「ICT教育で、学びはどう進化するのか?」

リアルな教育現場の実態をリサーチすべく、前編では立命館大学を訪問しました。「キャンパス全体を学びの場にしたい―」。そんな同大学の想いを実現したのは、SHARPの電子黒板「BIG PADでした。教育現場の進化を支えるICT技術は、どのようにして生み出されたのでしょうか?

後編では、BIG PADの開発秘話と可能性について迫っていきます。

見るだけのディスプレイじゃ、おもしろくない!BIG PAD開発のきっかけ

今回お話をうかがったのは、BIG PADの開発に携わっている入佐直喜さんと粟津真さん。社歴は入佐さんが入社28年目、粟津さんが8年目と違いはありますが、お2人ともSHARPのユニークさに惹かれて入社を決めたそうです。

  • ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部 第一技術部 課長の入佐さん(左)と同部署技師の粟津さん(右)

2011年に発表された初代BIG PADを手がけた入佐さんに誕生の経緯を尋ねてみると、そこにも「SHARPらしさ」がありました。
  • 電子黒板「BIG PAD」

家庭用の大型テレビが市場に出てきた10年ほど前、より信頼性を高めた業務用のディスプレイを量産することになりました。このとき、「見るだけのディスプレイじゃ、おもしろくない」とタッチパネル式のモデルを作ったのが、現在のBIG PADの前身です

スマートフォンやタブレット端末がまだまだ普及していなかった当時、「画面をタッチする」という発想は一般的なものではありませんでした。しかし「新しいことに挑戦する」というスピリットが根付いているのがSHARP。世界で初めて大型タッチパネルの開発に取り組み始めました。

ただ、タッチパネルについては右も左もわからない状態でしたので、どのような方法が最も大型ディスプレイに向いているのか、ひとつずつ調べる必要があり大変でした。完成に至るまでの過程でさまざまな問題が起きましたが、それを助けてくれたのが会社の仲間たちです。複数のアイデアが他部門から集まって課題が短期間で解決していくと、「この会社、すごいな」と自分が勤める会社ながら驚いていました(笑)

まるで紙に書いているような書き味は、高い技術力と地道な努力の賜物!

BIG PADは2014年に2代目、2017年には3代目が発売されました。この過程において、入佐さんや粟津さんらが最もこだわったのが書き味。“書き込めるディスプレイ”として初代BIG PADは画期的なものでしたが、日常的に使い続けるユーザーから書き味についての改善要望を受けるようになったそうです。

何が書き味に影響するのか要素を分析してみたところ、筆記のなめらかさと応答速度であるとわかりました。応答速度については、いかに早く処理をするかが鍵を握りますが、タッチ処理だけでなく、映像処理にも切り込んで高速化しています。また3代目のタッチコントローラでは2mmのペン先を検出でき、小さい文字でもなめらかに筆記できるようになりました

  • 3代目BIG PADのなめらかさと応答速度が分かる動画がこちら

心地良い書き味を実現するため、表面フィルムも吟味したと粟津さん。

タッチペンとの相性も考慮しながら数あるフィルムの中から選んでいきました。難しかったのは、人によって書き味の感じ方が異なるという点。数値では表しにくい部分ですので、社内のメンバーにも何度も書いてもらい試行錯誤を重ねました

他にも、蛍光灯の光が反射しにくいフィルムを選ぶためにあらゆる角度から見て検証を重ねるなど、目や手を使った泥臭い地道な手法でBIG PADは一歩ずつ進化を遂げていったのです。

3代目は、静電容量方式タッチパネルと「ダイレクトボンディング構造※」を採用することで、視差によるタッチ位置のズレを抑え、紙に書いているような書き味を実現しました。解像度が4Kなので、小さな文字や細い線もくっきりと認識できます

  • ※液晶パネルとタッチ機能を搭載した保護ガラスの間の空気層を無くし密着させた構造

2代目から3代目にかけ、わずか3年ほどで大幅にアップデートできたのはSHARPだからこそと入佐さんと粟津さんは胸を張ります。

液晶とタッチパネルの両方を自社で開発し、BIG PADのために一体型で作り上げることでコストダウンと性能アップを両立しています。もちろんコストをつぎ込めば、性能を上げていくのは容易かもしれません。けれど、現実には制約が付きもの。コストのかかる部分を極力抑え、他で補っていく知恵の蓄積もSHARPにはあります

現在、大型電子黒板の国内市場をけん引しているSHARP。ユーザー視点に立って性能とコストパフォーマンスを愚直に追及する、開発者たちの努力の賜物でしょう。

密度の濃い学びに貢献!オフィスやショッピングモールでも活躍!

そんなBIG PADですが、前編でもご紹介したように教育現場で活躍しています。初代は1人でしか書き込めませんでしたが、2代目以降は学校からのニーズに応えて4人まで同時書き込みが可能に。プレゼン資料を共同で作成したり、生徒のタブレット端末と連携して情報をBIG PADに集約したり、密度の濃い学びに貢献しています。

また教育現場の他、大阪の水族館「海遊館」のようなレジャー施設やショッピングモールの案内表示板、アパレルショップのデジタル着せ替え用ディスプレイとしても活用されているそうです。

今後、美術館や博物館などでも利用していただきたいですね。絵画や陶器には直接触れられませんが、高精細なBIG PADなら本物を拡大しているような映像を通して、新しい見方を提供できるのではないでしょうか

BIG PADはオフィスや会議室で多く設置されていますので、すべての情報が集まるハブのような存在になってほしいです。例えば、会議に参加した人たちを顔認識することによって出欠を把握し、発言者ごとの音声を認識して自動で議事録を作成する。このような機能を追加できれば、さらなる業務効率の向上に役立つと思います

冷めることのない熱意の源泉はチャレンジングな風土

今や日本国内のみならず海外からも、その書き味を高く評価されているBIG PAD。しかし、まだまだ進化の余地はあると言います。

「人に寄り添うIoT」を掲げるSHARPとして、誰もが直感的に使いこなせるアナログさにもこだわっていきたいです

タッチしないでジェスチャーだけで遠隔操作できるインターフェースになればおもしろいですよね

冷めることのない熱意。モチベーションの源泉として2人が挙げたのがSHARPのチャレンジングな風土です。

エンジニアを大切にしてくれる会社で、何事にも挑戦できるのは大きなやりがいです。SHARPに入社してから創業者の人となりを知ったのですが、そのDNAが受け継がれている環境で働けることを光栄に思います

まだ入社8年目ですが、BIG PADの新機種開発のプロジェクトマネージャーを任せてもらえました。社内外でコミュニケーションを図る中で、自身の成長を実感しています。ひとつの製品をゼロから生み出せたときには達成感がありますし、たくさんの人たちの想いに触れている分、SHARPの製品が今まで以上に好きになりました

教育現場を変革するBIG PAD。学校のみならず、オフィスで、ショッピングモールで、美術館で、私たちの暮らしをますます快適でワクワクするものにしてくれるでしょう。


Photographer:hiroshi tokioka

[PR]提供: SHARP