最近のコンパクトデジタルカメラは高倍率ズーム搭載機に人気が集まっています。ふだんのメモやスナップ記録にはスマホカメラを使いつつ、それとは別に風景や人物をズームアップして大きく捉えたいときや、イベントや旅行用のカメラとして高倍率ズーム機を選ぶ人が多いようです。

なかでもキヤノン「PowerShot SX」シリーズは、高倍率と小型軽量、高画質を兼ね備えたモデルとしてファミリー層を中心に高い評価を得ています。そのシリーズの最新作として「PowerShot SX70 HS」が登場。2014年に発売された「PowerShot SX60 HS」の後継であり、光学65倍という圧倒的なズーム倍率を継承しつつ、エンジンやセンサー、EVFなどを一新しています。新しくなった画質や使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしましょう。

  • キヤノン「PowerShot SX70 HS」

肉眼をはるかに超えた1365mmの世界観

実機を手にしてまず感じたのは、写真で見る印象以上にボディが小さくて軽いこと。35mm判換算でワイド端(広角端)21mm相当、テレ端(望遠端)1365mm相当の光学65倍ズーム搭載にもかかわらず、バッテリーやカードを含めた使用時重量はわずか約610g。片手で軽々と構えることができ、ストラップを首にかけて持ち歩いても苦になりません。外形寸法は、幅127.1×高さ90.9×奥行き116.6mm。取り回しの自由度が非常に高く、バッグに入れてもかさばりません。

そのコンパクトさは、一眼レフカメラと比べてみると明らかです。一眼レフカメラ「EOS 5D Mark IV」に「EF800mm F5.6L IS USM」を装着し、「PowerShot SX70 HS」と並べてみました。ちなみに「EF800mm F5.6L IS USM」は、スポーツや野鳥、動物などを撮るプロやハイアマチュアに愛用されている超望遠レンズです。レンズの重量は約4,500g。希望小売価格は1,750,000円。

  • 左は、超望遠レンズ「EF800mm F5.6L IS USM」を取り付けた一眼レフカメラ「EOS 5D Mark IV」。右が「PowerShot SX70 HS」

もちろん一眼レフカメラ「EOS 5D Mark IV」と、レンズ一体型の「PowerShot SX70 HS」はセンサーサイズが異なるうえに、画質や機能、操作性などにも差があり、単純な比較はできません。ただ、画角(画面に写る範囲)という点では、「PowerShot SX70 HS」のほうがより望遠に強くなっています。

では、そのズーム性能はどれほどの実力なのでしょう。「PowerShot SX70 HS」を使用し、同じ撮影位置から焦点距離を変えながら撮ってみました。

  • 光学1倍(35mm判換算の焦点距離約21mm相当)

  • 光学2.3倍(35mm判換算の焦点距離約50mm相当)

  • 光学5.8倍(35mm判換算の焦点距離約120mm相当)

  • 光学20倍(35mm判換算の焦点距離約420mm相当)

  • 光学65倍(35mm判換算の焦点距離約1365mm相当)

光学1倍(ワイド端)では青空や木々を広々した構図で撮影でき、そこから徐々にズームアップしていくことで、風景写真から銅像が主役の写真へと変化していきます。光学2~10倍くらいまではポートレート撮影用にも最適です。さらにズームアップし光学20倍以上はスポーツや乗り物、野鳥などの撮影用に役立ちます。

そして、最後はテレ端の光学65倍に到達。凛とした表情を超クローズアップで捉えた迫力満点の写真になりました。しかも、肉眼ではまったく見えない銅像表面の小さな凹凸や微妙な質感、色合いまでくっきりと再現されています。

また、このズーム作例の撮影中、銅像の後ろを飛行機が横切ったので、光学65倍の状態でとっさにシャッターを切ったのが次のカットです。

  • 光学65倍(35mm判換算の焦点距離約1365mm相当)

ここまでズームアップした超望遠撮影の場合、一般的には飛行機のような動きのある小さな被写体を撮るのは簡単ではありません。カメラの向きを少し動かしただけでも飛行機が画面からフレームアウトしてしまうからです。

そんなときには「PowerShot SX70 HS」のフレーミングアシスト機能が役立ちます。フレーミングアシスト機能では、レンズ側面のボタンを押すことで一時的にズームダウンでき、被写体を見つけたらボタンを離すことで再びズームアップした状態に素早く戻すことができます。

