2019年6月10日、シーメンスが提供する3D CADソフトの最新バージョン「Solid Edge 2020」が発表された。ユーザーの声を反映した3D CADのコア機能の改善が行われたほか、PCB設計やP&ID設計のリリース、シミュレーションの拡充、2Dネスティング用モジュールの追加など、さらなるポートフォリオの拡大が図られた。

総合的なソリューションポートフォリオとしての色合いをさらに強めた「Solid Edge 2020」は、2019年7月10~11日に東京・恵比寿で開催される「Realize LIVE Japan 2019」で本格的に紹介される予定だ。本稿ではイベントに先駆け、新バージョンの見どころや追加モジュールについて整理しよう。

  • シーメンスが提供する3D CADソフトの最新バージョン「Solid Edge 2020」

かゆいところに手が届く3D CADの改善点

「Solid Edge 2020」で行われたコア機能の改善としてユーザーに最も喜ばれるのはパフォーマンスの改善だろう。従来からパフォーマンスには定評のある「Solid Edge」だが、新たに「大規模アセンブリモード」を実装することで、大規模アセンブリの表示スピードが約7倍に向上したという。さらに、大規模アセンブリ(50万部品)を開くスピードは約36%アップ、部品の表示・非表示切り替えは54%アップ、大規模図面(145万要素)を開くスピードは約3.66倍アップを実現したそうだ。

リバースエンジニアリングや3Dプリントの便宜性が向上したのもポイントだ。STLなどのメッシュデータをハンドリングしやすくなるさまざまな機能を追加している。代表的なものは、メッシュデータを読み込み、再メッシュする機能だ。スキャンしたメッシュデータには必要以上に細かいデータや、逆に粗すぎて正確性に欠けるデータが含まれているが、これを再メッシュすることで、取り扱いやすいデータに作り直すことができる。平面や円筒面などの「自動抽出」がより正確に行えるほか、リバースエンジニアリングの作業効率の大幅な向上が期待できる。

  • 細か過ぎたり粗かったりするデータを元に、スムーズなデータを生成
  • 細か過ぎたり粗かったりするデータを元に、スムーズなデータを生成
  • 細か過ぎたり粗かったりするデータを元に、スムーズなデータを生成

メッシュデータの断面形状を表すスケッチを自動作成できるようになったのも大きなトピックだ。スケッチは、直線や円弧などの幾何形状として生成される。メッシュデータからソリッドデータを生成する手間を大幅に削減できるだろう。

また、3Dモデルの形状を比較する機能も追加された。2つのファイルを選択すると、1つのウィンドウ上で重ね合わせられ、異なる部分を色で表現するほか、体積や質量といった属性情報の差異も一覧表示される。この機能は、単体の部品だけでなくアセンブリ単位でも利用でき、流用設計の加速が期待できる。

  • 3Dモデルの形状差異が一目でわかる

    3Dモデルの形状差異が一目でわかる

3D CGとの親和性の向上もポイントのひとつだ。3D CGで一般的に使用されるOBJファイルを「Solid Edge」でそのまま読み込み、書き出すことが可能となった。これによって、フィギュアなどの3D CGデータを「Solid Edge」で取り扱えるようになる。

さらに3Dプリンター出力時のハンドリングにも改善が加えられている。3Dプリンター内部での位置や向きを自由に設定できるようになったため、出力速度や出力のしやすさが向上した。プリンター側での前処理が減り、「Solid Edge」だけでカバーできる範囲が増えたといえる。

「Solid Edge ポータル」からAR表示が可能に

5GBまでのストレージを無料で使え、「Solid Edge」以外のCADデータを閲覧・共有可能な「Solid Edge ポータル」にも3つの機能が加わった。1つ目は、ほかのCADソフトのアセンブリデータの閲覧や、PNG/JPEGなどのイメージファイルがサポートされたこと。2つ目が、図面上で計測された寸法を3D上にPMI(製品製造情報)として注記する機能が追加されたこと。3つ目は、AR表示が可能となったことだ。

