クラウド関連サービスを中心に事業を展開している株式会社HDEでは、「Salesforce」を「Googleスプレッドシート」、「Sansan」と連携させ、日々、Salesforceに蓄積される情報を営業スタッフに提供、自由に活用できる体制を整えた。同社ではこのシステムの活用を促進・定着させていくことで、営業部門の分析力向上と効率化を目指している。システム間の連携にはクラウド型データ連携サービス「DataSpider Cloud」を利用し、すべて自社内で開発している。

この構築の背景や具体的な仕組み、連携による効果などについて、HDE クラウドセールス&マーケティング ディビジョン デジタルインテリジェンスセクション ディビジョン副統括 兼 セクションマネージャーの水谷 博明氏と同セクションの高村 祐司氏に話を聞いた。

属人的な営業脱却の第一歩として

1996年にソフトウェア開発企業として設立したHDEだが、2011年からはクラウド向けサービスにも事業を拡張。同年サービスを開始した「HDE One」は、Office 365、G Suite、 Salesforceなどに包括的なセキュリティを施すクラウドサービスとして好評を得ている。現在では導入企業は4,000社、ユーザー数は350万人を超え、この分野で7年連続トップシェアを誇る。

HDE Oneのサービス開始当初は、日本でクラウド活用が進み始めた時期と重なったこともあって、需要は大きなものだった。しかし次第に市場は落ち着き始め、昨今は訪問営業やテレアポだけでは受注が取れなくなってきたという。

こうした事態を打開するために、HDEのデジタルインテリジェンスセクション(以下、DIセクション)が中心となって、2018年、ひとつの目標を打ち出した。それが「営業3.0プラットフォーム(以下、営業3.0)」への到達だ。同社では、スタッフの勘を頼りにした営業が「営業1.0」、全営業スタッフがデジタルツールを利用して情報の共有・管理を行えるのが「営業2.0」、そしてコミュニケーションにもデジタルツールを活用、データに基づいた営業活動を行える段階が「営業3.0」と定義している。

DIセクションでは、もともと営業スタッフが入力した各種データを、Salesforceでレポート化し、そのデータを必要に応じて提供していたが、今回のSalesforceとGoogle スプレッドシートの連携システムはこのレポーティング業務の効率化を実現する一環として構築したという。

株式会社HDE クラウドセールス&マーケティング ディビジョン デジタルインテリジェンスセクション ディビジョン副統括 兼 セクションマネージャー 水谷 博明氏

株式会社HDE クラウドセールス&マーケティング ディビジョン デジタルインテリジェンスセクション ディビジョン副統括 兼 セクションマネージャー 水谷 博明氏

「営業スタッフに話を聞くと、SalesforceのデータをExcelに貼り付けて、独自の方法で可視化したり分析したりしているということでした。それなら我々がレポート化するよりも、Salesforceの様々なデータを、営業が普段使っているようなスプレッドシートに入れて渡した方が、より的確な分析ができ、セールスイネーブルメントにもつながるだろうと考えました。そこでSalesforceのデータをGoogle スプレッドシートに自動で書き出すシステムをつくることにしたのです」(水谷氏)

水谷氏はこのシステムで、Salesforce特有の「オブジェクトをまたいだデータは、レポートとして一括処理できないパターンがある」という問題も解決できると考えていた。各オブジェクトが持つレコードをスプレッドシートに書き出してしまえば、データの紐づけや、それらを組み合わせた複雑な分析も、スプレッドシート側で処理できるようになるからだ。

少数スタッフだけで短期間に連携構築を実現

連携ツールにはSalesforceとGoogle スプレッドシート、双方のアダプタが用意されているDataSpider Cloudが採用された。同製品の販売・サポートを手がける株式会社テラスカイから、デモを交えながら連携方法の説明を受け、水谷氏はすぐに「これなら我々のやりたいことが実現できそうだ」と感じたという。

開発期間はわずか1ヶ月、テラスカイのサポートなしに社内スタッフ2名だけで、実用に足る連携をつくりあげることができたという。

株式会社HDE クラウドセールス&マーケティング ディビジョン デジタルインテリジェンスセクション 高村 祐司氏

株式会社HDE クラウドセールス&マーケティング ディビジョン デジタルインテリジェンスセクション 高村 祐司氏

開発を担当した高村氏は「Salesforceから送り出された最新データで、スプレッドシートの既存データが上書きされないよう、構成に注意が必要な部分もありましたが、DataSpider Cloudはプログラムが不要なので作業はスムーズに進み、短期間で思うような連携を図ることができました」と当時を振り返る。

DIセクションでは、この連携システムで毎日定時にSalesforceの最新データをスプレッドシートへ書き出し、営業部門の活用を促進している。Salesforceの知識がなくても、日次・月次のデータを自由に加工できるので、営業スタッフが分析に利用するだけでなく、マネージャーが全体状況を把握するのにも役立てられている。

また、顧客のエリア・業種別に営業の進行状況を一覧化するなど、以前なら手作業で数時間かけて作成していた「複数オブジェクトをまたいだ統計レポート」も、DIセクションが新システムで作成・公開して、営業計画の立案を支援している。

現在、この連携システムによるデータ提供は、主にインサイドセールス部門向けに行われているが、近くフィールド営業や既存顧客営業などの支援にも役立て、デジタルツール活用のさらなる促進を図っていく考えだという。

名刺データのクレンジングにも、DataSpider Cloudを活用

同社では長らく、名刺管理ソフトSansanとSalesforceの該当データをcsvに書き出してExcelに貼り付け、手作業で重複排除やセグメントなどを行っていた。しかし約1,000~1,200のデータを精査するこの作業は、月に1回、4~5時間もかかるものであったため、自動化による負荷軽減と時短が望まれていた。

そこで、データのクレンジング、つまりSalesforceの取引先および取引先責任者のデータと、Sansanに入力されたデータとの照合・整理の作業にもDataSpider Cloudを利用することを決めた。

「当初は、Sansan側にあるSalesforceとの連携機能(アプリ)を利用したのですが私たちが求めるマージ機能がなく、思うような結果が得られませんでした。そこで、SansanとSalesforceの取引先および取引先責任者のデータをDataSpider Cloudで抽出し、重複排除や、セグメントに必要な企業情報の紐付け加工などを行った上で、Google スプレッドシートに書き出しています。ここまでが自動化されたので、作業時間はわずか1時間に短縮することができました」(高村氏)

作業時間と負荷が減ったことで、月1回だったデータクレンジングは週1回にペースアップし、名刺データをスピーディに営業活用できるようになったという。

ますます重要な存在となるデータ連携ツール

水谷氏は、今後もDataSpider Cloudを活用する機会は多いだろうと語る。

「『営業3.0』到達に向け、我々は今後も様々なツールを導入して、それが現場に定着するよう支援を行っていきます。導入するツールの数が増えても、DataSpider CloudがあればすべてをSalesforceに結び付けられ、データの一元化管理体制を維持できるというのは、大きなメリットです」

営業活動の強化・効率化にBIツールを有効活用するには、ITや統計手法に関する知識・技術に加え、経営や業界の動向にも精通したスペシャリストが欠かせないが、人材不足は深刻化の一途を辿っているのが実情だ。将来的にはHDEの「営業3.0」のように、営業スタッフ自らがデジタルツールを活用してBIを行える環境を整えることが必要となってくるかもしれない。

  • 水谷氏、高村氏

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