医療法人財団 県南病院は、茨城県土浦市に施設を持つ医療機関だ。同院では今後ニーズが高まることが予想される、回復期リハビリテーションの分野を強化すると同時に、ITによる業務効率化に乗りだすことになった。

複数メーカーからのパッケージ導入に際し、パソコンの納入を行っていたユニットコム(パソコン工房)が、システム提案、導入支援からサポートまでワンストップで対応したという。県南病院の総務担当者に話を伺う機会を得たので紹介しよう。

  • 県南病院(茨城県土浦市)

    県南病院(茨城県土浦市)

地域の健康を支える医療機関のIT化

医療法人財団 県南病院は「家族が安心して通える病院づくりを目指して」を合言葉に脳神経外科、リハビリテーション科、整形外科、内科・外科等からなる専門的かつ総合的な医療を地域に提供している。

「特に回復期リハビリテーションに関しては、地域のニーズが高まってきています。そのため、専門の病棟を設けるなど、施設を拡大しています」と語るのは、総務課 奈良由男氏(以降、奈良氏)だ。

他にも、MRI、CTといった各種検査機器を使った予約制の脳ドッグのための設備など、大型医療機器の導入もあり、同院は施設を拡大、看護師やリハビリスタッフ、看護師を始めとする職員も大幅に増員することになったのだという。

  • 地域ニーズに応えるべく、平成29年にリニューアルを実施

「それまで100名前後で運営していましたが、倍の200名に増やすことになりました。そこで、職員の管理にもITを積極的に活用していこうという話が出てきたのです」と奈良氏は語る。

IT化へ向けて動き出した同院が相談を持ち掛けたのがユニットコム(パソコン工房)だった。

「以前からPCの購入などで取引があり、具体的にどのように進めるか相談したところ、案件の整理から要件定義まで含めてすべて提案して頂けました」と当時を振り返る奈良氏。

こうして、ユニットコム(パソコン工房)が全面的にサポートする形で、県南病院のIT化を進めることになった。

マルチベンダーによるステップアップ方式のIT導入

これまで同院は、会計システム等の基幹システム以外は、手作業での業務管理が一般的だった。

奈良由男氏

県南病院 総務課 奈良由男氏

「現場の職員(看護師やリハビリスタッフ)は動き回る仕事をしているので、そもそもパソコンに触る機会も少なく、リテラシーにもばらつきがありました。しかし、手作業が中心となると業務も非効率ですし、ミスも多くなります。そのため、ITに詳しい人の主導のもと、Officeでの業務管理を進め、パソコンの数も徐々に揃えて行きました」と奈良氏は語る。

それらのPCのほとんどはユニットコム(パソコン工房)製で、院内の本格的なIT化の前に、まずはセキュリティを強化するというスキームから開始することになった。

「それまでは、店頭向けのセキュリティソフトを都度購入しており、台数が少ないうちは特に問題はありませんでした。しかし、30台を超えたあたりから管理が難しくなってきたのです」と奈良氏。

ユニットコム(パソコン工房)はこれを受け、院内端末の一元管理にも対応できるセキュリティソフト「ESET Endpoint Protection Advance」(ライセンス版)を提案した。ベンダーであるキヤノンマーケティングジャパンと共同で同製品のメリットや料金体系、管理の容易性などを説明。これに県南病院が納得し、導入に至ったというわけだ。

「これが最初のパッケージ導入になりましたね」と語る奈良氏。

続いて、同院とユニットコム(パソコン工房)は、以前から導入予定だった勤怠管理システムと、人事・給与管理システムの連携に取り組むことになった。

「まずはタイムカードで行っていた打刻を、ICカードに移行する必要がありました。当院もそのころには職員が増えていましたので、各部の部門長にお願いして、リーダー主導のもと、全職員にこれを徹底してもらえるよう進めました」と語るのは、システムのオペレーションを担当する総務課の後藤 美穂子氏(以降、後藤氏)だ。

人事・給与管理の効率化の前に、勤怠管理のシステム化を進める。こうした地盤づくりがなければ、その後のデータ運用すらあやうくなるため、同院は慎重にICカードによる打刻を浸透させていった。

「データをいかにきれいな形で集約できるか。各部門長とも相談しながら、極力人事・給与管理システムへスムーズに流れていく仕組みづくりを心掛けました」と後藤氏はいう。

基幹業務のシステム導入を開始

勤怠管理が軌道に乗ると、次は人事・給与管理システムの導入の検討を始めた。だが、ここで問題が浮上する。会計士との連携に使っている現状の会計システムが、データ同期の処理に時間が掛かってしまうのだ。

「読み込む範囲にもよりますが、データを表示するのにも時間が掛かりました。職員が増えていく中で、これではとても追いつけないということもあり、ユニットコム(パソコン工房)さんに相談したのです」と後藤氏は語る。

