医療IT技術とソリューションを提供するインターシステムズは、「Bring Together The Information That Matters すべての大切な情報を利用可能に --AI・IoT時代における医療健康情報利用にあたっての課題とソリューションを考察する」をテーマに、「InterSystems in Healthcare Seminar 2018」を開催した。

現在、病院内のシステムだけでなく、製薬会社や遺伝子研究所、社会福祉協会、政府官公庁、ホームデバイスやモバイルデバイスなど、さまざまなところに医療データが分散している。それらの分散されたデータを人工知能(AI)やIoT、クラウドなどの先進テクノロジーを活用して、共有することが求められているのだ。インターシステムズでは、停止することが許されない医療アプリケーションの基盤となる、最新技術に対応した医療ITプラットフォームを提供。全世界5億人以上の医療と健康を支えている。今回のセミナーでは、すべての医療情報に、必要なときに、必要な人が容易にアクセスするための課題とソリューションについての考察が行われた。

医療情報連携のハブにHealthShareを採用した岩手医科大学

岩手医科大学 総合情報センター 副センター長 口腔顎顔面再建学講座 歯科放射線学分野 教授 放射線医学講座 兼担講師 田中良一氏

岩手医科大学 総合情報センター 副センター長 口腔顎顔面再建学講座 歯科放射線学分野 教授 放射線医学講座 兼担講師 田中良一氏

最初のセッションには、岩手医科大学 総合情報センター 副センター長で、口腔顎顔面再建学講座 歯科放射線学分野 教授 放射線医学講座 兼担講師である田中良一氏が登場。「ミドルウェアは医療情報連携のHUBとなり得るか? --システム統合に向けた取り組みと展望」と題した講演を行った。

現在、岩手医科大学は4つの附属病院で50以上のシステムを運用している。2019年9月に矢巾町(岩手県紫波郡)に新しい附属病院を開設することから、地域に広がる4つの病院の医療情報システムを統合することが必要だった。具体的な取り組みとして、まずは2017年に電子カルテシステムの更新と放射線画像システムの更新を実施したという。

同時に、仮想化によるハードウェアリソースの有効活用も実現している。仮想化基盤によるシステム統合では、サーバーの仮想化、およびストレージの仮想化をメインに実施した。 サーバーの仮想化により、CPUやメモリも有効活用を行い、また障害時には、ほかの物理サーバーにすぐに仮想サーバーを移せるので、障害により停止しない仕組みを実現。そのほかサーバー設置スペースや電力消費量も削減した。また、ストレージの仮想化により、複数の物理ストレージの統合管理が可能になり、データ量に応じた適切なストレージを確保と動的な拡張や可用性も向上する。

一方、これまでの病院情報システムは、電子カルテシステムを頂点に、部門システムと下位システムがピラミッド型に構成されていた。また、自社システムのみでの環境構築を優先したため、それぞれのシステムが統合されておらず、医療データが各部門のシステムに分散してしまうといった課題を抱えていた。

  • 従来の病院システムのコンセプト

「新しい病院情報システムでは、部門システムを統合し、電子カルテシステムと横並びで連携させています。また統合部門システムと電子カルテシステムの間に、ミドルウェアを置き、ミドルウェア上でトラフィックを管理することで、部門システムごとの接続設定を不要にしています」(田中氏)

  • 新病院情報システムのコンセプト(1)
  • 新病院情報システムのコンセプト(2)

ミドルウェアを活用するメリットについて、田中氏は次のように語る。「ミドルウェアを利用することで、相互接続性に冗長性を持たせることができます。また、どこで、なにが、どのように動いているのかを的確に把握することも可能です。さらにシステム間の接続をやり直すことなく、機能の追加や制御ができるのもメリットの1つです」

新しい病院情報システムのミドルウェアとして、岩手医科大学が採用したのが、「InterSystems HealthShare Health Connect」だった。

「HealthShareをハブとして導入し、電子カルテシステムと部門システムを同格のシステムと位置づけて連携しています。数多くの標準インタフェースを搭載しているので、接続が容易で、国際標準規格に合った連携に備えることができます。一番の懸念は、ミドルウェアの介在とサーバーを遠隔地に設置していることによるパフォーマンスの低下ですが、ユーザーがパフォーマンスの低下に気付くことができない程に、十分なパフォーマンスを得られています。」(田中氏)

今後はHealthShare Health Connect上に、InterSystems NLPを利用した診療情報連携チェックシステム、診療判断支援システム(CDSS)などを実装する取り組みを開始しており、また、将来的にはHealth Connectから 地域連携情報交換プラットフォームHealthShare Information Exchangeを軸とした地域医療連携システムへの拡張を計画している。 医療データを溜めるのが目的ではなく、活用する仕組みの実現が重要であり、新しい標準規格であるFHIR(Fast Health Interoperable Resources)にも期待していると話す。

  • 新基盤整備におけるミドルウェアの役割

最後に田中氏は「データ交換基盤としてミドルウェアは重要な意味を持ちます。ミドルウェアをハブとしてシステム連携することで、ミドルウェア上の開発は資産として継続できます。HealthShare Health Connectは将来的な地域医療連携など、大規模連携の基盤としての拡張性や柔軟性も期待しています」と話し、壇上を後にした。