テクノロジーの進化によって日々生み出される大量のデータ。SNSの普及、デバイスの多様化、IoTの広がり、そしてAI。多種多様なデータが無秩序に放り込まれたデータの沼を、いかにして価値あるものに浄化させ、経営戦略の重要な資源に変換できるかが、企業活動の未来図を左右すると言っても過言ではないだろう。

本記事では、2018年7月27日 グランフロント大阪のマイナビルームにて開催された「マイナビニュースフォーラム 2018 Summer for データ活用」におけるインフォマティカ・ジャパンとアルプス システム インテグレーションの合同セッション「データがもたらす、破壊的パワーをその手に。」の内容を紹介し、そこで語られた「データレイク整備」について解説する。

データ3.0時代の到来

インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部 シニアセールスコンサルタント テクノロジーエバンジェリスト 宇津木太志氏

インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部 シニアセールスコンサルタント テクノロジーエバンジェリスト 宇津木太志氏

まず登壇したのは インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング部 シニアセールスコンサルタント テクノロジーエバンジェリスト 宇津木太志氏である。

米カリフォルニア州に本社を持つインフォマティカは、データ統合やデータマネジメントに関する各種ソリューションをグローバルに展開している。宇津木氏は、データレイク、IoT、AI、クラウド型のデータマートなど、多種多様な新しいシステムが次々と登場している今の状況を指して「データ3.0時代の到来」と称した。

データ1.0 (1960~2000)
個別の業務アプリケーションでのデータ連携・統合
データ2.0 (200〜2015)
企業全体の経営資産としてのデータマネジメント
データ3.0 (2015〜)
デジタルトランスフォーメーションのためのデータ活用

先述のとおり、昨今はIoTデータやオープンデータなど、さまざまな形式のデータを扱わなければならない。そのためデータ活用の現場では、分析環境がサイロ化してしまい、その所在が把握できず、結果としてユーザーへのデータ供給が追いつかない悪循環に陥るケースも多い。

そして、そのしわ寄せはそのままユーザーにも及ぶ。「そもそも求めるデータが見つからない」、「データのサイロ化により部門をまたいだアウトプットができない」、あるいは「必要なデータがIT部門から提供されるまで時間がかかる」、「そもそも信頼できるデータなのかがわからない」など、いくつもの悩みを抱えることとなる。このような環境下では、データを活用し、次のアクションや、戦略に結びつけることは難しい。宇津木氏は、この課題の打開策として、データの流通効率化を図る「配水地」、データの品質管理のための「浄水場」、あらゆるデータを集約する「貯水池」という3つのコンセプトを提唱した。そして、その中でも、データ利活用において特に重要な施策として、データレイクの整備にフォーカスした。

データレイク整備を実現する3つの柱

データレイクとは、「多種多様なデータを収集・蓄積し、必要な際には即座に取り出せる領域」のことを指す。データレイクが未整備の状態では、必要な時に必要な情報が取り出せない。

宇津木氏によると、データレイクを整備するには「データ供給」「データガバナンス」「データ統合処理」の3つが重要であるという。

「データ統合」は、データレイクに効率的にかつ適切なタイミングでデータを流し込む仕組みのことを指す。「データガバナンス」は、データレイクに流し込まれたデータが、誰が作成し、どこから流し込まれたのかがわかるように管理することを指す。「データ統合処理」は、ユーザー自身が加工・変換を行う、いわばラストワンマイルの処理を指す。

「3つの柱、それぞれを実現する機能が、一つのプラットフォームでシームレスに動く。それが、私たちインフォマティカが提供するデータ3.0時代に対応した、『Intelligent Data Platform(インテリジェントデータプラットフォーム)』です。」(宇津木氏)

セルフサービスアナリティクスを促進するインフォマティカの「データカタログ」ソリューション

当日の講演では、インフォマティカが提供するデータプラットフォームソリューションの中でも、「特に引き合いが多い」とされる「データカタログ」について、具体的なデモが行われた。

