7月12日、第12回「システム管理者感謝の日イベント」(主催:システム管理者の会、運営委託:ユニリタ)が東京にて開催された。『システム管理者の「君たちはどう生きるか?」~「次」を見つけよう!世界から、ビジネスから、技術者から~』をテーマに、3つの講演と、本年から開始した「システム管理者アワード」の表彰が行われた。本稿では約500人が訪れた当日の模様をレポートする。

自律的な成長と新しい刺激を促す機会に

日本最大規模のシステム管理者のネットワークである「システム管理者の会」では、年に一度システム管理者に感謝の意を表する日として米国で始まった7月最終金曜日の「システム管理者感謝の日」を前に、毎年システム管理者を応援するイベントを7月に開催している。

イベント開会にあたり代表の沼倉正氏(国分グループ本社)は、「2018年上半期のベストセラーになった漫画版『君たちはどう生きるか』は15才の成長を綴った80年前の小説。自分に見えなかった新しい刺激を受けることが自律的な成長のために必要とされているのは、現代の社会人にも共感されている」と述べ、普段のサーバ管理の業務だけでは見えない刺激を得て「システム管理者のとしての新しいチャレンジ」へと取り組んでもらうことにイベントの意義があることを唱えた。

今回で12回目を迎える本イベントでは、「世界から」「ビジネスから」「技術者から」という3つの異なる視点から講演が行われた。

  • システム管理者感謝の日イベント会場内の様子

    システム管理者感謝の日イベント会場内の様子

急成長する中国のニューエコノミーの動向は - NRI平野氏

野村総合研究所(NRI) サービス・産業ソリューション事業本部 産業デジタル開発部 フロント開発グループマネージャー 平野浩二氏

野村総合研究所(NRI) サービス・産業ソリューション事業本部 産業デジタル開発部 フロント開発グループマネージャー 平野浩二氏

最初の講演は「世界から」の視点に立った、野村総合研究所(NRI)のサービス・産業ソリューション事業本部 産業デジタル開発部 フロント開発グループマネージャー 平野浩二氏による「急成長する中国のニューエコノミーの動向」だ。平野氏は中国北京でECサイト構築やモバイルアプリの導入、運用、ITコンサルを実施した経験をもとに、いま中国で起こっている新しいビジネスモデルを使った「ニューエコノミー」の実態をさまざまな事例で紹介した。

例えば、シェアリング自転車の「Mobike」、タクシー配車予約の「滴滴(DiDi)」、出前代行サービスの「美団外売(Meituan)」、新小売(ニューリテール)の盒馬鮮生(Hema Super)などだ。平野氏は、ネット産業が国策として推進され、中国消費市場が二桁成長を維持するなか、AliPayや顔認証支払いなどのキャッシュレスが広がって、日常生活は急速に進化していることを説明。

そのうえで「中国は世界の"試場"となっています。企業は熾烈な競争を行い、それを13億人の消費者が厳しい目で選別しています。今後は"インターネットプラス"という時代から、AIなどを活用した"AI知恵プラス"の時代へ移行すると見ています」と今後の展望と述べた。

IT×ドローンで空の産業革命を起こす - ミツイワ中村氏、セベック清國氏

  • ミツイワ 環境ソリューション部マネージャー 中村忠之氏

    ミツイワ 環境ソリューション部マネージャー 中村忠之氏

  • セベック 新規プロジェクト本部 清國将義氏

    セベック 新規プロジェクト本部 清國将義氏

続いて「ビジネスから」の視点での講演「空の産業革命は完成するか ~IT×ドローンの実用化の広がりと課題解決~」が行われた。空の産業革命と言われ、利用性は限りない広がりを見せているドローンの技術や採用事例について、ミツイワの環境ソリューション部マネージャー 中村忠之氏と、セベックの新規プロジェクト本部 清國将義氏が紹介した。

ミツイワはドローン運用基盤システムなどをてがけるシステム会社で、セベックはドローンのフライトエキスパートを数多く抱えるドローンスペシャリト企業だ。両社は共同でドローンを活用したソリューションを展開しており、これまで、海上での漁業密漁の監視や橋梁などの社会インフラの点検支援などを行ってきた。

「海上での漁業密漁監視では、ドローンで撮影した画像をAIで分析し、人間では見つけられない密漁船の動きや潜水中の密猟者を高い角度で見つけることができます。こうした運用により、固定カメラや限られた時間・人手での監視の課題を解消します」(中村氏)という。

また、清國氏は赤外線カメラなどを使って、暗闇でも人などの動きを監視できることをデモで示し「改正航空法が施行され、ルールを遵守した安全な飛行が求められます。今後のドローン活用を支援するためにドローンエンジニアの育成支援も行っています」と説明した。

  • 赤外線カメラで来場者を映したデモ

    赤外線カメラで来場者を映したデモ

バンダイナムコエンターテインメントのデジタル変革 - 仁木氏

バンダイナムコエンターテインメント NE事業部 NE事業支援部 開発支援課 マネージャー 仁木 貴之氏

バンダイナムコエンターテインメント NE事業部 NE事業支援部 開発支援課 マネージャー 仁木 貴之氏

3つめの「技術者から」の視点では、バンダイナムコエンターテインメントのNE事業部 NE事業支援部 開発支援課 マネージャー 仁木 貴之氏が登壇。「デジタル変革のその後 〜システム管理者はどう生きるか〜」と題して、同社のデジタル変革の変遷と、現在の最新の取り組みを紹介した。

仁木氏は2年前のイベントでシステム部門がどうデジタル変革に対応してきたかを紹介した。今回はその後の取り組みとして、システム部門そのものが"解体"され、事業全体のニーズ、全社人材要件をもとに組織・業務の再構築が開始されたことを説明した。

