循環型社会実現に向けてエネルギーや水といった領域をコア事業に据え、エンジニアリングやものづくりに取り組んでいる日立造船。同社では、環境プラント、機械、社会インフラといった領域において、遠隔監視も含めたサービス分野の拡充に貢献するために、IoTプラットフォームの構築を行っている。このIoTプラットフォームにおけるデータ処理の中核基盤として「DataSpider Servista」が活用されている。

【背景】事業の高付加価値化に貢献するIoTプラットフォームを構築

同社は、E.H.ハンター氏が1881年に大阪鉄工所として造船業を創業、今では循環型社会の実現に向けてエネルギーや水に関連した事業を中心にビジネスを展開している。船体製造や内部装置製造、配管配線など、造船で培われた高度な技術を生かし、現在はごみ焼却発電施設や水処理施設などの環境・プラント事業、舶用エンジンやプレスなどの機械事業、シールド掘進機や橋梁などの社会インフラ事業まで、さまざまな業界の発展に役立つ製品を数多く提供している。

そんな同社では、強みであるものづくりやエンジニアリングなどを生かしつつ、より高い付加価値を提供できる「サービス分野」の事業を拡大させるために、さまざまな施策に取り組んでいる。その施策の1つが、遠隔監視およびIoT/ビッグデータ分析の活動拠点となる「Hitz先端情報技術センター」の設置だ。この活動の中で、現場に設置された機械から得られるデータを収集・分析することで、新たな価値を生み出すためのIoTプラットフォームづくりが進められている。

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章氏

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長 山田 浩章氏

このIoTプラットフォームは、さまざまな事業領域のデータを収集・分析する基盤として設計されており、当初から拡張性に富んだ柔軟な仕組みが求められていた。同社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ長を務める山田浩章氏は、当時の状況を次のように振り返る。

「データを収集する基盤としては『AWS(Amazon Web Services)』を選択しましたが、収集したデータを用途に合わせて加工し、可視化ツールやデータベースなどに受け渡すことを、新たな作りこみを必要とせず、簡単な設定で行うことができるツールを必要としていました」

【導入】豊富なトリガー機能とAWSとの親和性、機能が選択できる点を評価

そこで注目したのが、セゾン情報システムズが提供する「DataSpider Servista」だった。

「プログラミングをせずにデータ処理プロセスが実装できるETLツールとしてDataSpider Servistaを知りました。GUIでの簡単な操作など、我々がイメージしているデータ処理の基盤になり得る存在だったのです」(山田氏)

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ 横田 順氏

日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT事業推進部 IoTシステムグループ 横田 順氏

DataSpider Servista以外にも複数のETLツールを検討していた同グループの横田順氏は、採用の決め手を次のように語る。

「リアルタイムにデータ収集することを念頭に置いており、AWSに対してさまざまなトリガーを備えたDataSpider Servistaが便利に使えると考えました。他にも、特定のディレクトリにファイルが格納されたときにスクリプトを実行させるなど、豊富なトリガー機能を持っており、AWSとの親和性が高かったのも大きなポイントでした」

また、データをインプットやアウトプットする際のトリガーの種類を自由に選択できたのも大きなポイントだったという。他社製品の場合、利用しない機能も多く含んでいるため、導入コストが高くなりがちだが、DataSpider Servistaであれば必要な機能だけを選択できる。そのため初期コストをおさえられる点にも大きなメリットがあるというわけだ。

【効果】新たな環境への対応が短期間で容易に、IoTプラットフォームの要として機能

現状は、同社が提供するろ過装置「フィルタープレス」を制御している「PLC(Programmable Logic Controller)」と連携したゲートウェイを経由して数百におよぶデータをAWSに送信している。

AWS上では「AWS Lambda」を経由してDataSpider Servistaにデータが送られ、一次保存用として蓄積する「Amazon S3」、外部の可視化ツールとの連携に活用される「Amazon RDS」など、各システムに適した形でDataSpider Servistaがデータを整理したうえで書き込みを行っている。アラートなど緊急性のあるデータは、DataSpider Servistaから直接可視化ツールに送り、管理者に通知される仕組みを構築している。

  • データ活用基盤の構築 - DataSpider導入後のシステム構成

    データ活用基盤の構築 - DataSpider導入後のシステム構成

今回DataSpider Servistaを利用したことで、フォーマットやタイミングの異なるデータを格納する処理が負担なく構築できたと山田氏は評価する。

「たとえ同じ機械であってもお客さまごとにセンサーデータは異なります。それぞれ違う環境でも設定だけで柔軟に対応できたのはDataSpider Servistaのおかげです。手組みでの対応ではここまで短期間に構築できなかったでしょう」

実際の構築期間はわずか1カ月。DataSpider Studio for Webを利用すれば、作業環境に依存することなく設定できるなど、使い勝手の面を横田氏は高く評価している。

「他にも、仕様書作成機能を使えば、プロジェクト全体で使われているスクリプトやアイコンの役割、変数の内容などが一目瞭然です。そのため属人化の解消にもつながり、引継ぎも容易です。また、設定するうえでのサンプルシナリオが数多く用意されており、初めてでも処理がイメージしやすくて助かりました」

現状はフィルタープレスでの利用がメインだが、将来的には同社が提供しているすべての機械を対象に、サービス分野で事業を拡張していきたいという。また、メンテナンスデータや部品の在庫情報など、基幹システムとの連携を通じて、新たな付加価値の創出にもつなげていきたいと山田氏は言う。

「データ分析を行うためには、当然データの前処理が必要になります。そこでもDataSpider Servistaが生かせるはずです。さらに、今後の拡張やサービスの安定稼働に向けて、SaaSとして利用できるDataSpider Cloudについても検討したいと考えています。そのためのIoTプラットフォームの基盤として、今後もDataSpider Servistaを活用していきたいと思います」

  • 山田 浩章氏、横田 順氏

日立造船株式会社

大阪市住之江区南港北1丁目7番89号
従業員数:10,377名(2018年3月31日現在)
創業:1881年 4月 1日

E.H.ハンターが1881年に「大阪鉄工所」として造船業を創業。日本初となる鋼船や洋式捕鯨船、タンカーの建造を手掛けるなど、造船によって培われた金属加工や機器製造、配管配線といった高度な技術を生かし、現在はごみ焼却発電施設といった環境事業から、プラント事業、水処理・産業装置事業、インフラ事業、精密機械事業、機械・プロセス機器事業まで、さまざまな業界の発展に役立つ製品を数多く提供。

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http://home.saison.co.jp/products/hulft/dataspider_servista.html

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