昭和23年に起業し、工業用ファスナー・リベット製造販売、電子部品用チップキャリアテープ製造販売、そしてIT関連ソフトウェア開発販売などの事業で幅広いシェアを持つ三徳商事株式会社。現在、同社が培ってきたノウハウを存分に活かしたVRサービスに注目が集まっており、ユニットコム(パソコン工房)のノートPCもそのサービスに貢献しているという。どのようにユニットコム製品が活用されているのか、お話を伺う機会をいただいたので紹介しよう。
安全、安心な社会を実現する三徳商事
三徳商事は、電子部品業界をはじめ、官公庁や教育機関等にも幅広く顧客を持つ企業だ。安全、安心な社会を実現するために様々なサービスや製品を開発、活動を続けている。「情報機器事業部ではソフトウェア開発を行っています。地殻応力センサーなどのマイコンと機械加工の技術を活かした製品などを提供してきました」と語るのは東京支店 情報機器部 部長の松田進氏だ(以降、松田氏)。
センサーやソフトウェア開発、画像処理技術の提供などで多くの顧客を持つ情報機器部では、近年それらのノウハウを活かしたVR訓練シミュレーターを提供している。
「様々な業界へ向け、安心・安全のために活用できるVR訓練シミュレーターを提供してきました。あらゆる災害に対応、あるいは予防できるよう製品開発および製造販売を進めていく中で、シミュレーターを持ち運び、移動させたいというニーズが出始めてきたのです」と松田氏は語る。
シミュレーターはいわゆる設置型が多く、機械装置とコンピューターを部屋などに据え置きとして取り付けて活用するケースがほとんどだ。しかし、遠隔地に拠点を持つ組織の場合、据え置き型のシミュレーターを使うために設置場所まで出向かないとならず、出張費用や利用者の時間確保など、負担がかかってしまうこともあったのだという。
「これまではソフトウェアの実行用のコンピューターとして、デスクトップPCやワークステーションを利用してきました。ですが、昨今はノートPCのスペックも高くなっているので、それらを使ってモビリティ能力を持った製品を開発することにしたのです。しかし、これがなかなかの苦戦でした」と当時を振り返る。
当初はVRシステムに必要な要件を満たすノートPCがなかなか見つからず、最終的には海外製の製品を導入することになった。しかし、トラブルが絶えず、不具合も多発したのだという。「修理対応が悪く、年間で6回も故障したこともありました。また、サポート対応も拙悪で、こちらが故障箇所を特定しても違うところを直していたり、そもそも修理すらされていなかったケースなどが多々発生していたのです」と、苦労を語った松田氏。
国産ブランドの強み
現在、三徳商事が提供するVR訓練ソリューションの主力は労働災害などの事故を撲滅するための体験学習をする「RiMM(シナリオ生成&体感)」だ。
通常、人間は視覚に頼って生活することが多いが、事故などの突発的な出来事のときには、これに加えて聴覚や臭覚、あるいは触覚などの感覚も鋭くなる。「例えば、火災のときのにおいや熱さ、落下事故のときの重力や風圧など、そういった要素が加わることで、脳はよりリアルに感じるのです」と松田氏。
RiMMはVRによる視覚情報はもちろん、そのほかの五感への情報を被験者に与えることで、よりリアルさを持たせた“体験”が実現できるのが特徴だ。VRによる高い再現性に加え、同社が持つソフトウェア開発力や各種センサーの技術を取り入れることで、RiMMは実体験に近い感覚を再現することができるというわけだ。
そして、それを再現するのに欠かせないコンピューターの要件として、「モーションキャプチャなどをリアルタイムに処理する高性能なCPU」、「高品質なVRの映像を高速描画できるGPU」、「必要なデバイスから最高速度でデータを転送するインタフェース」の3つを挙げた。さらに、RiMMで使うコンピューターは先ほども触れたように一定のモビリティ能力も求められるため、筐体はノートPCに限定される。
「以前の教訓を考えると、おのずと選択できる製品は少なくなります。弊社がこれらの要件を考えていきついたのが、ユニットコム(パソコン工房)の製品だったのです」と松田氏は語る。
三徳商事が最終的にいきついたのは、パソコン工房のゲーミングPCブランド「LEVEL∞」の「LEVEL-17FG101-i7-VNRVI」だった。 ※現在はビジネス向けモデルの「SOLUTION-17FG101-i7K-VNRS」も発売中。