  • 後藤美穂子氏

    業務作業を行う様子(後藤 美穂子氏)

ユニットコム(パソコン工房)はさっそくリサーチを開始。データの出力形式が原因で、スムーズにデータ連携ができていないことがわかった。いくつかの候補の中、オペレーションを担当する後藤氏がユーザーだった経験もある「奉行シリーズ」が筆頭候補となった。

奉行シリーズは利用経験だけでなく、導入時のインストラクターが非常に丁寧であり、安心して導入することができた、という点も大きな要因であった。

相談のあった翌週にはメーカーと共に訪問。ヒアリングの結果、給与計算、人事管理、帳票作成それぞれに課題があることに加え、今年から年末調整も院内で実施することになり、早急な対応が求められていた。

例えば給与計算は、勤怠管理システムとの連携や複雑な勤務形態への対応。人事管理は部署単位での管理や、在職証明書などの発行。年末調整については、法定調書の作成とマイナンバーの管理、といった具合だ。

これらの課題に対しては、株式会社オービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」で効率化できることに加えて、コストダウンも可能であることが判明し、導入が決定した。

  • 奉行シリーズの操作画面(イメージ)

クライアントPCは、業務ソフトウェアの要件に合わせて選定を行い、データ処理が快適に行える構成を決定。

最終的なパッケージの組み合わせは給与奉行、人事奉行、法定調書奉行の3つに加え、マイナンバーサービスも追加。そのほか、次なるIT化の導入検証として、給与明細電子化サービス、年末調整申告書サービス、労務管理サービスを導入することとなった。

「導入製品が決定してからはとてもスムーズでした。実際の導入作業もユニットコム(パソコン工房)さんに全部お願いしたので、私たちとしてはインストール済みの奉行シリーズですぐに運用を開始することができました」と笑顔で語る後藤氏。

なお、製品の導入後、医療スタッフの倍増や事務スタッフの産休といった環境の変化があったものの、新システムにより業務効率が向上し、円滑に業務を進めることができたとのこと。

システム提案から導入まで、わずか一か月足らずで、システム構築までサポートし、実運用フェーズに移行できたのは、同院の全面的な協力と、ユニットコム(パソコン工房)のサポート力によるものだろう。

  • デスクには、ユニットコム製品が設置されている

    デスクには、ユニットコム(パソコン工房)製品が設置されている

さらなるITによる業務効率化を目指して

セキュリティ対策、勤怠システムと連携する人事・給与管理とマルチベンダーによるシステム導入を無事に終えた県南病院。そして、ワンストップでソリューションの提供を可能にしたユニットコム(パソコン工房)。

現在同院は、システムの本格的な運用へ向け、会計業務のデジタル化への移行を進めている。

「何十年も続いてきた医院の文化なので、これまでのやり方をすぐに変えることはしていません。アナログからデジタルへ、職員のみなさんの理解をいただきながら少しずつつ進めていければと思います」と奈良氏。

「例えば、給与明細をスマートフォンで確認することに対し、受け入れやすい方とそうでない方は当然いますし、それは人それぞれだと思います。現状でも、200名分の給与明細の専用封筒への封入は手作業で行っていますので 、みなさんの総意を得ながら、マニュアル作業を減らしていきたいですね」と語る後藤氏。

  • 現在はスマートフォンを使った給与明細の電子化を試験導入(イメージ)

病院が一体となってIT有効活用へ向けて、一歩ずつ歩を進めるのが県南病院の方針なのだ。

県南病院では、現在の人事・給与システムを本稼働させてさらなる業務効率化を目指すとともに、各部署でもITによる業務効率化を推進していく予定になっている。

「すでに導入しているノートPCは各部署が持ち運び用として研修やeラーニングに活用しています。特に若い世代が多いリハビリスタッフからは、タブレットPCの導入を望む声が多く、私たちとしても進めていきたいと考えています」と奈良氏。

同院の電子カルテ化はもちろん、患者情報や画像を使ってのスタッフ間連携など、現場からはモバイルデバイスへのニーズが高まっているのだという。県南病院のIT化は今後もますます活発化していくことが伺えるエピソードだ。

「ユニットコム(パソコン工房)さんには、ソフト、ハードを問わず、ITに関することならなんでも相談しています」と語る奈良氏。

「わからないことはすべて答えてもらえるのでとても頼りになります。全面的に信頼できる会社ですね」と後藤氏も言葉をつなげる。

今後も地域住民の健やかな日常のために、信頼の医療とニーズに合わせたサービスの拡充で応えていく県南病院。ユニットコム(パソコン工房)も同院のIT化を陰で支えるべく、精いっぱいのサポートを続ける。

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