「少年マガジンエッジ」7月号より『SHAMAN KING THE SUPER STAR』の連載を再開する武井宏之。休載の時間を利用して、フルデジタル作画へ移行するという話を伺い、機材の導入から漫画完成までを追いかけた。自作のペンタブレットスタンドやカスタムしたデバイスなど、こだわりが詰まった作業環境にも注目ください!

(C) 武井宏之/講談社
※本記事は季刊エス編集部からの寄稿記事となります。


 Q.デジタル作画に切り替えようと思ったきっかけは何でしたか?

休みをもらえたら切り替えたいと考えていて、そのときに液晶ペンタブレットも導入することを決めていました。漫画やイラストでパソコンを使う工程は以前からありましたが、そのときはマウスを使っていました。描くためではなく、画面を切り貼りしたり、図面を引く感覚でしたね。


デジタル作画のために準備した画材


ペンタブレット・液晶ペンタブレット
導入した機種【Wacom Cintiq Pro 24】



液晶ペンタブレットの大きさを24インチにしたのは、使っていたトレス台と近いことが決め手でした。手を動かす範囲がちょうど良い印象です。インクが垂れないので、トレス台よりも角度をつけて見やすくしました。描き心地の面では、ペンの再現度が気になりますが、アナログのときのような書き文字をデジタルでも書けると良いなとも思っています。






漫画制作ソフト・使用する画材
【CLIP STUDIO PAINT EX】



以前から使っていたソフトを継続して使います。以前は下絵とペン入れの原稿が別々でしたので、すべてデジタルで描くようになったら、下絵とペン入れが同じファイルで行えたり、レイヤーを活用できそうなところも良いなと感じます。




その他に……
液晶ペンタブレットと CLIP STUDIO PAINT EXのバージョンが対応しているOSのデスクトップパソコンも用意する。


作画をより快適にするアイテムも活用



Wacom ExpressKey Remote
ワコム公式の便利ツール。17つのショートカットと、直感的に使えるタッチホイール機能を割当て可能。充電式でワイヤレスで使用可能。筐体につけて操作することもできる。




登録した機能がボタンで切り替えられるのが良いですね。使用頻度の高い「拡大」「縮小」などを設定してみました。磁石がついているので筐体に乗せても使えます。







CLIP STUDIO TABMATE
ペンタブレットの作業をより快適にする片手用デバイス。ホイール操作でブラシサイズや拡大縮小が思いのまま。200件以上の操作を設定できるのも魅力。


手元を見ないで操作できることが重要な点です。スクロールが滑り過ぎると狙うところに定まらないので、押す回数で把握できるクリックタイプが気に入っています。





デジタルの壁を感じた瞬間

設置途中で、武井先生の持っているPCのOSと、今回使おうと考えていたWacom Cintiq Proのドライバ、CLIP STUDIO PAINTのバージョンが合わないことが発覚。かねてから解消したいと思っていた動作の遅さの原因もここにあるということに。買う前に知らなければ見逃してしまう点なので注意!

― 解決法は?

今回はPCを買い替えることに。動作の遅さはメモリ不足も原因だったことから、ドライバに対応した最新OSかつ、漫画を描くことに支障のないメモリを搭載したPCを改めて準備しました。