世界最大級のMATLAB/Simulinkの総合テクノロジーカンファレンス「MATLAB EXPO 2019 Japan(以下、MATLAB EXPO)」が5月28日(火)、グランドニッコー東京 台場で開催される。今年からイベント開催時期が10月から5月に変更され、製品の直近リリースの内容をよりイベントに反映しやすくした。毎年パワーアップしているMATLAB EXPO。今年のテーマと見どころを紹介しよう。

MathWorks Japan設立10年の節目となる開催に

MATLAB/Simulinkの総合テクノロジーカンファレンス「MATLAB EXPO」の開催が近づいてきた。例年秋に実施されるMATLAB EXPOだが、2019年は5月開催へと変更になった。この背景には、ワールドワイドの公式イベントとして開催時期を合わせ、製品リリースに合わせた講演内容の充実があるという。

MathWorks Japan インダストリーマーケティング部 部長 阿部悟氏

MathWorks Japan インダストリーマーケティング部 部長 阿部悟氏

2002年に日本から始まったMATLAB EXPOは、MathWorksのグローバルイベントとして世界各国で開催されるようになった。2019年は、4月のインド、韓国、ポーランドを皮切りに、5月の日本、オーストラリア、スイス、ベネルクス3国、6月のフランス、ドイツ、イタリアなど、世界16箇所で開催される予定だ。世界共通のテーマを設け、それぞれの地域の特色を出しながらワールドワイドで実施していく。

日本の場合、前回の2018年10月開催から間もないなかでの開催となるが、前回同様あるいはそれ以上の充実した内容のもとで準備が進んでいるという。

MathWorks Japan インダストリーマーケティング部 部長の阿部悟氏は「今年は日本法人設立から10年という節目の年でもあります。日本から始まり、ユーザーとともに成長しつづけてきたMATLAB EXPOの姿をあらためて披露したいと思います」と意気込みを述べる。

Beyond the “I” in AI 〜 AIにおける「3つのI」を超えて

2019年のMATLAB EXPOの世界共通テーマは「Beyond the “I” in AI - Insight. Implementation. Integration.」だ。直訳すると「AIにおける"I"、インサイト、インプリメンテーション、インテグレーションを超えて」となるだろう。このテーマの意図について、阿部氏は次のように説明する。

「この2〜3年で、深層学習(Deep Learning)や機械学習(Machine Learning)といったAI技術が大きく広がり、さまざまな企業が地に足の着いた取り組みを実践するようになってきました。MathWorksでは、そうしたAI技術の活用のポイントを、インサイト、インプリメンテーション、インテグレーションという3つにあると考えています。現在の地に足の着いた取り組みは、これら3つのポイントを踏まえることで、さらにその先の取り組みへと発展していきます。そうしたAI活用の将来像をMathWorksがどのように描いているか、どのように企業の取り組みを支援できるか。それらを具体的なかたちでお伝えしていきます」(阿部氏)

3つのIのうちのインサイトとは、取り組みのなかで得られる「知見」や「洞察」のことだ。データを分析してインサイトを得ることがAIの取り組み目標の1つでもあるが、当然、AI技術を採用したからといってすぐに知見が得られるわけではない。重要なのは、すでにある知見をAIの取り組みに落とし込みながら、新しい知見を見つけていくことだという。「その点では、MathWorksのツールでAIを容易に活用することができるので、それぞれのドメインのエキスパートである技術者は、知見を活かして洞察を得ることに集中出来ます」と阿部氏は力強く語る。

2つめのインプリメンテーションは「実装」を意味する。実装においては、AIで処理するためにデータのクレンジングといった準備作業が不可欠だ。また、どのようなAIを用いるかのプラットフォームの選択や設計も必要で、どうシミュレーションし、実装まで行うか、またそれをどのようなワークフローに落とし込んでいくかも求められる。「こうした一連の作業のことをインプリメンテーションとして、環境やツール、ソリューションを紹介していきます」(阿部氏)

3つめのインテグレーションは「導入」「統合」のことだ。これは、どういうアプリケーションを作り、どのようなシステムに導入し、連携していくかなどを指している。「例えば、クラウド上のシステムにどうAIを導入するか、従来のModel-Based DesignとAIをどのように統合・連携するかなどです。その方法をユーザー事例やソリューションとして紹介していきます」(阿部氏)

