オスラム オプトセミコンダクターズは、2018年8月30日~9月1日に東京ビッグサイトで開催される「第60回サイン&ディスプレイショウ」に出展する。パブリックビューイングや各種表示機などでの利用が増えている同社のLED製品に関する展示を行う予定だ。出展のねらいやブースの見どころについて、オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン マーケティング インダストリー&モバイルデバイス アシスタントマネージャー 矢崎墾氏に話を伺った。

表示機、ディスプレイ業界向けにLED製品と技術力の高さをアピール

「サイン&ディスプレイショウ」は、看板、標識、表示機、ディスプレイなどの製作・施工に必要な資材、加工機器なども含むあらゆる関連商品が一堂に集まるサイン・ディスプレイ業界の一大イベントであり、今回で開催60回目という長い歴史をもっている。最近ではLEDを使った表示機や映像パネルにも高い関心が寄せられており、LED関連企業の出展も徐々に増えてきている。

オスラム オプトセミコンダクターズは、LEDとレーザーの老舗メーカーであり、車載向け製品、赤外部品、プロジェクタ光源といった分野で世界シェア1位を獲得。競争の激しい一般照明用LED市場でも常に上位に位置している。封止材、リフレクター、熱管理、蛍光体など、LEDにまつわるすべての技術をもっており、前工程(チップ製造)から後工程(パッケージング)まで一貫して行えることが同社の特徴である。今回の展示会では、LEDメーカーとしての技術力の高さをサイン・ディスプレイ業界に向けて広くアピールしていくという。

老舗LEDメーカーのブランド認知を業界川下まで拡大するねらい

LED部品メーカーである同社が日々直接に営業、提案活動を行っているのは、LEDを使って製品を組み立てるパネルメーカーなどである。一方、今回の展示会の来場者の多くは、パネルメーカーが提供する製品を利用して実際に表示物の設置を行うといった意味で、さらに川下側にいると考えられる。なぜ、こうしたエンドユーザー寄りの展示会に出展するのか。出展の狙いを矢崎氏に詳しく聞いた。

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン マーケティング インダストリー&モバイルデバイス アシスタントマネージャー 矢崎墾氏

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン マーケティング インダストリー&モバイルデバイス アシスタントマネージャー 矢崎墾氏

「この展示会には、サイネージのプランナー、コンサルタント、広告代理店など、いろいろな方が来場してくれると期待しています。表示設備の設置やシステム設計・企画立案などに携わっている方々は、製品の内部で使われている1個1個のLEDにまでは、なかなか目が向かないかもしれません。これから業界の川下に向けたアピール活動を継続的に行っていくことで、まずはオスラムの名前を知ってもらい、サイネージ・広告に関わる業界の中でわれわれの立ち位置をみつけていくことが大きな目的としてあります」(矢崎氏)

サイネージはLEDのアプリケーションとして今後大きな成長が見込まれている市場のひとつだが、中国LEDメーカーの低価格製品がシェアを広げるなど、競争が激化している分野でもある。中国産LEDは、低価格でありながら一昔前と比べると品質面もかなり向上し、市場競争力をつけている状況である。そうした中で、老舗LEDメーカーとしてのオスラムのブランドをアピールしていくことが、いっそう重要になると矢崎氏は話す。

「LED製品の開発には、材料選定、チップ構造、パッケージ技術、さらにそれを最終的なソリューションに適用するためのアプリケーションのノウハウも必要です。こうした面でわれわれには一日の長があると考えていますので、オスラムの技術力の高さが伝わるようにしっかりとご紹介していきたい」(矢崎氏)

車載用LEDなど実績のある分野で同社を昔から知っている人々の間では、同社製品は「品質は良いが値段も高い」というイメージもまだ残っている。しかし、実際にはマレーシア・クリム新工場への大型投資などを行い、低コストの汎用品を大量供給していくことも同社の大命題となっており、コスト面での競争にも積極的に取り組んでいると矢崎氏は強調する。

