昨年7月に産官学からなる「キャッシュレス推進協議会」が設立され、秋口には政府施策である「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施される予定です。マスコミにも新しい決済に関する関連記事が多く取りあげられるなど、「キャッシュレス」に対しての社会的関心・ニーズが高まっています。個社として、業界として、これらの関心・ニーズにどのように応えていくのか、協会の副会長である三菱UFJニコス株式会社の井上治夫社長に伺いました。

井上治夫(いのうえ・はるお)昭和32年12月6日生

昭和56年 3月  京都大学 法学部卒業
昭和56年 4月  株式会社三和銀行入行
平成19年 6月  株式会社三菱東京UFJ銀行
コーポレートファイナンス営業部長
平成20年 4月  株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
執行役員 法人企画部長
同行 執行役員 法人企画部長
平成22年 6月 三菱UFJニコス株式会社 常務執行役員
経営企画本部長
平成22年 11月 同 常務執行役員 経理部担当
兼 経営企画本部特命担当
兼 経営企画本部長
平成23年 4月  同 常務執行役員 経営企画本部担当
兼 経理部担当 兼 経営企画本部長
平成23年 6月  同 取締役 兼 常務執行役員 経営企画本部担当
兼 経理部担当 兼 経営企画本部長
平成24年 5月  株式会社三菱東京UFJ銀行 常務執行役員
リテール部門副部門長
平成25年 5月  株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
執行役員リテール事業担当
平成26年 5月  株式会社三菱東京UFJ銀行 常務執行役員
平成26年 6月  三菱UFJニコス株式会社
代表取締役社長 兼 社長執行役員(現任)

野口 香織
(のぐち・かおり)
北海道出身。小樽商科大学商学部商業教員養成課程卒業。NHK帯広放送局、NHK札幌放送局の契約アナウンサーを経て、その後フリーアナウンサーとなる。NHK総合「土曜スタジオパーク」「おはよう日本」などに出演。そのほかラジオ、WEB、CM、ナレーションと幅広い媒体でもキャスター・リポーターを務めている。趣味は着物を着ること、おいしい珈琲を入れること。

キャッシュレスの裾野が拡大、永年の実績やノウハウのあるクレジットカードが中心に

野口:クレジット市場の現状と今後についてどのようにお考えですか。

井上:クレジットカードの取扱高は堅調に伸長しており、当協会の集計でも2018年の取扱高は前年比14.2%伸びております。また、デビットカードや電子マネーなどの取扱高も堅調に推移しており、キャッシュレス市場全体が拡大しております。

野口 :拡大しているキャッシュレス市場においてその位置付けと、今後についてどのようにお考えでしょうか。

井上:日銀レポートによれば、国内におけるクレジットカード、電子マネー、デビットカードを含めた一人あたりの保有枚数は8.53枚と年々増加している中、決済金額ではクレジットカードが依然9割を占めております。これは近年拡大しているネットショッピングや公共料金、税金などの支払いで幅広く利用できるクレジットカードが社会インフラとして認識されているということではないでしょうか。

昨今、新興企業や異業種からの参入で、スマートフォンによるQRコードやバーコード決済なども相次ぎ登場しております。昨年7月には、サービスの統一規格や標準仕様を推進する産官学からなる「キャッシュレス推進協議会」も設立され、300を超える企業や団体などが参加しております。こうした背景には、昨年4月に経済産業省から公表された「キャッシュレス・ビジョン」はもとより、FinTechによるデジタル技術の革新やインターネット通販市場の拡大、人手不足に伴う業務効率化など、消費者と事業者の双方でキャッシュレスへの関心が高まっていることがあると思います。

今後、電子マネーやQRコードなどとの相乗効果で、キャッシュレス全体の裾野が広がる中、永年の実績やノウハウのあるクレジットカード業界が果たす役割はますます大きくなっていくものと考えます。