2019年3月23、24日に決勝戦が行われた「第1回全国高校eスポーツ選手権」。153校が出場し、予選を突破した上位8チーム(ロケットリーグ部門、リーグ・オブ・レジェンド部門それぞれ4校ずつ)が競い合い、ロケットリーグ部門は佐賀県立鹿島高校「OLPiXと愉快な仲間たち」、リーグ・オブ・レジェンド部門は東京学芸大学附属国際中等教育学校「ISS GAMING」が初代優勝校となった。

各メディアをはじめ、多くの注目を集めたこの大会を共同開催している株式会社サードウェーブは、高校生世代におけるeスポーツ発展のため「eスポーツ部 発足支援プログラム」を実施。多くの学校へゲーミングPCの無償貸し出しを行った。

第2回大会の応募受付も始まろうとしているなか、同プログラムも継続することが決定。その背景について、同社副社長 榎本一郎氏に話を伺う機会を得たので紹介したいと思う。

  • 株式会社サードウェーブ 取締役副社長 榎本一郎氏

eスポーツ選手権で変わった「人生」とは?

――まずは第1回全国高校eスポーツ選手権、終了お疲れ様でした。初回大会となりましたが、榎本さんからみてどのようなイベントでしたか?

この大会を実施するため、2018年のはじめから構想を練り、これからの日本でeスポーツはどうあるべきか徹底的に研究してから活動を開始しました。共同主催となっている毎日新聞社様や協賛企業の方々と共に、100年続く大会に育て、出場校2,000校を目指して全力で取り組むべきイベントとして捉えています。

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今回のオフライン大会(決勝戦)を通じて一番感じたのは高校生たちの表情がとても輝いていたことです。戦いが終わった高校生達のインタビューを間近で聞いていましたが、彼らの口から出てきた「人生が変わった」という言葉が強く印象に残っています。

それを聞いて思ったのは、私たち大人が持っている価値観だけで新しい文化が創れるのか?……でした。私たちがするべきなのは大人のルールでeスポーツを運営するのではなく、高校生達がやりたいことをのびのびとできる環境を作ってあげることだ、と感じました。

もちろん、枠組みから大きく外れないようにバランスを取ってあげる必要はありますが、これからのeスポーツを作り上げていくのは、まさに高校生である彼ら自身なんだということを改めて実感しましたね。

――参加した高校生達にとって、とても貴重な経験だったのですね。

「eスポーツ部」という部活動を行っている学校はまだまだ少ないですし、そもそも部を作ることも大変な作業だったと思います。でも、そうした苦労を通じて顧問の先生と仲良くなったり、親や他の大人達が応援してくれたり、それぞれに様々な体験をしてきたはずです。

例えば、優勝校の佐賀県立鹿島高等学校のチームは、大会で優勝したことを佐賀県知事である山口祥義氏に報告したそうです。

  • 佐賀県立鹿島高等学校のチーム「OLPiXと愉快な仲間たち」

逆にいうと、県も彼らをそしてeスポーツ全国大会を応援してくれていたということになります。まだ1回目の開催ですが、すでにこれだけ注目してもらっているのも、全国的にeスポーツへの期待が大きいことの表れでしょう。

今回の大会に参加した、あるいは参加しようとしてできなかった子たちも含めて、全国高校eスポーツ選手権を通じて新しい一歩を踏み出すきっかけを掴んだわけですから、高校生たちが輝いて見えるのも当たり前です。その姿は主催者としても、とても感動的でした。

――彼らがこの大会を目指すことで、人間としても成長できるのですね。

より多くの高校生たちに同じような体験をしてもらうためには、長く続けることも必要です。例えば、eスポーツ部を作ろうと思ったけど、1年生のうちにはできなくて、2年生、3年生になり、新入生が入ってきてようやく部になれた。

あるいは、先輩たちは1回戦負けだったけど、僕たちはオフライン決勝まで行ったというのでもいい。そうやって歴史を積み重ねていくのも、eスポーツが日本の文化として根付くのに必要だと考えています。

個人的な話になりますが、私は高校ではずっと野球部に入っていました。その経験から思うことは、高校での部活動がこの国のスポーツの中心になっているということです。高校生の部活動を選ぶときは、将来に渡って続けたいとか、自分の実力を試したいとか、先を見据えて積極的な思いで参加している人が多いと思っています。