「LEDにはローエンドからハイエンドまでさまざまな製品があり、性能要求とコスト要求は各領域でそれぞれ違います。品質とコストのバランスを取ると考えたとき、われわれが総合的に勝てる領域はあると考えています。そうした観点からオスラムの立ち位置を知ってもらえればと思っています」(矢崎氏)

最新のLED応用事例を実物を使ってわかりやすく展示

出展ブースでは、同社LEDを使った最新のアプリケーション事例について、実際の製品を展示しながら紹介していくという。見どころのひとつは、高精細な映像表示ができる屋内向けLEDディスプレイの展示だ。

  • 屋内向けのLEDディスプレイ

    屋内向けのLEDディスプレイ

「屋内向けのLEDディスプレイとしては、0.8mm角のLEDチップを1.25mmピッチで敷き詰めたパネルがあります。こうした狭ピッチのLEDパネルを多数並べて映像を表示するビデオウォールもわれわれが注力しているアプリケーションのひとつです」(矢崎氏)

屋内向け高精細LEDディスプレイについては、明るい外光が入ってくるセミアウトドア環境では画面の明るさが足りていないこと、狭ピッチ化によるLED個数の増加によってそれらを駆動するための消費電力が増えてしまうこと、小型サイズのLEDを狭ピッチで実装するときの煩雑さなどが技術的課題となっている。同社としては、こうした問題の解消に向けた技術開発にも取り組んでいるところだという。

二つ目の見どころは、スタジアムなどで使用される屋外向けLEDパネルである。こちらはスタジアムなど雨ざらしの環境で長期間使われるタイプで、ややデバイスサイズが大きな2.8mm角パッケージのLEDが使われている。

「屋外使用を前提としているため、耐環境性に優れた製品が要求される分野です。当社では屋外用LEDの耐環境性試験として21項目の信頼性テストを策定・実施しており、熱、光、湿度(水分)などを厳しい条件に設定し、デバイス性能を評価しています」(矢崎氏)

  • 2.8mm角パッケージのLEDが使われている屋外向けLEDパネル

    2.8mm角パッケージのLEDが使われている屋外向けLEDパネル

また、「光の色の質」にこだわったLED製品を提供していることも、同社の訴求ポイントである。今回のブースでは、LEDのサイズやピッチ幅、ドライバーの駆動条件などを揃えた上で、他社(数社)のLEDを使った表示パネルと比較しつつ同社LEDの視覚的効果を知ってもらうといった展示も準備しているという。

舞台照明など、空間演出に使われるフルカラーのハイパワーLED製品も同社の得意分野であり、ライブイベントやアミューズメント用途で幅広く使われている。欧州放送連合(EBU)加盟放送局によって毎年開催されている音楽コンテスト「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」は、同社がオフィシャル・ライティング・パートナーとして参画しており、会場における舞台照明全体を正式にサポートしている。同イベントで使われているステージ向け照明器具はグループ会社が一手に引き受け、照明器具内部で使われているLEDデバイスについてはすべてオスラムが供給しているという。

「展示会のテーマである表示器用LEDとはジャンルが違うところはありますが、舞台照明用の製品についても、関連分野ということで今回展示させていただく予定です。来場者の中には、情報ボードとしてLEDパネルを使うだけではなく、パネルまわりの空間演出まで含んだソリューションに関心をもたれている方もいらっしゃるのではと期待しています。そういう方には興味深い展示になるのではないかと考えています」(矢崎氏)

これまでLED照明の展示会には出展してきた同社だが、可視光LEDに関して照明以外の特定アプリケーションの展示会に出るのは今回がはじめての試みとなる。矢崎氏は「いままで接点のなかった異分野の人々との出会いの場にしていきたい」と意気込みを語っていた。

また、同社では、今年末から来年初頭にかけて新製品など新しい展開も準備しているとのこと。展示会はそうした同社最新情報を発信していく場にもなるとしている。同社製品に関心をもたれた方、サイン・ディスプレイ・サイネージ・空間演出といった分野でのLED活用事例に興味のある方は、ぜひ展示会場の同社ブースに立ち寄ってみてほしい。

[PR]提供:オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン