オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパンは9月14日、「オスラム オプトセミコンダクターズ ジェネラルライティングセミナー2018」をグランフロント大阪のマイナビルームにて開催する。

本セミナーでは、照明器具に携わるメーカー関係者などを中心に、一般照明用LEDに関心のある幅広い層に向けて、同社の技術と製品群の特徴を詳しく解説していく予定だ。

屋内照明、店舗照明、屋外街路灯といった一般照明用LEDの主要アプリケーションの解説に加えて、今後の市場拡大が予想されている植物育成用光源についても大きく取り上げる。本稿では、当日登壇する講師への取材をもとに、予定されているセッションの概要と注目ポイントについてお伝えしていく。

関西地区の幅広い企業に向けて技術力をアピール

まず、今回のセミナーの開催目的について、同社ジェネラルライティング セールス&マーケティング マネージャーの竹内健吾氏に話を伺った。

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング セールス&マーケティング マネージャー 竹内健吾氏

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング セールス&マーケティング マネージャー 竹内健吾氏

現在、同社は「一般照明」「車載」「インダストリアル&モバイル」の3事業体制をとっている。その中でも、一般照明用LED事業はここ数年間特に力を入れている分野である。今回のセミナー開催も、同社の一般照明用LEDの日本における認知度をさらに上げていくことが狙いだ。

「当社については、車載分野に強いLEDメーカーというイメージをもたれている方が多いと思いますが、現在は車載用途だけでなく、一般照明用途に非常に注力していることを、日本のお客様にもっと知っていただきたい。これがセミナー開催の大きな目的です」(竹内氏)

セミナー開催地を大阪とした理由については、この地域に照明機器を手がける企業が特に多く集まっていることを挙げた。横浜を本社拠点とする同社としては、こうしたセミナー活動などを通して「LED照明といえばオスラム」というブランドイメージの普及に努め、関西地区での認知度をよりいっそう高めていきたいためだ。

関西地区には、主要取引先である大手顧客以外にも、同社としてまだ把握しきれていない中小の照明関連企業が多数あると考えられるため、そうした企業との接点を作るきっかけとしてもセミナーに期待しているという。

「一般照明分野でも、当社は業界をリードできるテクノロジーを市場に提供しています。セミナーでは、具体的なテーマを4つほど設けて、当社の技術と製品を紹介していく予定です」(竹内氏)

植物育成、COBなど、各セッションの概要と注目ポイント

今回のセミナーでは、「一般照明用LED製品群の特徴」「植物育成用LED光源」「COB(チップオンボード)」「WEBツールの活用」という4つのテーマについてそれぞれセッションを設け、詳しく解説していく予定だ。各セッションの概要と注目ポイントについて、同社のジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤信宏氏に伺った。

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤信宏氏

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤信宏氏

1. 一般照明用LED製品群の特徴

屋照明用途で汎用LEDとして使われているローパワーからミッドパワーにかけての製品群の中で、同社は現在特に「2835タイプ」の製品にフォーカスしている。現行の2835製品の効率は185lm/Wとなっているが、2019年初頭には195lm/Wに迫る効率の新製品をリリースする予定であるという。

「ロー・ミッドパワーのLEDでは、競合他社から5630タイプや3030タイプなどで210lm/Wといった高効率の製品が出ています。そうした製品も我々はもちろん揃えていますが、今後の市場の動きとしては、より小型でパッケージ共通化などによるコストメリットの出しやすい2835タイプが主流になっていくと見ています。このため当社では、2835タイプでの高効率化を進めているところです」(佐藤氏)

2835製品のもうひとつの特徴は、熱抵抗が10K/Wを下回る低い値を実現していることである。競合他社の2835製品の多くが熱抵抗10~20K/W台であることと比較すると、照明器具のシステム全体で見たときの熱対策コストを軽減できると考えられる。

同社はクリム工場(マレーシア)への設備投資を進めることで、汎用品の量産による低コスト化にも積極的に取り組み、性能だけでなくコスト面でも優位な製品を提供していく方針であるという。

上記の2835タイプはコンシューマ向けの汎用品という位置づけであるが、これとは別に3030タイプの新製品「OSCONIQ S 3030」も用意しており、こちらについてはプロフェッショナル仕様と位置づけている。特徴は7万5000時間という長寿命を実現していることであり、寿命4万時間~6万時間の汎用品に比べて、より長期安定性を持った製品となっている。演色性能については、CRI(Color Rendering Index:演色評価指数)70、80、90のラインナップを揃えていくという。