  • レンズの鏡胴部にはズームボタンに加えて、2つのフレーミングアシストボタンを搭載。上の「探索」ボタンでは一時的なズームダウンやオートズーム、下の「固定」ボタンでは被写体の自動追尾などができます

次のカットは、公園の池を高所から見下ろすようなアングルで撮影したもの。ここでもフレーミングアシストが活躍しました。

  • ワイド端で撮影。池の一面に植物が生い茂り、ひと目見たしただけでは被写体がどこにあるのか判別できません

  • テレ端までズームアップし、画面の中央部にいたペリカンを撮影

  • 上の写真と同じ場所にて、フレーミングアシストを使って一時的にズームダウンし、別の被写体を発見。魚を捕獲中の鵜を捉えました

さらに高倍率のメリットは、遠くにある被写体を大きく写せることだけではありません。望遠側で撮って遠近感を圧縮して引き締まった画面で撮影できることや、被写体の前後にボケを作り出して奥行のある写真が撮れるといった利点もあります。

  • 遠近を圧縮することで階段の急勾配をいっそう強調。パターンとしての面白さを狙ってみました

  • ズームの自由度が高く、どんな場所でも絵になる一部分を切り取ることができます

  • 撮影撮影距離はワイド端0cm、テレ端1.8mに対応。接写にも強く、植物などのクローズアップ用にも最適です

  • ピント位置を変えるだけで、同じ場所でも違った表現が楽しめます

  • テレ端までズームアップした状態。深いくぼみのあるグリップであり、ホールドバランスは良好。側面や背面のボタン類は、両手で構えたときにちょうど指があたる位置にあり、心地よく操作できます

超望遠対応だからこそEVFが重要

前モデル「PowerShot SX60 HS」からの改良のポイントとしては、センサーの高画素化やエンジンの強化に加え、新しくなった電子ビューファインダー(EVF)に注目です。EVFのサイズは0.17型から0.39型へと大型化し、ドット数は約92万ドットから約236万ドットへと精細化。非常に見やすく、被写体の細部までをくっきりと確認できます。

  • 接眼部の右側にアイセンサーを新設。目を近づけると、液晶モニターの表示からEVFの表示へと自動的に切り換わります

EVFのメリットは、望遠での撮影時にカメラを確実に支えることで手ブレのミスを最小限に防げること。また、液晶モニターが見えにくくなる明るい屋外でも画面をしっかりと見られることで写真の色味の確認ができるため、露出補正などの失敗も防ぎやすくなります。また、撮影環境によっては液晶モニターが点灯することで迷惑になる場合もありますよね。そうした場合の撮影にも便利でしょう。さらに、動体撮影の際に被写体を追従しやすいこともポイントです。だからこそ、超高倍率ズーム搭載の「PowerShot SX70 HS」に本格EVFが採用されたことは、使い勝手全般を高める大きな進化といえます。

  • 逆光のため、液晶モニターはやや見えにくく感じましたが、EVFを使うことで狙い通りのフレーミングで撮影できました

  • 背面に見えるキラキラとした水面の輝きは刻一刻と変化しているため、このシーンは連写で撮影。玉ボケが特に美しく生じた2枚を採用しました

機能面では、AFや連写の高速化、手ブレ補正の強化、動画の4K対応などが見どころです。連写は、ワンショットAFで10コマ/秒、サーボAFで5.7コマ/秒に対応。動きの速い被写体のシャッターチャンスも逃さず捉えられます。

  • 印象的な影とシルエットを主題にして高速連写で撮影。とりえず連写し、あとから最もバランスのいい1枚を選ぶ、という撮り方ができます

  • 液晶モニターには3型約92万ドットのバリアングル液晶を搭載。ローポジションやハイポジションでの撮影もスムーズに行えます

  • 手ブレ補正には、最大効果5段分の光学式補正「デュアルセンシングIS」を搭載。手ブレだけでなく、体揺れによるゆっくりした大きな振動にも強く、手持ちでの夜景撮影も可能です

動画は最大3840×2160の4K記録に対応。動画撮影時は5軸手ブレ補正が利用でき、手持ちによる望遠撮影でも安定した構図で撮影できます。

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トータルとしては、スポーツや人物、動物といった動きものから、風景や静物まで幅広い用途に適したオールマイティなデジタルカメラといえそうです。スマホカメラでの撮影だけでは物足りなく感じ始めた人がステップアップするためのカメラとしてもお勧めできます。

[PR]提供: キヤノンマーケティングジャパン