2D/3D図面に対応した汎用CADとして、ゆるぎない地位を築いているオートデスクの「AutoCAD」。そんなAutoCADの最新バージョン「AutoCAD 2020」が3月にリリースされた。機能はより広がりを見せ、多岐にわたる分野で利用できるソフトとなったが、それだけにユーザーのノウハウを聞ける機会は貴重だろう。そんな日本のAutoCADユーザーを支えているのが、オートデスク公認のユーザーコミュニティ「AUGIjp」とユーザーイベント「AUGIjp WorkShop」だ。

オートデスク公認のコミュニティ「AUGIjp」とは

AutoCADの日本人ユーザーグループに端を発し、ユーザー同士の助け合いの場としてWebサイトやSNS、イベントなどを運営するコミュニティ「AUGIjp」(Autodesk Users Group International Japan)。AutoCADをはじめとするオートデスク製品の使い方を広めるとともに、ユーザー同士のコミュニケーションを活発化させ、ユーザーのフィードバックを上げることで製品をより良いものに変えていくことを目的とした組織だ。

たとえば日本語版のAutoCADのフォントに定義されていない文字を追加した日本語フォントは、AUGIjpとオートデスクの連携によって出来上がった機能の代表的なものといえるだろう。このフォントは現在のAutoCADにも同梱されている。

AUGIjpの歴史は1990年ごろ、パソコン通信サービスNIFTY-Serveのプライベートフォーラムから始まった。2000年ごろには広く一般に公開され、その後アメリカのユーザーグループ「AUGI」と統合。AUGIの日本支部として正式なスタートを切っている。2009年には法人化も果たしたが、2012年に解散。だがその必要性は高く、オートデスクの支援を得て2015年に公認のユーザーコミュニティとして再始動している。

  • AUGIjpとオートデスクの連携によって作られた日本語フォントは現在のAutoCADでも同梱されている

    AUGIjpとオートデスクの連携によって作られた日本語フォントは現在のAutoCADでも同梱されている

ユーザーが一堂に集う「AUGIjp WorkShop」

AUGIjpの活動のなかで、ユーザー同士がもっともじかに触れあえるイベントが「AUGIjp WorkShop」だ。2019年2月には大阪で「AUGIjp WorkShop KANSAI 2019」(WSK2019)が開催され、定員100名を大きく上回る応募数であった。

イベントではAutoCADをはじめとしたオートデスクのソフトウェアに関するセッションのほか、AutoCADでのオペレーション速度を競うユーザー参加型のイベント「O-1グランプリ」などが開催されている。

ユーザーからも「実際に操作するハンズオンはすごく勉強になります。上級者さんのデモで見ていると本当に自分でできるの?と思うこともあり、ソフトの購入に至らなかったり、別のソフトを使用したりすることもありますが、自分で動かすことでマスターしやすくなりました」と好評を博している。

参加するユーザーは使用歴10年を超える猛者から、まだ1年にも満たない初心者までさまざま。男女比率も半々ほど、まさにオートデスクユーザーならだれでも参加できるイベントとなっている。

東京開催 - 「AutoCAD 2020」が目玉となるWST2019

このAUGIjp WorkShopの最新回が、2019年6月22日(土)に開催される「AUGIjp WorkShop TOKYO 2019」(WST2019)だ。セッションの目玉はなんといっても最新バージョン「AutoCAD 2020」。その特徴は大きく分けて、業種別ツールセットの最適化、Webアプリとモバイルアプリへの対応、新機能の追加の3点だ。詳しくはWST2019で体験してほしいが、オートデスクの大浦氏にそれぞれのダイジェスト情報を聞いたので、ここで簡単に紹介したい。

  • WST2019の目玉、AutoCADの最新バージョン「AutoCAD 2020」

    WST2019の目玉、AutoCADの最新バージョン「AutoCAD 2020」

オートデスク 技術営業本部  AutoCAD エバンジェリスト 大浦 誠 氏

オートデスク 技術営業本部
AutoCAD エバンジェリスト
大浦 誠 氏

業種別ツールセットは、AutoCADのサブスクリプションメンバーが使用できるもので、AutoCAD 2019から導入された。業種に特化した機能とライブラリを備え、生産性の向上を実現するものだが、2020への最適化が行われており、2020ベースの機能とともに利用することができる。

また、Webアプリとモバイルアプリへの対応により、これまで以上にさまざまな環境でAutoCADを利用できるようになった。AutoCADはWindows/Macの日本語版、「AutoCAD Webアプリ」(英語版)、iOS/Androidなどのモバイルアプリが存在しているが、クラウドとの連携が強化された。たとえば、DropboxやOneDriveといったクラウドストレージ上に保存されたDWGファイルから直接AutoCAD Webアプリを開き、編集したり、逆にAutoCAD Webアプリからクラウドストレージ上のDWGファイルを編集したりすることが可能となった。

なお、図面のファイル形式は2018から引き継がれているDWGがそのまま採用されている。一方で、より優れたユーザーエクスペリエンスを提供するため、64bit版のみの提供となっている。サブスクリプションメンバーはAutoCAD 2019の32bit版を引き続き利用できるので、32bit版を必要とするユーザーはひとまずこちらを利用するといいだろう。

「AutoCAD 2020」の6つの新機能

新機能は大きく分けて6つある。1つ目は「ブロックパレット」。最近使用したリストや現在の図面、他の図面からブロックを図面に挿入できる機能だ。パレットからブロックをプレビューで確認しながら作業でき、たくさんある場合はフィルターもかけることが可能だ。直感的かつ効率的に、かつウィンドウを隠すことなく作業を行うことができる。

