勤怠管理の中でも従業員が会社に申請する有給休暇や代休は、従来は申請書という紙を使って行われることが多かった。しかし、煩雑な作業をしていると、申請書の確認ミスや勤怠管理表への記入漏れなど、人為的なミスが発生しやすくなる。これを過不足なく実現するために、勤怠管理システムの導入を検討する企業も増えている。本稿では勤怠管理システムとは何かを改めて解説するとともに、申請・承認機能を備えた製品を紹介しよう。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、従業員の出退勤時刻などの就業状況を把握して、管理することだ。労働基準法では、従業者(従業員)の労働時間や休日、深夜業について規定されているため、適正に勤怠管理を行なうことは、使用者である企業が正労働基準法を遵守するための前提となる。

また、適正な勤怠管理を行なうことによって、従業員の健康を守り、過労によって労働生産性が落ちることを防いだり、労働災害や過労死の発生を回避したりすることができる。さらに、モチベーションが低下している従業員を割り出すことで、早期ケアによる未然の離職防止策を講じることも可能だ。

法令に遵守し、従業員のパフォーマンスも最大化する。このためには、労働時間を正しく把握し、過剰な残業が行われていないかなどを管理することが求められる。

適切な勤怠管理を効率的に行うには、システムが不可欠

紙やExcelベースで勤怠管理を行っている企業も多いだろう。しかし、働き方が多様化し複雑化する中において適切に勤怠を管理するには、勤怠管理システムの導入が不可欠になってきている。従業員数が少ないから必要ないと考える企業もいるかもしれない。しかし、紙ベースの作業には大きな作業負荷がかかる。これを効率化して従業員のパフォーマンスを最大化する観点でも、勤怠管理システムを導入する意義は大いにあるのだ。

この勤怠管理システムは、時代の変化や科学技術の発展に応じて進化している。単に出勤と通勤を記録・管理するだけのツールではなく、多様な機能、仕組みをもっており、様々な勤務体系に対応可能な製品が増えてきている。ただ、企業ごとに従業員の雇用形態や勤務体系は様々だろう。導入にあたっては、最低限、以下に挙げる7つのポイントはチェックして、自社に必要な要件、機能、仕組みを整理することをおすすめしたい。

7つのチェックポイント 必要な機能
法廷時間を超える勤務の可能性があり、
自社の36協定にシステムを適用させなければならない
36協定対応
従業員によっては1日に複数の出退勤務があったり、
作業所ごとの勤務管理が必要になることがある
同日複数勤務
就業規則などで、管理者の承認がなければ
時間外勤務や休日出勤を認めていない
申請承認
人的リソースを時間単位で采配するためのシフト設計や、
その管理作業が存在する
シフト作成
PC、モバイル、ICカード、タイムカードなど、
従業員ごとに様々な打刻手段を使い分けたい
複数打刻対応
勤怠管理システムの情報を
給与計算システムと連携させたい
給与計算連携
実際に従業員が使いこなせるか、
検証してから導入したい
トライアルあり

残業申請・承認機能に注目

ここで説明したチェックポイントの中で、残業申請・承認の仕組みが必要な企業は多いのではないだろうか。就業規則がしっかりと定められているが、実態として従業員の残業が減らない……、これはよく聞く悩みであり、その多くの原因が、申請と承認という管理プロセスが十分に機能していないことが考えられるからだ。

参考:
便利な勤怠管理システムの申請・承認機能 - 完全オンラインでも申請・承認

紙ベースの残業申請・承認では、どうしても不正やミスが発生してしまう。また、承認までに時間を要してしまうこともネックだ。近年注目されている働き方改革を進める上でも、導入する製品が申請・承認機能を備えているか、またそれが使いやすく自社で機能しそうかどうかに注目して製品選定を進めたいところだ。ここからは、申請・承認機能を備えた勤怠管理システムを紹介していきたいと思う。