「こちらについては効率よりもむしろ光束を重視しており、例えばCRI70の製品については、1Wクラスで光束typ. 150lmのものを今年中に量産開始する計画です」(佐藤氏)

その他、今回のセミナーでは個別セッションは設けられていないものの、ハイパワー製品のラインナップとして「OSLON」「OSCONIQ P」「DURIS S 8」などの新シリーズも紹介する予定だ。当日の講演ではロー・ミッドパワーからハイパワーまで、同社の幅広い製品群の最新情報について詳細に説明していくという。

2. 植物育成用LED光源

植物育成用LEDの国内市場は植物工場の新設などにより今後も大きく拡大が見込まれる領域である。植物育成用LEDにおいては、青色光と赤色光の波長が鍵を握る。波長でいうと青は450nm(ディープブルー)、赤は660nm(ハイパーレッド)と730nm(ファーレッド)といった光が使われる。植物の種類や、成長過程によって、青と赤の成分比や照射時間をコントロールする必要がある。同社ではさまざまなカラーバリエーションのLED製品を揃えており、植物育成に必要とされるこれらの波長をすべてカバーしている。

「一般的に赤い波長の光は高出力化が難しいのですが、当社の場合、赤外LEDなど可視光の赤よりもさらに長波長側の製品を長年手がけています。その技術があるため、可視光の赤についてもハイパワーの製品を提供できるようになっています」(佐藤氏)

ハイパワー製品では「OSLON SSL」「OSLON Square」などが植物育成用に利用されており、これらは大規模な植物工場での使用を想定している。LEDの個数を減らしても植物育成が可能になるような高出力の製品として訴求していくという。また、配光角についても80°のものと、より広い150°の製品が用意されており、必要に応じて使い分けることができる。ミドルパワー製品では「OSCONIQ」シリーズが、植物育成向けのカラーバリエーションを揃えている。

大規模な植物工場で使用されるLED照明だけでなく植物育成の新規市場として同社が注目しているのが、家庭のキッチンに置けるような小型植物育成キットであるという。

家庭用キットで使われるLEDには、大規模植物工場向けに比べるとより低価格の製品が求められる。こうした要求に対しては、1つのパッケージで植物の育成に必要な波長を網羅し、コストパフォーマンスを向上させた製品などを提供していくという。

「セミナーでは、LEDを使った植物育成に関心のあるお客様や、これから植物育成をはじめたいと考えている方に対して、必要なアプリケーションの紹介や光源選定の方法などをお話させていただく予定です」(佐藤氏)

3. COB(チップオンボード)

COB(チップオンボード)タイプのLEDは、基板上に複数のLED素子を並べてモジュール化したもので、アルミ基板にLED素子を直接載せるため、放熱性に優れた高輝度の発光を実現できるという特徴がある。用途としては主に店舗内でのスポットライト、ダウンライトなどに使われている。

同社開催のLEDセミナーで、独立したセッションテーマとしてCOBを取り上げるのは今回が初めてとのことで、この分野への同社の注力度の高さがうかがえる。

「現在、COB国内最大手メーカーと競合する製品を幅広く揃えてきているところです。セミナーでは、当社COB製品群の紹介に加えて、ライバルに追いつき追い抜くために、この先どのような展開を準備しているかという当社のCOB事業戦略についてもお伝えできると思います」(佐藤氏)

同社のCOB製品としては「SOLERIQ」シリーズがある。これまでは、効率・光束などの性能面で競合製品に追いついていないところがあったため、性能を高めた新製品の開発・拡充を進めているところであるという。

具体的には、現行の最新世代である第5世代品から、屋内での使用に特化した製品群の拡充を図っていく。その皮切りとして、CRI97という高演色製品を昨年11月にリリース。その後、演色性能CRI80かつ効率150lm/W超の製品を投入しており、社内でのベンチマーク評価では、すでにトップメーカーの競合製品に性能面で肩を並べるようになっているという。

今後の製品ロードマップとしては、今年末から来年初頭にかけて、CRI80かつ165lm/W程度まで性能を高めた第6世代品のリリースが予定されている。この製品の投入によって「競合メーカーのCOBを凌駕する性能を提供できるのではないか」と佐藤氏はコメントしていた。

