BtoCであればECサイトやキャンペーン、BtoBであれば展示会や資料請求などで、既存顧客や見込み顧客のメールアドレスを入手する場面が多いだろう。企業と顧客との接点を作り継続的なリレーションを生み出すうえで、このメールアドレスを活用したダイレクトメールによるマーケティングは、なくてはならない施策だ。しかし「いざメールマーケティングを本格的に展開したいが、どんなメールを配信すればいいのか」と悩んでいるマーケターも少なくないのではないだろうか。

さんざん悩んだ挙げ句、ダイレクトメールの内容がキャンペーンやイベントなどの告知に終始してしまい、反響が思わしくないということもよくある話だ。自分自身がメールの受け取り手の立場に立てば、毎日膨大に送られてくるこうしたダイレクトメールは、ほぼ中身を見ずにゴミ箱フォルダーに送っていることも理解できるのではなかろうか。とはいえ残念ながら、こうした"読まれないダイレクトメール"を乱発してしまう企業は少なくない。

では、どのようなダイレクトメールを制作すれば、受け取り手である顧客はメールを開いてくれるのだろうか。今回は、マイナビが開催するマーケティングセミナーでも講師を務める、株式会社アイ・コミュニケーションの代表取締役で、一般社団法人日本ビジネスメール協会の代表理事である平野友朗氏の解説をもとに、メールマーケティングで失敗しないためのメルマガ制作における注意点をまとめてみよう。

  • 一般社団法人 日本ビジネスメール協会 代表理事 平野友朗氏

1:送信者とタイトルで勝負が決まる

「メールを受信した人は"誰からの、なんのメールなのか"をまず確認する」と平野氏。受信ボックスに届いたメールは、まず送信者やタイトル(件名)がチェックされる。そこで、自分に関係のあるメールかどうか、自分の関心に応えるメールかどうかを瞬時に判断されるのだ。この段階で選ばれなければ、ダイレクトメールは即座にゴミ箱に送られてしまうだろう。

ここで気をつけたいのは2点ある。まずはメール送信者がメールアドレスのままになっていたり、社内だけで通用するような名称になっていないかという点だ。企業名やブランド名をしっかりと送信者名に明記することで、受信した人に"自分に関係のある企業やブランドからのお知らせだ"と気づいてもらえる。また、メールのタイトルには、受信する人の興味関心に応える内容を盛り込むべきである。キャンペーンやイベントのお知らせばかりがタイトルになると、"この企業は売り込みのメールばかり送ってくる"と思われてしまい、開封率は大きく下がってしまうだろう。

「ちなみに、受信する人の名前を件名に挿入する企業もあるが、受信する人の立場からすると大きな違和感がある。通常のビジネスメールを思い浮かべてほしいが、メールの件名には自分(送信者)の名前を入れることがあっても、受信する人の名前を入れることはすくない」(平野氏)

2:告知メールの乱発に気をつけよう

伝えたいという強い気持ちがつい前面に出てしまいがちなのが「告知メール」である。たとえばセールを実施する場合、新商品を発売する場合、キャンペーンやイベントを開催する場合など、何かしらの機会あるとメールを送りたくなってしまうものだ。メールの送り手としてはお得な情報を伝えているつもりかもしれないが、重要なのは受け手にとって中身が伴っているかという点だろう。読む側の期待に答えることなく、一方的に送信者の思いを伝えるだけの情報では、むしろ押し付けがましさを抱かせてしまう

「企業は告知メールを乱発しすぎて"オオカミ少年"にならないことに気をつけるべきだ。ほかにもタイトルを過剰に工夫して、受信した人を"釣る"ようなテクニックはいくつか存在するが、受信する人もタイトルを見極めるリテラシーが備わってきているので、乱用するとむしろ逆効果になってしまう」(平野氏)

どれほどお得なキャンペーンの告知メールでも、それが読み手の気持ちに響かず、しかも何通も送られてくるような状態が続いてしまうと、今度はメール購読を解除される恐れも出てくる。告知メールを送る際はそうしたリスクもふまえて、乱発しすぎないように心がけよう。

3:読者視点でコンテンツを考えよう

ダイレクトメールの中核部分であるコンテンツにも気をつけたい。受信した人の興味関心を呼び覚ます魅力的なタイトルを考えられたとしても、肝心のコンテンツが伴っていなければメールの読後に残るのは、"有意義な情報が得られなかった"という失望感だ。

平野氏は、このコンテンツ設計について2つの注意点を挙げている。

「ひとつは、読み解きのリズム感。1分程度で読めることを目標に、内容は端的にまとめて必要なコンテンツが見つけやすいように配慮し、メールの内容が素早く伝わるように工夫したい。そしてもうひとつは、役に立つ情報や楽しい内容など、受信した人がひとつのメールでひとつの手応えを得られるようにすることだ」(平野氏)