  • ブロックをプレビューで確認しつつ図面に挿入できる「ブロックパレット」

    ブロックをプレビューで確認しつつ図面に挿入できる「ブロックパレット」

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2つ目は「クイック計測」。計測したい箇所にマウスカーソルを重ねるだけで付近の計測値が自動的に表示される機能だ。距離計測機能で寸法を測りたい箇所を1つ1つクリックして指定せずとも縦横の寸法と直交している個所が表示される。さまざまな箇所の寸法を迅速に確認できるだろう。

  • マウスカーソルを重ねるだけで計測値が自動表示される「クイック計測」

    マウスカーソルを重ねるだけで計測値が自動表示される「クイック計測」

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3つ目は、「図面比較」の機能強化。ユーザー待望の機能として2019より搭載された、2つの図面の差異を検出、表示、編集できる機能であるが、2020では作業中の図面上比較対象となる図面を読み込んで違いを確認できるほか、現在の図面内にないオブジェクトを取り込むことも可能になった。もちろん、従来通り比較結果を書き出すこともできる。作業をしているとどうしても様々なバージョンの図面が発生するが、「正」の図面を管理することがより円滑になりそうだ。

  • 図面の相違箇所を現在の図面上に表示し書き出せる「図面比較」

    図面の相違箇所を現在の図面上に表示し書き出せる「図面比較」

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4つ目は「名前削除機能」。これは、データのなかに含まれる不要なオブジェクトを簡単に見つけ出し、一括削除できる機能だ。どこにも使われていないオブジェクトをプレビューで確認しながら削除したり、図面内の名前削除できない項目を検索可能。オブジェクトが使用されている場合はその個所に移動することもできるので、不要な場合は図面上から除外し名前削除を行える。

  • 不要なオブジェクトを見つけ出し削除できる「名前削除機能」

    不要なオブジェクトを見つけ出し削除できる「名前削除機能」

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5つ目は「パフォーマンスの向上」。毎回の保存操作にかかる時間が短縮された。またインストール時間も短縮されており、たとえばSSDにインストールする場合は従来の半分の時間でインストール可能だという。

オートデスク  マーケティング本部 フィールド マーケティング  スペシャリスト 唐沢 春香 氏

オートデスク マーケティング本部
フィールドマーケティング スペシャリスト
唐沢 春香 氏

6つ目は、ここまでのスクリーンショットでも利用されている「ダークテーマ」の改良。暗めの色調のインターフェースは、長時間の作業においても疲れにくく、他のアプリやOSでも採用が増えているのがダークテーマである。今回の変更では、青みがかった黒を基調としたコントラストとなっており、ダークテーマにあわせてアイコンも見やすく改善されている。なお、ダークテーマは「AutoCAD Webアプリ」でも採用されており、Web版を利用する際もモダンなインターフェースをそのまま利用可能だ。

オートデスクの唐沢氏は、この6つのなかでもっともユーザーからの反響があったのは「図面比較」だと説明。ユーザーからも「これまでは図面を比較する際に差異図を作っていたが、図面比較機能が搭載されてからはバージョンの違う図面を保存しておけば良いので、設計者としても別の作図をする手間と時間を省くことができた」という好意的なコメントをもらっているという。

6月のWST2019はセッションが盛りだくさん

AUGIjp
芳賀 百合 氏

WST2019ではセッション数がこれまでよりも増加しており、「AutoCAD 2020」のセッションのほかにも、興味深いセッションやイベントが多数行われる。たとえば、「Revit小技集30」などは、BIMに関わる人ならば非常に興味深い内容になるだろう。「ちょっとムズいAutoCADの使い方」などは、初心者のスキルアップにもよさそうだ。

第3回となる「CADオペ女子会」も行われる。こちらはソフトの話題に限らず、CADを利用する業界で働く女性ユーザーが思いのたけを自由に話し合える場となっている。「女性が集まり、女性だけが話せる場だからこそ、安心して話せることもあると思いますので、女性の方はぜひ参加してほしいと思います」とAUGIjpの芳賀氏は笑顔でアピールする。

第10回を数える定番の「O-1 グランプリ」のほか、今回はテーマ「橋」に対する約20分のモデリングをライブで見ながら「3D」をみなで考えるという「3D-1グランプリ(α版)」も実施。PCを持参すればAutoCADでもRevitでも、InventorでもFusion360でも参加できるので、ぜひ参加・聴講してほしい。

「AUGIjp WorkShop TOKYO 2019」(WST2019)は、6月22日(土)10時~17時30分に「新宿ミライナタワー」12F マイナビルームA/C/D/Eで行われる。定員は300名の予定で、参加費は無料。

AutoCAD 2020に興味をお持ちのユーザーはもちろんのこと、オートデスク製品の実践的なテクニックを学びたい方や最先端のハードやソフトを知りたい方、他のユーザーと人脈を作りたい方など、多くのユーザーが思い思いのコミュニケーションを取れるWST2019。興味を持った方は、上級者も初心者も、男性も女性も、ぜひAUGI.jpから参加登録を行ってほしい。

WorkShop TOKYO 2019 開催のお知らせ
日時 2019年 6月 22 日(土) 10:00 ~ 17:30(受付9:30~)
会場 新宿ミライナタワー 12F マイナビルームA/C/D/E
東京都新宿区新宿四丁目1番6号
定員 300名
参加費 無料
詳細はこちら

[PR]提供: AUGIjp