決め手のひとつは、国産ブランドの製品であることだという。「製造業のお客様を対象にしていますので、製品の品質はもちろん、トラブル時のサポートに敏感な方や、期限内に導入できる供給力を求める方が多くいらっしゃいます。そんなとき、やはり国産ブランドであることは、それだけで大きな安心感につながります。また、実際にお取引を通じて、ユニットコム(パソコン工房)の供給力や優れたサポート体制は信頼できるものだと確信できました」と松田氏は語った。
もちろん、製品自体の圧倒的なハイパフォーマンスも導入の理由のひとつとなる。CPUにはCore i7-8700が採用され、シミュレーターのリアルタイム処理に余裕をもって追従が可能。また、GPUにはNVIDIA GeForce GTX 1080が採用されており、3Dによる高速描画と高いエフェクト処理能力を実現する。さらに提供されるUSB 3.0のコントローラーも信頼性の高いインテル製チップを搭載、とまさに同社がノートPCに求めていたすべてが高次元でまとまっていたのだ。
仮想体験から意識改革を促進
RiMMは、専用ソフトウェアがプリインストールされたLEVEL-17FG101-i7-VNRVIおよび、仕様に合わせたモーションキャプチャなどのデバイス、VRヘッドマウントディスプレイなどを特製コンテナに格納した形で提供される。
「現場では、各色で分けられた接続端子とポートを合わせて差し込むだけで簡単に誰でもセッティングできます。PCを起動すれば最初の画面に専用ソフトウェアが立ち上がるようになっているので、いつでもRiMMによる災害訓練が行えます」と松田氏。あわせて、専用のマニュアルなども提供されるので、実際のオペレーションで迷うことはほぼ無いので安心だ。
RiMMで提供できるシチュエーションは実に多彩だ。例えば落下シミュレーションでは、工場内にある地上高15mの足場の上に立ち、メンテナンスを行うシチュエーションが用意されている。体験者はアナウンスに従い、工具を取りに行くのだが、不意に足場が落ちる喪失感と、風圧を感じながら落下する状況を体験することになる。
「実際にはシミュレーターの足場が数センチ程度落ちると同時に、手すりにセットされているエアダスターから空気が噴き出ます。VR空間でもこれに合わせて天地が逆転し、15メートルの足場から落下する様子が再現されます。わずか1秒程度の出来事ですが、まさに転落事故を起こしたかのような体験をするのです」と松田氏。
このほか、工場内の電気基板を交換するシミュレーションでは、基板からの漏電を手袋に内蔵された電極を通して、実際に微弱な電流を感じさせることで、電気のショート事故を再現するなど、RiMMでは実に様々なシーンが用意されている。
「通常、VRテクノロジーでは楽しいことや、面白い体験をするイメージがありますが、RiMMでは思い切り『嫌』なことを体験してもらいます。それによって体験者に注意喚起を促し、“気づき”を持ってもらうのが目的です」と松田氏。
▼落下シミュレーションの体験者から見えている映像
▼感電事故シュミレーション時に、体験者から見えている映像
落下事故を体験すれば、慣れた作業でも安全帯を必ず確認するようになるし、ショート事故を体験すれば、主電源のオフを繰り返しチェックするようになる。言葉や気持ちでは理解していても、なかなか徹底できないからこそ頻発する事故。それを仮想空間で体験しておくことで、若手からベテランまで、本当の意味の「安全、安心」を心に刻むことができるようになるというわけだ。
RiMMによる効果は絶大で、導入企業数は爆発的に増えているという。「年度単位で倍の受注をいただいています。ユニットコムのご協力もあって、今のところ急な受注でも対応できています」と松田氏は語る。ユニットコム(パソコン工房)のメーカーとしてのサポート力や製品供給力、営業対応も、三徳商事のビジネスを陰で支える助力となっているのだ。
「今は労働災害向けのシチュエーションが多いですが、すでに自然災害やパンデミック、テロといった人的災害にも効果があることが実証されています。いままでの訓練シミュレーターでは再現が難しかったシチュエーションでもVRと五感に訴えることができるRiMMなら様々な業種での災害訓練に応用できるはずです」と松田氏は語る。VRならではのリアリティのある疑似体験と、それらを簡単に移動させられるノートPCをパッケージにしたRiMMは、まだまだ高い可能性を秘めているのだ。
「今後は、あらゆるシーンに合わせた『教育』という側面でのアプローチも考えています。意識改革に大変役立つことが分かったので、次は教育にも役立てるようなサービスを考えています」と明るい未来を語る松田氏。ユニットコム(パソコン工房)は今後も同社のビジネスを支えるため、サポートを続けていく。
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