株式会社アイティ・コミュニケーションズ様は、北海道・札幌を本拠地としてコールセンター業務をアウトソーシングで請け負うだけでなく、システムの提供も行っています。今回、電話回線の変遷などに対応するため、自社開発してきたシステムの更新に取り組みました。同社が相談を持ちかけたのが、同じく札幌に本拠を置く、ほくでん情報テクノロジー様です。今回、KELはこの2社によるプロジェクトに、機器納入の立場で参加しました。

北海道起点のコールセンターサービス
自社開発とユニークな特徴に注目

札幌に本社を置く株式会社アイティ・コミュニケーションズ様(以下、IT-Com)は、2000年に創業。コールセンター業務をアウトソーシングで受託するとともに、コールセンターシステムをファシリティとして提供するサービスも行っています。業務システムの自社開発にこだわっている点も特色です。

大阪で開業したのち札幌に本社を移転、その後は拠点を仙台にも展開し、2014年には海外初となるセンターをベトナムにも開設。問い合わせに対応するコミュニケーターは正社員雇用を前提としており、かつ常にビジネスウェアを身につけて業務に臨むというユニークな特徴があります。

AIなど最新技術にも積極的に取り組み、2017年12月には、電話だけでなくSNS、LINE、チャット、メール、メッセンジャーなどに対応するオムニチャネルと、AIや音声認識を組み合わせた新プラットフォーム「Navi-Telephony Plus」を開始。コールセンターにまつわるクライアントのさまざまな困りごとを的確に解決するソリューションを提供しています。

  • オムニチャネルとは

    オムニチャネルとは

時代のニーズに対応するシステム更新
運用委託で人的リソースの解決も目指す

2002年に運用開始した自社開発システムは、IT-Comのビジネスを長らく支えてきました。情報システム部の山松直樹部長いわく「手前味噌ですが、開業間もない時期に作ったシステムの出来がよかったため、長年にわたり使い続けてきました」とのことです。とはいえこの間、通信環境は激変しています。固定電話網がIP網に移行するのに伴い、ISDNの「ディジタル通信モード」が2024年にサービス終了。スマートフォンやタブレット、SNSなどの普及もあって電話以外の受付方法、いわゆるオムニチャネルへのニーズが高まってくるとともに、AI も動き始めました。旧システムは設計自体がどうしても古く、最新技術や新しいニーズに対応するためにも、根本的なリニューアルが必要でした。

株式会社アイティ・コミュニケーションズ 業務企画本部 情報システム部 部長 山松直樹氏

株式会社アイティ・コミュニケーションズ 業務企画本部 情報システム部 部長 山松直樹氏

こうした世の中の変遷を受けて、IT-Comは“プライベートクラウド化”によるシステムの更新に乗り出しました。プライベートクラウドを選択した背景には、IT-Comの人的リソースの問題もありました。山松部長は次のように語ります。

「旧システムはサーバーが300台以上あり、データセンターでのラッキングからメンテナンス、部品交換などまで、すべて情報システム部で行っていました。しかし、もともと情報システム部には潤沢と呼べるほどの人数がいなかったうえ、サーバー台数も台数でしたから、正直、負担が大きかったのです。そこで今回は、データセンターのホスティングサービスを利用してプライベートクラウド化し、運用やメンテナンス部分もお任せして、自分たちは本業であるシステム開発に専念しようということになりました」

長年の付き合いで築かれた信頼関係
突然の要望にもきっちり応える

IT-Comからプライベートクラウド化の相談を受けたのが、ほくでん情報テクノロジー株式会社様(以下、ほくでん情報)です。実はIT-Comとほくでん情報との付き合いは古く、IT-Comの旧システムも、ほくでん情報のデータセンターのハウジングサービスを利用していました。

「単に付き合いが長いだけでなく、信頼も厚いですね。ほくでん情報さんは当社のシステムのことを知り抜いていますから、旧システムも安心してお預けしていました。そのため今回のプロジェクトに関しても、真っ先にほくでん情報さんにご相談しました」と山松部長は証言します。

ほくでん情報 データセンター事業部の奥村靖広氏にIT-Comからの相談がきたのは、2016年のこと。IT-Comからさまざまな要望を聞いた奥村氏は、機器を納入するベンダーとしてKELを選びました。その理由について奥村氏はこう語ります。

「インフラ構築時はもちろん、構築後の運用保守体制を考えると、データセンターがある札幌に拠点を持ち、信頼できるベンダーさんでなければ、当社としてもIT-Comさんに安心のサービスを提供できません。そこで今回はKELが適任ということになりました」

ほかにもKELは、ほくでん情報の技術担当者だけでは解決できないような技術的サポートを求められていました。単一メーカーにとらわれない機種選定に対応し、既存環境の分析やトラフィックの解析を元にホストサーバー台数やスペックをサイジングできる点、仮想化技術を利用したレプリケーションと障害発生時のフェールオーバー(冗長化)についてサポートできる点などが、選定につながったとのことです。

プロジェクトはコールセンターシステム全体の機能更新に加えて、新機能「Navi-Telephony Plus」の追加も目的となっていました。まずは従来使ってきたターミナルサーバーのリプレースからスタートし、以降は順次機能更新が行われていきます。そして2017年秋、IT-Comの山松部長から奥村氏のところに「Navi-Telephony Plus」の構築に関する相談がやってきました。

「計画が突然動き出し、12月末にはサービスを稼働したい、なんとかなりませんかと奥村さんにお願いしました」と山松部長は振り返ります。奥村氏もKELに「なんとか間に合わせてください」と依頼し、エンドが迫る中、1カ月程度で無事に構築は完了。「Navi-Telephony Plus」は予定通りに動き始めました。

ノートラブルで組み上がり
運用開始後も順調に稼働

業務企画本部 情報システム部 係長 中川将大氏

業務企画本部 情報システム部 係長 中川将大氏

「新機能追加を含め、旧システムから新システムへの移行はすべて順調に進み、稼働後のトラブルも一切ありません。ですから苦労したエピソードも何もありませんね」と、山松部長はほくでん情報の仕事を高く評価します。また、現場の作業指示などに携わった同部の中川将大氏も「やはりほくでん情報さんが当社のことを理解していたのが大きかったと思います。感謝の言葉しかありません」と語りました。一方の奥村氏は「KELがしっかり対応してくれたおかげです」と謙遜しつつ、KELの仕事を評価してくれました。

300台あったサーバーは現在9台に減り、運用保守はすべてほくでん情報に委託しているため、「人的リソースへの効果も大きかったですね」と山松部長。サーバー数を拡張して柔軟にスケールアウトできるほか、パブリッククラウドにも対応可能な仕組みを採用しているため、BCP(事業継続計画)などニーズに応じてパブリッククラウドへの進出も考えていくといいます。KELは今後も両社のビジネスをサポートしていきます。

株式会社アイティ・コミュニケーションズ


本社所在地:札幌市中央区北3条西3丁目1番地の5 井門札幌北三条ビル
設立:2000年
従業員数:1,477人(2018年8月1日現在)

⇒ 株式会社アイティ・コミュニケーションズ ホームページ

札幌本社の受付の様子。国内6カ所のほか、ベトナムにも拠点を持つ

[PR]提供:兼松エレクトロニクス