ですから、高校生活の中で部活動で経験したことは枝葉となって将来へ続きます。eスポーツのプロを目指す人も出てくるでしょうし、大学生や社会人としても続けたい人など、いろいろな可能性があります。

そんな彼らが大人になったときに振り返って、「挑戦してよかったな」と思える大会にしたいのです。そのためには、eスポーツを身近なものにして参加しやすくなるよう高校の部活動を支援する取り組みも必要だと思います。

eスポーツ文化を醸成する環境づくりも使命

――それが「eスポーツ部 発足支援プログラム」なんですね。

そうです。この企画も始まったばかりでまだまだブラッシュアップする余地は残っていると思いますが、弊社の思いをゲーミングPCの無償レンタルという形で表現したものになります。

  • eスポーツ部 発足支援プログラムの詳細はこちら

昨年度から始めて、すでに78校がこのプログラムを利用していただいています。この企画を通じて感じたのは、先ほども触れましたが、新しく部活動を作るのは本当に大変だということです。

顧問の先生も必要ですし、何よりも部活動を共にする学生も集めなくてはいけません。学校の規定によってはすぐに部活動にすることが難しいケースもありますし、オンライン対戦をするにもセキュリティの問題でネットワーク回線を引けないということもあるでしょう。もちろん、ゲーミングPCを買う予算だって簡単に出せるところは決して多くはありません。

ですから、学校と協力してeスポーツを盛んにするためにも、この取り組みは弊社の予算を使って独自に行っています。eスポーツは競技ですから、チームワークの醸成やテクニックを磨くのにも、ゲーミングPCは必要なものです。今回は2年間の無償貸し出しとなっていますので、ぜひ多くの学校さんに活用していただきたいと思っています。

――同じ高校生の全国大会「STAGE:0(ステージゼロ)」にも協賛されていますが、それもそうした思いの一環なのですか?

  • 「STAGE:0(ステージゼロ)」とは、同じ高校内のチームで日本一を争う、“eスポーツの甲子園”――――国内最大級の高校生対抗eスポーツ大会です。詳細はこちら

その通りです。テレビ東京さんとも同じ思いを共有しています。同じ高校生を対象にした大会ですから、先ほど言ったように彼らの活躍の場を広げるという意味でも「全国高校eスポーツ選手権」と共存したほうが良いと考えています。

これはテレビ東京さんと毎日新聞社さんとの間でも同じで、3社が協力することで相乗効果を出していこうと話し合いも続けています。

例えば高校野球のように春大会をどちらか、夏大会をどちらかというような形でバランスよく実施することで、高校生達も参加しやすくなると思います。eスポーツを単なるブームで終わらせることなく、歴史や文化として残していくにはどちらの大会も大切にしていきたいと考えています。

すべての人が同じルールの中で平等に参加できるeスポーツ

――なるほど、若い世代がスポーツとして取り組める土台を作るんですね。

eスポーツは、男女の差や体のハンデに関係なく、同じルールの中で競い合えるという素晴らしい特長があります。

だからこそ、その中で学べることは大きいと思います。例えば、勝負に破れたチームは、対戦相手をリスペクトし、相手がどのような苦労をしてきたのか、どれだけ練習を積んで、どんな方法でチームワークを研鑽してきたのか、きっと知りたくなるでしょう。

そうして相手を正しく理解するという経験を、eスポーツを通じて学んだ高校生たちは、きっと今の大人達より平等な社会を作るのにふさわしい人間に育っていくと確信しています。

――eスポーツが素晴らしい社会をつくるきっかけになるとしたらとても素敵ですね。次回大会の申し込みも始まっていますが、大会を目指す高校生や先生方に一言お願いします。

繰り返し述べてきましたが、実際にこの国のeスポーツ文化を作っていくのは高校生のみなさんです。ですから、「僕が私が、eスポーツ選手権の歴史を作っていくんだ」という強い思いで積極的に参加してくれるとうれしいですね。それはたぶん大きなチャレンジになると思いますが、そこからはじまるひとつひとつの出来事が高校時代の良い思い出と経験になるはずです。

先生や大人達の方々もぜひ彼らを応援してあげてください。大会に出られなくても、直接手を差し伸べられなくても、会場に来てくれるだけでも良いのです。すべての人々が一緒になってeスポーツの大会を盛り上げ、日本の文化として根付かせていけるようにしたいですね。

  • 現在、第2回全国高校eスポーツ選手権の参加応募も実施中! ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。詳細はこちら

――ありがとうございました!

[PR]提供: サードウェーブ