「データカタログ」は収集・蓄積されたデータをユーザー自身が検索、内容・履歴の確認、そしてデータ間のつながりから関連性のあるデータを探し出すといったことが可能なソリューションである。

ブラウザに表示された検索ボックスにキーワードを入力すれば、それだけで必要なデータにたどり着くことができる。なお、具体的な操作画面については以下の「インフォマティカ・ジャパン」のwebサイトにあるムービーをご覧いただきたい。

インフォマティカ・ジャパン webサイト

https://www.informatica.com/jp/products/big-data/enterprise-information-catalog.html

データを整備するのは「今」

今後はデータの量だけでなく、品質、クオリティが求められる。また、どれだけデータが集まっていても、データが整備されていなければ使い勝手も悪く、活用も進まない。そして活用されなければ、データの質も向上せず、量も集まらない。

宇津木氏は最後に、「データ活用を進めたいのなら、今すぐにデータレイクの整備に手をつけるべきです。ただ、いきなりすべてに手をつけるのは大変です。ですから、詰め込みすぎず、まずはできるところから手をつけることをおすすめします。小さく始めて素早く育てる。それがデータレイク整備を成功に導くことにつながります」と語り、講演を締めくくった。

事例紹介「グローバルなデータ活用を実現したアルプス電気」

講演の後半では、インフォマティカのソリューションによってデータ活用に関するグローバルな課題を解決した事例として、アルプス電気がグローバルでデータを活用するために実施した取り組みと、今後の展望について、アルプス電気グループのシステムインテグレーターである、アルプスシステムインテグレーション 製造流通ソリューション事業部 ソリューション営業部 関根千寿氏が紹介した。

アルプスシステムインテグレーション 製造流通ソリューション事業部 ソリューション営業部 関根 千寿氏

アルプスシステムインテグレーション 製造流通ソリューション事業部 ソリューション営業部 関根 千寿氏

アルプス電気は、日本を核にアメリカ、ヨーロッパ、アセアン、韓国、中国に開発・生産・販売拠点を持つ、車載、モバイル、エネルギー市場に製品を供給している電子部品メーカーだ。

グローバルで拠点を持つ同社では、「拠点ごとにデータが点在してグローバルでのデータ分析が進まない」、「システムが老朽化・複雑化している、業務プロセスが統一されていない」など、さまざまな課題に直面していた。

このような状況を解消するためにアルプス電気では「グローバルで統一された(グローバルワンインスタンス)システムの導入」と仕事の仕方を標準化して生産革新を実現する「全社単位での構造改革プロジェクト」をスタートさせた。そして、そのために選択されたのが、接続性と開発生産性に優れたインフォマティカのソリューション「Informatica PowerCenter」だった。

このプロジェクトによって、グローバルでのデータ活用が進むこととなった。具体的には、自動車開発で必須となるトレーサビリティの実現、グローバル管理会計の確立、グローバルKPIの設定、などが実現できたとのことだ。ちなみに、グローバル会計管理の例では、グループ全体の月次会計が稼働三日で達成できるほど効率化が進んだとのことだ。

最後に関根氏は、データ利活用の基盤に求められる要件として 「データをすぐに取り出せること」、「どこに、どのようなデータがあるかを誰でも把握できること」、「データ利活用への強い想い」の3つを挙げた。中でも、特に強調したのが3番目の「データ利活用への強い想い」である。

「プロジェクトを遂行するにあたっては、各事業部からの反発も少なからずありました。ですが、なぜ必要なのか、どんなメリットがあるのか、それを根気よく伝えていくうちに理解も進んでいきました。どんなに素敵な仕組みがあっても、使ってもらえなければうまくはいきません。ですから、みんなに使ってもらうために、想いを伝える。それが一番重要なことだと今は感じています」

初めてのデータ統合プロジェクトの開始から、ミッションクリティカルなエンタープライズ環境への導入まで、データ統合ライフサイクル全体をサポートします。

■Informatica PowerCenter
https://www.informatica.com/jp/products/data-integration/powercenter.html

■アルプス システム インテグレーション webサイト
http://www.alsi.co.jp/

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