カスタマー基調講演にはブリヂストン フェロー 三枝幸夫氏が登壇

では、午前中のセッションを具体的に紹介しよう。開幕となるカスタマー基調講演に登壇するのは、ブリヂストン Nest Lab. フェローの三枝幸夫氏だ。タイヤ売上高で世界トップのシェアを誇るブリヂストンでは、2017年1月にデジタルソリューションセンターを新設、デジタル変革に向けた取り組みを加速させている。そのデジタル戦略をドライブしてきたのが三枝氏だ。

ブリヂストンの事例は、昨年のMATLAB EXPOでも紹介されている。デジタルエンジニアリング本部 フェローの内田和男氏が「競技用自転車開発における挙動推定と1Dシミュレーションの活用」という題目で、競技用自転車のフレームに軽量な慣性センサーを取り付けて情報を取得し、そのデータを用いてMATLAB上で非線形カルマンフィルタを適用して演算することで自転車の挙動推定を行うという事例を紹介した。

基調講演では、こうしたブリヂストンの具体的な取り組みを支えているデジタル戦略の全体像について、三枝氏が解説する予定だ。デジタル技術を活用した企業変革は、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれ、国内でも多くの取り組みが行われている。製造業での取り組みにおけるポイントの1つが、従来のモノづくりからソリューションプロバイダーへとビジネスモデルを変えることが重要だと指摘されている。

では、ブリヂストンはどのような考えと枠組みでデジタル化を推進しているのか。三枝氏の講演は多くの企業の参考になるはずだ。

Release 2019aで提供される新機能、新製品に注目

続いて、MathWorks基調講演としてマーケティング部門VPであるリチャード ロブナー(Richard Rovner)氏が登壇。世界共通テーマ「Beyond the “I” in AI - Insight. Implementation. Integration.」を題目に、MathWorksのAIの取り組みや将来像、ツールやソリューションのロードマップなどを解説する予定だ。

現場でのAI活用が進んでいるなかで、AIとModel-Based Designがどう融合されていくのか、IoTやコネクテッド、デジタルツインなどの概念が現在のプラントとどう統合されていくのかなど、ユーザーが気になる点にMathWorksがどういった提案をするのかに注目したい。

ロブナー氏の講演に続いて、MathWorks Japanの山本順久氏が「What's New in MATLAB and Simulink」と題して、Release 2019aの追加機能、強化ポイント、ロードマップなどを紹介する。R2019aでは、AIのアルゴリズムとして新たに提供される強化学習の新製品「Reinforcement Learning Toolbox」や、システムズエンジニアリング分野の新製品「System Composer」、FPGA向け「SoC Blockset」など、インダストリーやアプリケーションに特化した機能と製品が数多く提供される。

「Release 2019aではお客様が新たな取り組みや開発ワークフロー構築をよりスムーズにできるようサポートする新製品や新機能がリリースされています。講演は、そのことが実感できる内容になる予定です」(阿部氏)

また、ランチタイムには展示ブース会場で、MATLABライトニングトーク、ポスター発表、Women in Tech Lunch、MATLABプログラミングチャレンジなど、ユーザー参加型のコミュニティイベントが開催される。これらは昨年から始まった新しい取り組みだが、次回開催を望む声が多く寄せられるなど好評を博した。

Women in Techはもともとアメリカから始まった取り組みを日本でも展開したものだが、他国の開催にも波及しつつある。MATLAB EXPOがワールドワイドなイベントとして実施されるなかで、広がりと深まりを見せている状況だ。

このように今年のMATLAB EXPOも、見どころが多く、新たな発見を得られるイベントになることは間違いない。

次回は、午後からのブレイクアウトセッションの各トラックのテーマと内容を紹介しよう。

  • matlab2019 タイムテーブル

    MATLAB EXPO 2019 Japanタイムテーブル

MATLAB EXPO 2019 Japan
グランドニッコー東京 台場 | 5月28日
MATLAB/Simulinkユーザー様による事例紹介やMathWorks社員による技術講演を通して革新的な最新技術をご紹介いたします。

https://www.matlabexpo.com/jp/2019.html

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