な役を演じ、常に我々の上をいく志尊淳。『潤一』を終えた彼がこれからどんな演技を見せてくれるのか、要注目だ。

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