「システム部門というのは、事業部門からは『今のままでは必要ない人たち』に見えていました。そこで求められたのが、事業担当目線での業務改革です。これまでのような『サーバで技術貢献する』という考え方を捨て、全ゲームタイトルに担当をアサインし、『サーバだけでなくすべての技術面を全力で支援する』という方向にかじを切ったのです」(仁木氏)

この試みは大きな成果を生み、技術系スペシャリスト業務は社外へ委託し、社員はゼネラリストとしてコーディネーションを行うスタイルが定着した。それを受けて現在は、支援範囲を技術以外にも拡大し、技術全般の支援からプロダクト全般の支援を行う体制になっているという。今後、重要ノウハウの内部化や内部・外部比率の適正化を行うための新会社として、バンダイナムコネットワークサービスも設立する。

仁木氏は「大切なことは業務の主体者である相手の目線で物事を考えること、違うと思ったらすぐに間違いを認めて相手の目線で物事を考え直すことです。幸いなことにシステム管理者はこれらが得意です。業務改革の担い手として活躍することがこれからのシステム管理者の役割です」と話し、講演を締めくくった。

アワードはSOMPOシステムズ、NTTコムウェア、プラネットの3社に

3講演の後、システム管理者アワードの表彰式が行われた。このアワードは、システム管理者の活躍を表彰するなど「感謝の気持ちを広める」活動を積極的に広げている企業を対象に今回から実施しているものだ。第1回システム管理者アワード「SysAdmin's Award in 2018」を受賞したのは、SOMPOシステムズ、NTTコムウェア、プラネットの3社だ。3社には賞状と記念の盾、副賞として「システム管理者感謝の日は『おつカレー様』」というスローガンとして進めているカレー90セットが贈呈され、各社への受賞インタビューが行われた。

  • 左から、SOMPOシステムズ ITサービス本部 岸正之氏、NTTコムウェア ネットワーククラウド事業本部 サービスプロバイダ部 渡邊浩誠氏、プラネット サービス本部 システム部長 三本勝一氏

    左から、SOMPOシステムズ ITサービス本部 岸正之氏、NTTコムウェア ネットワーククラウド事業本部 サービスプロバイダ部 渡邊浩誠氏、プラネット サービス本部 システム部長 三本勝一氏

SOMPO-HQSを通して社員の日々の改善や向上を表彰

SOMPOシステムズは、SOMPOグループの戦略的IT企業として、国内損保事業、国内生保事業、介護・ヘルスケア事業、海外保険事業の4事業分野にサービスを提供する。「保険の先へ、挑む」をグループのブランドスローガンに掲げ、より多くの顧客の「安心・安全・健康」に資する最高品質のサービスを提供し社会に貢献することを目指している。

ITサービス本部の岸正之氏は、アワードの対象となった取り組みについて「ITサービスオペレーションについては、SOMPO High Quality System-Service(SOMPO-HQS)として品質向上のための活動に取り組んでいます。個人の役割とも連動していて、個々人の成長の機会を創出しています。品質向上や改善効果が認められたものを表彰する取り組みも行っています」と説明した。

テーマごとに活動を評価して毎四半期に感謝状を授与

NTTコムウェアは、NTTグループでシステム開発やサービスを提供する企業だ。働き方改革に役立つICTツールとしては、クラウドサービス「SmartCloud」や社内向けメッセンジャー「シャナイン」などがある。今回のアワードに関しては、社内のモチベーション維持と向上をテーマに「サンクスデー」という取り組みをあらたに開始したことを紹介した。

ネットワーククラウド事業本部 サービスプロバイダ部の渡邊浩誠氏は「社員の地道な努力や改善に目を向け、感謝の気持ちを伝えています。具体的には、あらかじめ設定した3つのテーマで力を発揮した人に四半期ごとに感謝状を授与しています。今回は、SMEコール部門で1名、業務改善部門で2名、業務支援部門で22名が表彰されました。RPAや自動化が話題ですが人が大切なのは今後も変わりません。人を大切にする取り組みを続けていきます」と話した。

日頃からお世話になっている外部パートナーに感謝の意

プラネットは、電子データ交換のための(EDI)基幹プラットフォームの構築・提供・運用を行う企業だ。小売、卸、メーカーが共同で設立し、データのフォーマットを標準化することで、小売が数十社、数百社の卸やメーカーと取引する際も、それぞれにデータをやりとりする必要はなく、プラネットのプラットフォームに接続するだけで済む。

今回のアワードでは、こうしたプラネットのサービスのインフラを支えているシステム会社のエクシオテック向けの感謝が対象となった。サービス本部 システム部長の三本勝一氏は「システムの設計、テスト、導入まで幅広くサポートしていただいています。感謝の印として『おつカレー様』としてカレーを贈呈しました。担当者からは『よいものを作ったという安心感を得た、みんなで感謝の和を広げていきたい』とのコメントをいただきました」と挨拶した。

表彰の後は、システム管理者の会の活動紹介や、情報交換会、プレゼント抽選会などを実施。今後も、システム管理者への感謝を行うためのさまざまな企画やイベントを実施していく予定だ。ITとビジネスの一体化が進む中、システム管理者の役割はますます重要になっている。集まった参加者もさまざまな感謝の意に気持ちをあらたにしているようだった。

  • 多くの来場者で賑わい盛況を博した展示ブースや情報交換会の様子
  • 多くの来場者で賑わい盛況を博した展示ブースや情報交換会の様子
  • 多くの来場者で賑わい盛況を博した展示ブースや情報交換会の様子

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