特に目を引くのはAR機能だろう。生成されたQRコードを「Solid Edge ポータル」で読み込むことで、カメラで写している目の前の空間にCADで制作したデータを表示させられる。使い方としては家電や家具の配置やデザインなどが考えられ、ふだんCADソフトを使用しない異業種とのコラボレーションも活発化しそうだ。

  • カメラで写している空間にCADで制作したデータを表示できるAR機能

    カメラで写している空間にCADで制作したデータを表示できるAR機能

シミュレーションの種類を拡充して連成解析に対応

設計者にとって特にうれしいのは、シミュレーション機能の拡充だろう。モーションシミュレーションや時間依存荷重、調和応答などが標準で搭載され、「Solid Edge」上で設計者に望まれる現実に沿った解析がより簡単に実行できるようになった。

シミュレーションの結果を構造解析の境界条件とする「連成解析」も可能で、たとえば強度計算に動きのシミュレーション結果をインプットし、複合的な解析を行うことができる。また、時間によって異なる荷重条件を強度計算の境界条件として用いることもできるようになった。より現実に沿ったシミュレーションが可能になり、試作レス化をよりいっそう進められる。

  • 時刻歴で変化する荷重条件を使った解析も可能になった

    時刻歴で変化する荷重条件を使った解析も可能になった

PCB、2Dネスティング、P&IDのモジュールを追加

ほかにも「Solid Edge 2019」のポートフォリオでアナウンスされていた「Solid Edge PCB Design」「2Dネスティング」「Solid Edge P&ID Design」が正式にリリースされる。

「Solid Edge PCB Design」は、メンターグラフィックスの「Capital」の機能が移植されたもので、その名の通り基板設計を行うためのモジュールだ。

コネクションモードでは、PCB基板設計とメカの3D設計をリアルタイムにシンクロできる。PCB設計を3Dアセンブリ中で表示させながら作業が行え、たとえば基板上に配置したコンデンサなどの部品が、周りのメカ部品と干渉しないか、クリアランスは十分かなどを検証しながらの基板設計が可能だ。エレキ/メカ設計チーム間でのコラボも円滑に進められ、手戻りのない設計が可能になるだろう。

  • 2Dで制作した基板のレイアウトと同時に3Dデータを生成できる「Solid Edge PCB Dessign」

    2Dで制作した基板のレイアウトと同時に3Dデータを生成できる「Solid Edge PCB Design」

「2Dネスティング」は、板金製造に欠かせないネスティング用のモジュールとなる。複数の板金部品の展開パターンを平板上に無駄なく配置する機能だ。板金部品の展開図を並べたネスティングパターンを複数表示するため、ユーザーが最適と判断するパターンを選択することが可能。これまでCAM側で行われていた作業が「Solid Edge」上で行えるようになった。

さらに、プラント設計を行うためのモジュール「Solid Edge P&ID Design」も提供を開始する。2Dでの配管・計装ダイアグラム(P&ID)レイアウトを3D上で配置を確認しながら行うことが可能だ。

「Solid Edge 2020」がくわしくわかる「Realize LIVE Japan 2019」

「Solid Edge」は3D CADをコアに、機械設計、電気設計、プラント設計、連成解析、製造、板金、プロジェクト管理、そしてARにまで対応する統合ソリューションとして成長し続けている。新しい「Solid Edge 2020」はユーザーの利用の幅を広げ、より一元的な対応が可能となった。

今回のバージョンアップにおける改善点や新機能については、「Realize LIVE Japan 2019」で詳細な説明が行われる。設計・製造に関わるエンジニアはもちろんのこと、2D/3Dを取り扱うクリエイターにもぜひ注目してほしい。

Realize LIVE Japan 2019のご案内

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日 時:2019年7月10日(水)~11日(木)
会 場:ウェスティンホテル東京(東京・恵比寿)
参加費:無料

[PR]提供: シーメンス