CRI90については第6世代品により効率140lm/W近い製品の提供が予定されているが、同社では2019年第1四半期までに効率を150lm/Wに高めた新製品の投入を計画している。この製品では、通常の蛍光体に量子ドットを添加することにより、これまで実現できなかった高効率で優れた演色性を兼ね備えた製品の投入が予定されている。

「一般照明用途LEDで蛍光体に量子ドットを使った製品はまだ市場に投入されていないと思います。この製品がリリースされることで、CRI90のCOBについては、当社が一気にトップランナーに躍り出ることになるでしょう。セミナー当日は、こうした最新製品の開発動向についてもお話する予定です」(佐藤氏)

この他、同社COBの特徴としては、1つのパッケージでより広範囲の駆動電流を設定できるオーバードライブ性能の高さも挙げられる。通常、定格電流での使用で1000~4000lm程度の光束をカバー出来る製品群であるが、このオーバードライブ性能により1000~9000lmといったより広い光束範囲をこれらの製品群で実現できるようになっている。

屋内使用にフォーカスした製品ということでは、RGB三原色だけでなく白色の演色性を重視した「ブリリアントカラー」「ブリリアントホワイト」といった製品も展開。店舗照明や服飾関係など色をきれいに見せる場面で使用する製品として訴求する。これらについても、今後の製品ロードマップを踏まえて、セミナーで詳しく紹介する予定だ。

  • 白色の演色性を重視した「ブリリアントカラー」(左)と、「ブリリアントホワイト」(右)

    白色の演色性を重視した「ブリリアントカラー」(左)と、「ブリリアントホワイト」(右)

4. WEBツールの活用

同社では、LEDの選択や使い方をサポートするための各種WEBツールを開発しており、ユーザーが自由に利用できるようにインターネット上で公開している。今回のセミナーでは、こうしたWEBツールの利用法を具体的に解説するセッションが設けられている。

公開されているWEBツールは多数あるが、今回のセミナーでは、ユーザーが指定した使用条件でのLED製品の性能値を調べるために使える「My Luminator」、演色性能評価等に利用できる「LED ColorCalculator」、植物育成用シミュレーションツール「Horticulture Tool」の3ツールについて詳しい解説を行なう予定である。

「My Luminator」は、同社ラインナップの中から特定製品を選択し、使用する電流条件や温度環境を入力することにより、指定した条件における光束、効率、ジャンクション温度等の値が算出可能なツールで、照明器具における光学的特性および電気的特性のシミュレーションに利用可能である。

「LED ColorCalculator」は、LEDのスペクトルを入力することによって、その条件での演色評価指数(R値)を算出できるようにしたツールである。ユーザーは任意のスペクトルを指定できるので、同社LED製品のR値を知るためだけでなく、他社製品の評価などにも幅広く利用できるツールであるといえる。

「Horticulture Tool」は、植物の育成シナリオやプラント面積、光源の個数、照射距離といった条件を指定することによって、同社製品群を使った場合の植物育成システムを簡単にシミュレートできるようにしたツールである。植物育成に必要な光量子束密度(PPFD)は、植物の種類によって大きく異なるため、どんな植物を育てるかによってLEDの出力や個数を調整する必要がある。同ツールでは、ターゲットにする植物に応じた光量子束をユーザーが指定することで、育成に適したLED光源の配置構成などを知ることができる。

「セミナー会場では、これらのWEBツールを受講者のみなさんに実際に使っていただきながら、ツールを利用してどんなことができるのかを実感できるセッションにしたいと思っています」(佐藤氏)

このように、当日の会場でしか得られない体験をできたり、ウェブ上で公開していない最新情報に触れられることがセミナー形式の大きな魅力である。一般照明用LEDや植物育成光源に関心のある方は、この機会に是非セミナー会場まで足を運んでみていただきたい。

セミナーの概要は以下の通り。

  • 開催日時:2018年9月14日(金) 13:00~17:45
  • 会場:グランフロント大阪 タワーA 31F マイナビルームC
  • 住所:〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町4番20号
  • 参加費:無料(事前登録制)
  • お問合せ先:オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン セミナー担当 E-mail: marketing_os@osram-os.com TEL: 045-548-6473

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