「安全・安心」で「利便性の高い」キャッシュレス環境の整備を着実に

野口 :今年10月から予定されている消費増税への経済対策や来年行われる東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて、クレジット市場や業界はさらに注目されていくと思われますが、どのようにお考えでしょう。

井上:注目されることはありがたいことですし、これからクレジットカード業界にとっても重要な1年になると思います。

昨年4月に公表された「キャッシュレス・ビジョン」では、大阪・関西万博が開かれる2025年までにキャッシュレス決済比率40%の実現を目標とすることが示されており、今年10月から予定されている消費増税に伴う経済対策の中にもキャッシュレス決済による対策が盛り込まれました。

また、「明日の日本を支える観光ビジョン」では訪日外国人の数を2020年に4,000万人、消費額は8兆円に引き上げるという目標が掲げられ、加えて、「未来投資戦略2018」では2020年までに外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設、観光スポットにおける「100%のキャッシュレス決済対応」及び「100%のクレジットカード決済端末のIC対応」の実現に向け、決済端末の設置を推進するとされております。

昨年12月には、訪日外国人観光客が初の年間3,000万人を突破し、今後ラグビーW杯の開催や東京オリンピック・パラリンピックも控える中、その数はますます増えていくと思われます。

日本は諸外国と比べ両替やキャッシュレスの環境が十分に整備されていないという声もあり、クレジットカード業界が先頭に立ってキャッシュレス環境の整備を推し進めることが、訪日外国人の消費喚起のみならず地域経済そのものを活性化させ、「観光立国」「地方創生・地方活性化」実現の一助になるものと考えます。

2019年度はキャッシュレス環境の整備を更に加速させなければならない重要な1年となります。訪日外国人を含めた消費者が、快適にクレジットカードを利用できるよう「安全・安心」と「利便性」の両輪で着実に推進していくことで、社会からの要請にも応えていきたいと考えております。