ダイレクトメールでは、お知らせやキャンペーン情報、新製品情報など広告的な情報を詰め込みすぎて、長くなってしまうケースも少なくない。しかも同じ内容の広告を何度も繰り返している場合もある。もちろんダイレクトメールである以上は、企業からのお知らせをしっかり盛り込みたいところだが、それ以上に受信した人が興味深い、面白いと感じられるような内容をメインコンテンツに据えるべきだ。自分がそのメールを受け取ったとき、最後まで読みたい、読んでよかったと思えるかどうかを考えて、メールのコンテンツを制作しよう。

4:URLの"貼りすぎ"に注意する

ダイレクトメールの目的は、メールを読んでもらうだけではなくURLのリンクからウェブサイトに来てもらって、より詳細な情報を閲覧してもらったり、購買・申込や資料請求といったコンバージョンを生み出したりすることだ。しかし、その目的にこだわりすぎて、メール内にURLを貼りすぎてしまうのは適切だとはいえない。

「URLリンクは、不要な部分に配置しないことを心がけたい。メールの中には、全てのURLリンクを計測用のトラッキングコードにして、バラバラのURLでもリンク先は全て一緒というケースが見られる。リテラシーの高いユーザーの中には、こうしたリンク配置から"自分の行動が計測されている"と嫌悪感を抱いてしまうケースもあり、注意が必要だ」(平野氏)

メール内に広告的な情報をたくさん盛り込み、URLリンクをまんべんなく配置してウェブサイトに誘導したいという企業側の心理は理解できる。しかし、メールを受信した人が広告に引きつけられてそのままURLをクリックするという単純なものではなく、コンテンツを読んだうえで納得感をもってウェブサイトを訪問するものだ。ダイレクトメールを単なる広告として位置づけるのではなく、企業と顧客のコミュニケーションツールと捉えてメールの内容に注力すべきであり、そのコンテンツに関係するウェブページへ適切に導くべきだといえるだろう。

5:テキストかHTMLか、適材適所を考える

メールのフォーマットにはテキスト形式とHTML形式の2種類があり、メールの開封率を計測したい場合にはHTML形式を選択することになる。しかし、それだけの理由でHTML形式を選んでいるとすれば、考えをあらためる必要があるだろう。

HTML形式はウェブページのようなリッチな表現が可能であることから、ビジュアルコミュニケーションが有効な商品やブランドに向いている。ただトラッキング目的だけでHTML形式を選択しても受信した人にとって大きなメリットはなく、むしろリテラシーの高いユーザーであれば"メールを開封した裏で企業が何かをしているのでは"という不信感を抱いてしまう。 テキスト形式かHTML形式かを考えるうえで見直したいのは、そもそもメールマーケティングのKPIをどこに置くかという点だ。わかりやすい数値目標として、メールの開封率や、コンテンツに配置したURLのクリック率などをKPIにするケースが多いが、ダイレクトメールが持つ本当の目的は企業と顧客のエンゲージメントの構築や、ウェブサイトへ来訪後のコンバージョンであるはずだ。そこで開封率やクリック率といったKPIにこだわりすぎると、手段が目的化してしまうことになりかねない。本来の目的を見据えて、メールを受信する人にとって最適なフォーマットを選び、コンテンツを構築すべきだといえるだろう。

「顧客を企業のファンにしていくためには、メールそのものに数値指標を入れる必要はないかもしれない。まずはダイレクトメールを読者視点に立って誠実に運用していき、マーケティング成果はコンバージョンだけで測るべきではないか」(平野氏)

評判になるメルマガを作り、企業と顧客の絆を生み出せ

これまで、ダイレクトメールを制作するうえで注意すべき5つのポイントについて解説した。こんにちのメールマーケティングでは、日々メールボックスにあふれる情報の中で"このメールは自分の関心に応えてくれる"、"この情報は面白そうだ"という共感・共鳴を生み出し、その期待に応えるコンテンツを提供することで、エンゲージメントを生み出すことが重要になる。その意味において、メールマーケティングはソーシャルメディアなどを活用したコンテンツマーケティングに近い存在になっていると言っても過言ではない。受信した人の心を動かす"本質的な価値"がそのダイレクトメールにあるかどうか、配信する前にあらためて点検してみてはいかがだろうか。

「メールマーケティングでは、誰に、どんなコンテンツを、どんな目的で配信して、結果的に受信した人をどんな気持ちにしたいのかという視点を持つことが重要。 "このメルマガは面白くて参考になる"と評判になるようなメールマーケティングを多くの企業に展開してほしい」(平野氏)

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